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似た姿でありながらも、この二つの芝居の間には、栄一が年齢を重ねて成長した跡が見て取れる。その変化は、1年以上にわたって栄一を演じてきた吉沢だからこそ生まれたものであり、役者としての成長の証しとも言える。
「青天を衝け」も残すところあと10回。先日、新たな出演者も発表され、この先は栄一の子や孫も活躍する模様。年齢を重ねた栄一の後半生を、吉沢がいかに演じるのか、まだまだ興味は尽きない。
かつて「西郷どん」(18)に主演した鈴木亮平は、クランクアップ直後に「一言で言えば、『生き切った』という感じです」と長期の撮影を振り返っていた。
大河ドラマの主演の重みを端的に言い表した言葉だと思う。栄一と共に成長してきた吉沢が同じようにクランクアップを迎えたとき、どんな言葉を残すのか。そのときを楽しみにしつつ、物語の行方を最後まで見守っていきたい。(井上健一)