【映画コラム】今こそ、「生きていることの幸せ」を描いた映画を見よう(part2)『フォレスト・ガンプ/一期一会』『陽のあたる教室』

2020年5月2日 / 07:00

『陽のあたる教室』(95)

 1960年代から現代まで、公立高校で音楽教師を務めたホランド(リチャード・ドレイファス)の半生をスティーブン・ヘレク監督が編年体で描く。生活のために教師になり、音楽家になる夢を捨てた自分は人生の敗者だと思っていた男が、多くの生徒に影響を与えた人生の勝者だったというのが、この映画の大きなテーマとなる。原題は「ホランド氏の作品」。つまりその作品とは生徒たちのことなのだ。

 主人公が音楽教師ということで、もちろん授業ではバッハ、ベートーベンといったクラシックが流れる。また、ホランドは、クラリネットが苦手な女生徒のためにアッカー・ビルクの「白い渚のブルース」を教え、耳の不自由な息子のために手話を交えながらジョン・レノンの「ビューティフル・ボーイ」を歌ったりもする。

 最後は、定年を迎えたホランドを送るために、新旧の生徒たちが一同に会して彼が作曲した交響曲を演奏する。音楽を媒介とした教師と生徒の心の交流が心地よく展開していく名編だ。(田中雄二)

『陽のあたる教室』

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