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1980年代の車とヒット曲が彩る2作が、今週末に相次いで公開される。まずは7日公開の『ジョン・デロリアン』から。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)でタイムマシンに改造されて登場し、世界的に有名になったデロリアン。この伝説的な車を作った男ジョン・デロリアン(リー・ペイス)の物語を、実話を基に映画化した。果たして彼は詐欺師だったのか、それとも天才だったのかが、大きなテーマとなる。
監督のニック・ハムと脚本のコリン・ベイトマンは「複雑なデロリアンの人生の一部、一定の時間だけに焦点を合わせて伝記映画を作ろうと考えた」という。そして、舞台を1977年前後のカリフォルニアに絞って、実業家、ペテン師、FBI、麻薬ディーラーが入り乱れる、エンターテインメントに仕立て上げた。
加えて、この映画のユニークな点は、デロリアン本人ではなく、彼の隣人でFBIの情報提供者だったジム・ホフマン(ジェイソン・サダイキス)との関わりを中心に描いているところ。だから、サダイキスが「この映画は、デロリアンとホフマンのラブストーリーとも取れる」と語るように、2人の不思議な友情物語として見ることもできるのだ。
くしくも、年明けの1月10日から、これまた実話を基に、1960年代の米カーレース界の裏側を軸にして描いた『フォードvsフェラーリ』も公開される。両作を見ると、アメリカが車社会であること、あるいはアメリカ人にとっての車は、単なる道具ではないことを改めて思い知らされる。