【芸能コラム】アイドルからの脱皮 “朝ドラ女優”として輝くAKBグループのOGたち

2020年5月20日 / 16:06

 「若手女優の登竜門」と呼ばれ、数々の女優を輩出してきたNHKの連続テレビ小説、通称“朝ドラ”のヒロイン。近年は年齢やキャリア、性別に関係なく、実力や人気のある役者が主演を務める傾向にあるが、スポットライトが当たるポジションは主役だけではない。共演者の中には“朝ドラ女優”“朝ドラ俳優”として飛躍する人も多い。そんな中、AKB48やSKE48などのアイドルグループを擁するAKBグループの卒業生たちが、存在感ある芝居で注目を集めている。

 現役・OGを含むAKBグループの中で最初に朝ドラに出演したメンバーは、2017年にNMB48を卒業した藤江れいな。

 グループ在籍時、松下奈緒主演の「ゲゲゲの女房」(10年度後期)にはテレビCMの女性タレント役で、のん(能年玲奈)主演の「あまちゃん」(13年度前期)にはヒロインのクラスメート役と、それぞれ1話のみの登場で、エキストラのように目立たなかった。

 続いて、14年にAKB48を卒業した大島優子が、幕末から明治の激動の時代を元気に駆け抜けた女性実業家・あさ(波瑠)の一代記を描いた「あさが来た」(15年度後期)で、女性の地位向上のために奔走した女性解放運動家・平塚明(後のらいてう)役で出演した。

 しかし、大島も登場したのは3話のみで、同作の主題歌がAKB48の「365日の紙飛行機」だったことから、芝居の良し悪しよりもサプライズでの登場の方が話題となった。

 その後、ついにオーディションでレギュラー役をつかみ取ったのが、15年にAKB48を卒業した川栄李奈。生活総合誌『暮しの手帖』の創業者・大橋鎮子の軌跡をモチーフにした高畑充希主演の「とと姉ちゃん」(16年度前期)で、常子(高畑)が住み込みで働く仕出し屋「森田屋」の大将の娘・森田富江役を演じた。

 朝ドラ出演が夢だったという川栄は、過去にオーディションで数回の落選を経験していたが、同作では一見クールに見えるが実は優しくてしっかり者の富江役を好演。アイドル時代は“おばかキャラ”で人気者だっただけに、当初は女優としてのリスタートを心配する声もあったが、真摯(しんし)に作りこんだ芝居の出来は好評だった。

 有村架純主演の「ひよっこ」(17年度前期)には、16年にAKB48を卒業した島崎遥香が登場。同作は1964年に開催された東京オリンピック前後に、奥茨城村から東京に集団就職したヒロインが懸命に生きる姿を描いたもので、島崎はみね子(有村)が働く洋食店のコック・省吾(佐々木蔵之介)のわがまま放題の跳ねっ返り娘・牧野由香を演じた。

 島崎は川栄とは違い、オーディションは「マネジャーに言われたから受けた」と明かしたが、合格したからには期待に応えたいと頑張り、脚本家の岡田惠和が当て書きをした同役を全身全霊で演じ切った。アイドル時代をほうふつとさせるキャラクターは、ほっこりとした雰囲気が漂う同作の中でスパイシーなアクセントとなり、「みね子にも“塩対応”」と視聴者を楽しませた。

 記念すべき朝ドラ100作目となった広瀬すず主演の「なつぞら」(19年度前期)には、17年にAKB48を卒業した渡辺麻友が出演した。同作は日本アニメの草創期を舞台にした、ヒロインなつのアニメーターとしての成長と家族の物語で、渡辺はアニメーターの三村茜役に抜てきされた。

 現役時代はアイドルの王道を突き進んでいた“まゆゆ”だけに、眼鏡を掛けた地味な風貌での登場に驚いたファンも多かったが、根が真面目な渡辺らしく、仕事や育児に一生懸命に取り組む芯の通った茜を説得力を持って演じ、女優としての存在感を示した。

 戦後の滋賀県を舞台に、女性陶芸家の草分けとして独自の信楽焼を生み出そうと奮闘する喜美子(戸田恵梨香)の波瀾(はらん)万丈の人生を描いた「スカーレット」(19年度後期)には、大島がヒロインの幼なじみ・熊谷照子役で2度目の朝ドラ出演を果たした。

 同作ではメインキャストの一人として、勝気な学生から旦那を立てる若奥様、家庭菜園にハマるパワフルなおばちゃんなど、15歳から40代後半の年代による違いを見事に演じ分けて高い評価を得た。

 
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