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前半は、『ワンダー 君は太陽』を撮ったチョボスキー監督らしく、善意のうそによって人々が変化し、傷ついた者や弱者が救われていく姿が、歌に乗って心地よく展開していくが、同時に、こんなことがいつまでも続くはずがない、一体エヴァンはいつまでうそをつき続けるのか、どう収拾をつけるのか、という心配ややるせなさを感じて目が離せなくなる。
そして、シリアスなテーマが、「ユー・ウィル・ビー・ファウンド」をはじめとする歌や、時折見られるコミカルなシーンで多少は緩和されるものの、決して安易な救済を描いてはいない後半への変転がリアルに映る仕組みになっている。さて、エヴァンがついた“思いやりのうそ”の結末とは…。
(田中雄二)