【映画コラム】日本的なものを隠し味にした『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』

2015年7月4日 / 19:01
 (C) Marvel 2015

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 米マーベルコミックのヒーローチームの活躍を描いたシリーズ第2弾『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』が4日から公開された。

 今回は、アイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.)が発明した人工知能ウルトロンが暴走し、人類の抹殺を企てる様子を、最新の視覚効果を用いて迫力満点に描いている。

 ドラマ部分も、スタークとキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース(クリス・エバンス)との対立、ハルクに変身するブルース・バナー(マーク・ラファロ)とブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)との恋、ホークアイ(ジェレミー・レナー)の家庭生活、そして新加入の双子のきょうだいの登場と盛りだくさんの内容だ。

 ところで、本作に登場するヒーローそれぞれの関連作を合わせるとすでに十指に余るのだが、どの作品も、単純な正義対悪ではなくヒーローの屈折した心情を描いているのが興味深い。本作も、自らがまいた種で悩むスタークの姿がストーリーの核となる。

 これらは、かつては明るさが身上だったアメリカンヒーローが、時代の変化に伴って、悩む姿がごく自然に描かれる日本の特撮ヒーロー物を参考にした結果ではないかと思われる。

 あるいは、ヒーローが集合し、敵と団体戦を繰り広げるという意味でも、日本のウルトラ兄弟や仮面ライダー、戦隊シリーズなどの影響がうかがえる。おまけに今回は宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』(86)をほうふつとさせるシーンまで用意されているのだ。

 本作、あるいは関連作は、アメリカンヒーローを描きながら意外や日本的なものを隠し味にしているのである。(田中雄二)


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