小瀧望「ファンの皆さまの声に応え続けたい」 舞台「ロックンロール」では「僕たちの芝居とともに、当時のロックミュージックも楽しんで」【インタビュー】

2026年9月30日 / 12:00

 小瀧望が主演する舞台「ロックンロール」が、11月6日から上演される。本作は、世界的な劇作家トム・ストッパードが祖国チェコスロバキアを舞台に、20年以上にわたる歴史のうねりを描きながら、自由の尊さをうたう物語。愛するロックンロールと母親を守るためソ連軍の侵攻に揺れる祖国への帰国を決意するケンブリッジ大学の留学生ヤンと、ヤンの大学教授であるマックスの対照的な信念を持つ二人を中心に、激動の時代を生きる姿を描く。演出は、小川絵梨子が務める。小瀧に本作への思いや役作りで訪れたプラハの思い出、自分らしさについてなどを聞いた。

小瀧望【ヘアメーク:佐々木麻里子/スタイリスト:村田友哉(SMB International)】(C)エンタメOVO

-出演が決まったときの気持ちを教えてください。

 小川さんともう一度、ご一緒できるということで、ぜひと思いました。そのときは、概要しか聞いていなかったので、まさかこんなにも難しい作品とは思わず、後になって知ったのですが(笑)。

-小川さんの作品は、2021年の「検察側の証人」が初めてでしたが、小川さんの演出の魅力はどんなところにあると感じていますか。

 僕はあまり多く舞台をやれるわけではないので、1本1本を大事に「ぜひ、お願いします」とお答えするようにしてきましたが、そうした中で、小川さんとの出会いは、僕の人生において大きな転機になったと思います。小川さんの演出や引き出し方は、自分に合っていたのだと思います。ただ、前回ご一緒したことで、自分の稽古動画を見るようになり、動画を見ることで分かることがあるのだと気付くようになりましたし、自分はまだまだ足りていないものがあると改めて感じました。小川さんは、そうした自分を諦めずに引っ張り続けてくれて、その懐の深さにも魅力を感じました。すごくはっきりした性格の方なので、そういうところも僕は好きです。

-台本を読んだ最初の印象は?

 「なんじゃこりゃ」となりました(笑)。どういうことなんだろうという場面も多くて。もちろん、劇場で見れば、演出や装置、照明などで分かりやすく表現されるのだと思いますが、細かいところを見落とすと、急に違う場面になっていることもあるんです。そもそも、ぶつ切りの印象のある台本なので、場面が変わったら子どもが生まれていたり、いつの間にかフィアンセがいたり、言葉で説明がないことも多くて、「ちょっと待ってくれ」という展開もあります(笑)。最後も、あっという間に状況が変わっていくので、説明が欲しいところもありましたが、でもそれがこの作品の魅力の一つでもあるんだと思います。そうした時間の隙間をこちらで埋めていき、板に立っている俳優の芝居によって、「こういうことがあったのかな」と思ってもらえばいいのかなと。個性的な作品だとは思いますが、このチームで作っていけることにワクワクしますし、また一つステップアップできる作品が目の前にあるなと感じます。大変だとは思いますが、逃げずに、必要な情報を落とし込んで、チャレンジして、小川さんの要求に応えていきたいです。

-小瀧さんが演じるヤンという役柄に対して、魅力に感じたところや表現したいと考えているところは?

 素朴でまっすぐなところは自分と重なるところがあるのかなと思います。ただ、僕だったら、この時代に「ロックが好きで、ロックこそ自分の生きがいだ」と言えただろうかと考えました。それくらい、当時の時代背景や文化は、今とは違うということを理解して演じないと、この戯曲の意味がない気がします。なので、時代背景や情勢、主義の違いがあって、対立する二つのものがあるという単純な構造ではなく、さらにその中にもいろいろな派閥があるということなど、細かいディテールも届けないと面白い作品にならないと思うので、丁寧に作っていかないといけないなと思っています。それは、すごく大変なことだと思うので、ワクワクと同時に、本当にできるのかなという思いもあって。人としてのエネルギーが必要な作品だと思いますが、小川さんの演出を受けて、集中して挑みたいと思います。

-前回ご出演された「うま‐馬に乗ってこの世の外へ‐」とも通じるエネルギーを持った主人公なのではないかという印象がありましたが、アプローチは全く違うものになりそうですね。

 (「うま‐馬に乗ってこの世の外へ‐」で演じた)太郎はどちらかというと人を巻き込んでいく人物ですが、今回のヤンは巻き込まれるタイプなのかなと思います。秘密警察や政治などいろいろな時代背景がある中で、ヤンはただロックが好きで、ロックを聞き続けたいという思いからの選択だった。そうした巻き込まれた側なのかなと思っています。それは二人の違うところですね。もちろん、演じる上では、同じようにエネルギーは必要です。(大鶴)佐助くんとは「うま」でも一緒だったので、稽古中にいろいろな話をしたんですよ。佐助くんは、その時点で、すでに「ロックンロール」の台本も読んでいて、「のんちゃんはずっと話しているよ。僕はのんちゃんとしか話していない」と言っていたので、それは大変そうだなと思いました。でも、ヤンの22年間を演じることで、それぞれの役との関係性も変わってきたり、それぞれの交流の仕方も少し変わったりするのかなと思うので、それも楽しみです。普段聞き慣れない言葉が雨のように降ってくるので、それを一つひとつ、僕たちは理解しないといけない。お客さまがそれを全て理解する必要はないと思いますが、僕たちは、時代背景やそこで生きた人たちが何を考え、なぜそうしたのかということをきちんと理解して作っていかないといけないと思います。

 
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