渡部陽一「戦争の被害者はいつも子どもたち」 戦争最前線の悲惨さを語る

2015年2月13日 / 20:18

 「誰もが戦場という狂気から逃れられない」と語った渡部陽一氏

 映画『アメリカン・スナイパー』のトークショー付き試写会イベントが13日、東京都内で行われ、戦場カメラマンの渡部陽一氏が出席した。

 従軍カメラマンとしてイラク戦争やアフガニスタン戦争などで取材を行ってきた渡部氏は「どの戦場でも共通していたことは、戦争の犠牲者はいつも子どもたちだということです」と言い切った。

 「紛争地では情報統制や国境が閉ざされたりして、その中で何が起こっているのか分からなくなってくる。泣いている子どもたちの一人の声でも伝えることができればと、戦場カメラマンとして記録を残していきたいと思っています」と語った。

 前線のキャンプ地で過ごす中で、兵士たちは「一度戦場に足を踏み入れた者は必ずそこへ戻ってくる」、「戻りたいという衝動に体が侵されていく。中毒のような症状だ」と語るという。渡部氏は「“ウォーフォトグラファーシンドローム”という言葉が使われますが、日本人の僕でも他国のカメラマンでも兵士でも、そこから逃れることはできないと、前線に立つ兵士が口をそろえて言っていました」と明かした。

 イラク戦争に参加した米軍の伝説のスナイパーの半生を描く本作。渡部氏は「誰もが戦場という狂気から逃れられないということをこの作品からはっきり感じました。米軍の姿は、イラクの人々と接する様子が生々しく描かれていました。現場の状況と重なる部分、それぞれの兵士の気持ちの壊れ方をさまざまなシーンで感じました。非常に生々しく深いイラクの声が聞こえてきました」と感想を語った。

 映画は2月21日から丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー。


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