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一方、6日公開の『ラスト・クリスマス』は、歌手になる夢がかなわず、荒れた生活を送りながらクリスマスショップで働くケイト(エミリア・クラーク)の前に、好青年のトム(ヘンリー・ゴールディング)が現れる。ケイトはトムに心引かれるが、彼にはある秘密があったという話。
同名タイトル曲のほか、ワム!とジョージ・マイケルの曲に乗って展開するほろ苦く切ないクリスマスストーリーだ。ミシェル・ヨーがクリスマスショップのオーナーを演じたほか、ケイトの母親役を演じたエマ・トンプソンが脚本を書き、『ゴーストバスターズ』(16)などのポール・フェイグが監督をしている。
よくあるクリスマスの奇跡話の中に、移民、ホームレス、LGBTなどの問題を盛り込んでいるところが今風で、クラークがだんだんとかわいらしく見えてくるのがキーポイント。トンプソンが癖の強い、言葉に訛りがある東欧移民に扮(ふん)して、“メリル・ストリープ化”していたのには驚いた。
これは余談だが、ワム!の「ラスト・クリスマス」(84)は、藤子・F・不二雄原作、森田芳光監督の『未来の想い出 Last Christmas』(92)でも主題歌として使われた名曲だが、バブルの頃に街中に流れていた印象が強いので、その恩恵にあずかれなかった者としては、聴くと複雑な思いがするのは否めない。(田中雄二)