佐藤アツヒロ、「自分がエンタメと関わってきたことで得たものを伝えていきたい」 迫力ある殺陣が繰り広げられる舞台「紅哭‐KURENAI‐」でキーとなる役柄に【インタビュー】

2026年5月20日 / 08:00

 光GENJIのメンバーとしてデビューし、グループ解散後は俳優として活動。近年では舞台作品の演出も手掛けるなど、幅広い活躍を見せる佐藤アツヒロ。5月27日から開幕する舞台「紅哭‐KURENAI‐」では、主人公・霧音の剣技の師である紫炎を演じる。本作は、信州・上田を舞台に、戦場で生き延び、生きるために刀を振るった忍びの少女たちが立ち向かう宿命を描いた物語。佐藤に本作への意気込みや舞台の魅力などを聞いた。

-出演が決まったときの心境を聞かせてください。

 女性がメーンの本格殺陣舞台で、貢献できる立場をいただけたことに感謝の気持ちです。自分も殺陣舞台が好きなので、とてもうれしく思っています。

-女性メーンの殺陣舞台は、それほど多くない印象があります。本作の魅力はどのようなところにあると思いますか。

 新しい挑戦がある作品だと思います。女性が演じるからこそ表現できる「生きる力」を力強く表していて、エンタメとして新しい角度から物語を展開できているのではないかと感じています。

-出演が発表された際のコメントで、「自分自身の舞台経験を伝えたい」とおっしゃっていましたが、若い人たちの育成、後輩たちの技術向上が、佐藤さんの中で大きなテーマとしてあるのでしょうか。

 そうですね。自分もこの年になり、いかに恵まれた環境で生きてきたかを感じますし、自分がエンタメと関わってきたことで得たものを伝えていきたい、残していきたい、何かできることはないだろうかと考えています。そうした意味でも、女性メーンの殺陣舞台が今後、どんどん広がっていったらいいなと思います。殺陣は、一つのジャンルとして確立しています。危険が伴う表現ではありますが、そうしたことを感じさせないほどの感動をお届けできると思っています。

-佐藤さんご自身も数々の作品で激しい殺陣やアクションを披露されていますね。殺陣ではどんなことを意識されていますか。

 実際に斬っても殴ってもいないので、それをどのようにして本当にやっているように見せるのかを、最初に殺陣をやったときに教わりました。映像のリアルさとは違う、舞台ならではのリアルさをどう見せるのかを意識しています。舞台は、カメラアングルがあるわけでもないし、早回しもできない。だからこそ、演者と演出家がリアルを作っていくんです。それが舞台の良さでもあるのだと思います。

-本作の魅力はどんなところに感じていますか。

 登場人物の人間模様が徐々に分かっていくという構成の脚本がすごく面白いです。回想シーンが多いんですよ。なので、物語が進んでいって初めて「こういうことだったのか」と分かることが多い。最初は点でしかなかったものがどんどんつながっていく楽しさがあります。殺陣舞台と聞くと、どこかの国を落としたり、城を落とすことをイメージされるかもしれませんが、この作品は人間模様を丁寧に描いたドラマになっています。

-そうした物語の中で、佐藤さんが演じる紫炎という役柄はどういった立ち位置ですか。

 物語のキーとなる役です。主人公を始めとした女性たちに深く関わっていく役なのですが…それ以上は言えません(笑)。キーポイントが物語の中に散りばめられていて、最後にはそれがすべてつながります。ですので、ぜひ劇場でご覧いただいて、どんな役割を果たしているのかご確認いただけたらと思います。

-今回、役を演じる上で、どんなところがポイントになりそうですか。

 あまり考え過ぎずに、素直に演じていきたいと思っています。ただ、声を低くし、芝居の口調はゆっくりにしたいとは考えています。どうしても僕は若く見えがちなので(笑)。今回は、師匠と呼ばれる役どころなので、風格があり、落ち着いたところをお見せできるように取り組みたいと思っています。

-ところで、佐藤さんは、数々の作品に出演し、演出を手掛けるなど、舞台での活躍も目覚ましいですが、佐藤さんが舞台の魅力を強く感じるようになったのはいつ頃だったのですか。

 2作品目の劇団☆新感線のSHINKANSEN☆PARCOMICS「犬夜叉」(2001年上演)です。あの作品と出会って、舞台を作る楽しさを知りました。みんなで一つの作品を作り上げるべく、顔を突き合わせて、まるで学校のような稽古場に毎日行って。映像やそのほかのお仕事では、関わっている人全員の顔を見ることがないまま、その仕事が終わってしまうことも多々あるんですよ。でも、舞台の場合は、全員の顔を見て作ることができるので、「みんなで作っている」感があるんです。僕自身、もの作りもチームも大好きなので、そうした舞台作りの現場にまず、惹かれました。それから、どの現場でも、年齢もそれまでの経験もまったく違う人たちが集まるので、舞台をやっていると新しい人にたくさん出会うことができるんです。なので、とても新鮮ですし、面白いと感じています。

-光GENJIとしてデビューされてから39年になりますが、今振り返ってみて、大きなターニングポイントとなった出来事は?

 そのときそのとき、今できることを一生懸命やっているので、これだというのは自分では分からないです。後から振り返ると「そうなのかな?」と思うことはありますが、そのときは必死に仕事に向き合っているので。ここ数年は自分で企画をしたり、プロデューサーと話をして進めていくことも増えてきたので、また新たな経験だなと思っていますが、それも何かきっかけがあってそうなったわけではないです。きっと皆さんの方が僕の人生を見て「ここがターニングポイントだった」と思われることがあると思うので、そう思っていただいたところなのだと思います。僕自身は、今を生きています。

-では、この先の夢や目標は?

 それは言えません(笑)。自分の中にはありますが、1人でできることではないので、同じ思いを持った仕事仲間と出会ったときに形になるものなのだと思います。なので、今後の活動を見ていただき、「これだったのかな」と思っていただければ(笑)。自分の生き方として、可能性はいつも残しておきたいと思っています。こうなりたい、こうしたい、これはしたくないといったことはまったく決めていなくて。いつどこで、どんなチャンスがあって、それがどう広がっていくのかは、誰にも分からない。なので、あまり決めずに、フットワーク軽く、さまざまなことに挑戦していきたいと思っています。

-今後の活動も楽しみにしています。最後に改めて、本作に向けた意気込みと読者へのメッセージをお願いします。

 女性がメーンとなる殺陣舞台です。殺陣舞台と言っていますが、人間模様を丁寧に描いた物語もとても魅力的な作品です。まずは劇場に足を運んでいただけたらと思います。そして、物語の構造的にも1回目よりも2回目、2回目よりも3回目の方が物語をより深く楽しめます。ぜひ、何度でもご覧いただけたらうれしいです。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 舞台「紅哭‐KURENAI‐」は、5月27日~6月21日に都内・シアターサンモールほか、大阪、愛知で上演。

舞台「紅哭‐KURENAI‐」


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