【インタビュー】ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」木村達成「お客さまに、鳥肌が立つような瞬間を皆で作っていきたい」

2021年7月3日 / 08:00

 ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」が、9月9日から上演される。本作は、19世紀末に英国ロンドンで発生した、通称“ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)”による猟奇連続殺人事件をモチーフに、チェコ共和国でミュージカルが創作され、それを原作に韓国独自のアレンジを施したミュージカル。今回が日本版としての初上演となる。主人公の外科医ダニエルをWキャストの小野賢章と共に演じ、数々のミュージカル作品で目覚ましい活躍を見せる木村達成に、本作の魅力や出演に当たっての心境を聞いた。

ダニエル役の木村達成

-韓流ミュージカルの大ヒット作の日本版初演となりますが、現在の心境は?

 オリジナルの韓国版が初来日したときの公演を観劇された方から、「歌が素晴らしく、拍手が鳴りやまなくて、ショーがストップした」と聞きました。その話を聞いて、僕も、より頑張らなくてはという気持ちでいます。演出の白井晃さんとは、音楽劇「銀河鉄道の夜2020」でもご一緒させていただいたので、白井さんが演出されるということはとても心強いです。

-本作の魅力をどのように感じていますか。

 実際に起きた未解決事件をモチーフにしていて、全くのフィクションではないところが心に刺さっています。ですが、単なるミステリーではなく、事件解決の糸口の中にも、愛というテーマも詰まっています。愛をテーマとした作品は多いですが、僕なりにこの作品の中での「愛」を見付けていきたいと思います。

-本作に出演するに当たって、今から準備していることはありますか。

 白井さんが、ミュージカルではどのような演出をされるのか、すごく楽しみにしているので、僕自身も白井さんの要望に応えられるように、歌い方のバリエーションを増やしたり、歌唱力をアップさせていきたいと思います。

-印象的なメインビジュアルが公開されていますが、木村さんのビジュアル撮影はいかがでしたか。

 僕が演じるダニエルは、アメリカからロンドンにやってきた外科医という役どころですが、ビジュアル撮影では、当時の時代背景に合わせた、しっかりとした身だしなみの衣装での撮影になりました。衣装は何パターンが用意していただいて、その中から僕自身が選ばせていただきました。衣装を選ぶところから、自分のプランニングや、ダニエルという役作りが始まっていくのかなと考えると、その選択で合っているのかどうか、皆さんがビジュアル写真を見てどのようなイメージを持たれるのか、少し怖かったです(笑)。ビジュアル写真ってすごく大事だと思うんです。ビジュアルから得たイメージを持ってお客さまは舞台を見に来られるじゃないですか。その反響が自分の耳にまだ入ってきていないので、怖いという気持ちもあります。

-演じるダニエルという役をどのように捉えていますか。

 職業に対する偏見が一切なく、人をしっかり見ている純粋な人だと思います。その一方で、医者としてのプライドというものが果たしてあるのだろうかとも思っています。

-今年は、NHK大河ドラマ「青天を衝け」など、さまざまな映像作品にも出演していますが、映像作品への出演でどのような経験をしましたか。

 舞台では、役を全身で表現していますが、映像作品では、少ない所作などでその役を表さなければいけないと強く感じました。なので、より繊細に自分の立ち回りを考えなきゃいけないんだとテレビの画面越しに見ながら学びました。

-その経験を舞台やミュージカルでどのように生かしたいと考えていますか。

 具体的にどうするということは考えていませんが、いつかこの経験がどこかで糧になると思っているので、この経験をしっかり刻んで、今後も頑張っていきたいです。

-昨年は、コロナの影響で出演予定だった作品が中止になったりもしましたが、今、改めて舞台に立てることについてどのような思いがありますか。

 6月に大千秋楽を迎えた舞台「魔界転生」も緊急事態宣言で一部が休演となってしまいましたが、改めてお客さまの拍手が聞けたときの喜びは感無量でした。お芝居をするだけならば、役者同士が心を交わしながら演じれば成立するものだと思いますが、役者としてはやはりそれを見てもらいたい。役者という仕事は、もちろん、自分のためにやっていることではありますが、そこで作り上げたものをお客さまに届けなければ意味がないんだと考えることが増えました。もちろん、コロナ以前も舞台に立ち、お客さまのために演じるという気持ちはありましたが、よりいっそう、それが血の通った言葉になったという感じがします。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第十六回「華の影」まひろと道長の再会からうかがえる物語展開の緻密さ【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年4月27日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月21日に放送された第十六回「華の影」では、藤原道隆(井浦新)率いる藤原一族の隆盛と都に疫病がまん延する様子、その中での主人公まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の再会が描かれた。  この … 続きを読む

宮藤官九郎「人間らしく生きる、それだけでいいんじゃないか」 渡辺大知「ドラマに出てくる人たち、みんなを好きになってもらえたら」 ドラマ「季節のない街」【インタビュー】

ドラマ2024年4月26日

 宮藤官九郎が企画・監督・脚本を手掛けたドラマ「季節のない街」が、毎週金曜深夜24時42分からテレ東系で放送中だ。本作は、山本周五郎の同名小説をベースに、舞台となる“街”を12年前に起きた災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へと置き換え … 続きを読む

【週末映画コラム】全く予測がつかない展開を見せる『悪は存在しない』/“反面教師映画”『ゴジラ×コング 新たなる帝国』

映画2024年4月26日

『悪は存在しない』(4月26日公開)  自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からもそう遠くないため移住者が増加し、緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧(大美賀均)は、娘の花(西川玲)と共に自然のサイクルに合わせたつつましい生活 … 続きを読む

志田音々「仮面ライダーギーツ」から『THE 仮面ライダー展』埼玉スペシャルアンバサダーに「埼玉県出身者として誇りに思います」【インタビュー】

イベント2024年4月25日

 埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」3Fの EJアニメミュージアムで、半世紀を超える「仮面ライダー」の魅力と歴史を紹介する展覧会『THE 仮面ライダー展』が開催中だ。その埼玉スペシャルアンバサダーを務めるの … 続きを読む

岩田剛典 花岡の謝罪は「すべてが集約された大事なシーン」初の朝ドラで主人公・寅子の同級生・花岡悟を熱演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年4月25日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。明律大学女子部を卒業した主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、同級生たちと共に法学部へ進学。男子学生と一緒に法律を学び始めた。そんな寅子の前に現れたのが、同級生の花岡悟だ。これから寅子と関わっていく … 続きを読む

Willfriends

page top