【映画コラム】事実を基にした物語『リチャード・ジュエル』と『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』

2020年1月16日 / 19:33

 続いては、19世紀のロンドンを舞台にした『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』。

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 1862年の英ロンドン。気象学者のジェームズ(エディ・レッドメイン)と気球操縦士のアメリア(フェリシティ・ジョーンズ)は、酸素ボンベなしで気球に乗って高度1万メートル余まで上昇するが…。

 本作は、実話を基にしたアドベンチャーロマン。最新の映像技術を駆使して、19世紀のロンドンの風景と、空中、雲上の世界を見せるのだが、筆者のような高所恐怖症の者には少々刺激が強過ぎるほどリアルだ。

 『博士と彼女のセオリー』(14)で夫婦役を演じた2人が再共演している。気球操縦士という役柄上、ジョーンズの方が危険なアクションに挑み、その間レッドメインは気絶しているなど面目が立たないのだが、これが現代の男女関係にも通じるようで面白い。その意味では、描かれた時代は異なるが、宇宙船を舞台にした『ゼロ・グラビティ』(13)と重なるところもあると感じた。

 ところで、本作は、昔々の『罠』(49)や『真昼の決闘』(52)、あるいは和田誠監督の『真夜中まで』(99)が用いた、劇中の時間(本作の場合は主に飛行時間)と上映時間とを同じにするリアルタイム形式を取り入れていた点がユニークだった。

 また、昨年公開された『イエスタデイ』で好演を見せたヒメーシュ・パテルが、ジョーンズの親友役を演じた本作でも、なかなかいい味を出しているのも見どころの一つだ。(田中雄二)

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