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野球評論家の野村克也氏による新著「野村の遺言」(小学館)が発売され、このほど野村氏がインタビューに応じた。著書を手に取ると「若いな。こんな時代があったな…」と背番号19の捕手時代の自身が印刷された表紙を見て目を細め、「こないだ聞いたんだけど、俺の本110冊を超えたんだって。そんなに出したかなと思って。実感はまったくないね」とつぶやいた。
本著は、野村氏が野球界のためにキャッチャーのすべてを語った本格捕手論。「キャッチャーは監督の分身である」「捕手型人間とは? 名捕手の条件」「真のプロフェッショナルとして生きよ」など8章で構成され、野球のダイヤモンドを“社会の縮図”と捉えて組織においての捕手的人間の重要性を説くリーダー論ともなっている。
我々の時代はメジャーリーグに対してすごく距離感があった。メジャーリーグなんてのは地球の裏側の話ってくらい距離を感じていた。なんで今、メジャーリーグが近くなったかっていうと、テレビの力だよね。今はメジャーリーグの真剣勝負がテレビで見られる。あれを見て力が伝わってくるから。今、何人の選手がメジャーリーグで働いているかわからないけど、我々の時代からしたら考えられないこと。
キャッチャーで一番大事なのは謙虚さ。「功を譲る」、この精神がキャッチャーとして一番大事だと思う。キャッチャーはヒーローになれないの。先発完投して完封すりゃヒーローインタビューはピッチャーじゃない? リードがどうこうってキャッチャーにスポットが当たるようになったのは最近だね。我々のころにはキャッチャーには一切スポットが当たらなかった。昔は「他のポジションができないならキャッチャーをやらせておけ」というくらいの価値しかなかった。キャッチャーのファインプレーを見られる人が専門家なんですよ。ファインプレーを見られない人はへぼ監督。キャッチャーをころころ変える監督に名監督なし。
関心ない、無関心。でもファンがつくってありがたいじゃん。我々の時代と違ったなと感じるだけ。我々の時代は野球場に来るのは男ばっかり。女性なんてまず見かけなかった。旦那が野球好きでそれにくっついてくるくらい。女性同士で来るなんてなかったから、これも時代だね。いいことだよ、大変けっこうなこと。男性は女性に弱いから、女性から野球に行こうよと言われたら男性はノーと言えない。そういう意味でも、女性ファンはどんどん作ったほうがいい。
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