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今年20周年を迎えたサンリオキャラクター「クロミ」が、アーティスト「KUROMI」として、10月22日に1st EP『KUROMI IN MY HEAD』をリリース。そしてTOY’S FACTORYからメジャーデビューしたことはインパクトがあったが、メジャーデビュー当日、新宿の歌舞伎町シネシティ広場で開催されたEPリリース記念フリーライブを観て感じた。これは、世代を超えた人気キャラクターが新たなかたちでハートに希望を与える一歩だと。
小雨が降り、12月並みの冷え込みだった夜、会場には抽選で選ばれたKUROMIES(ファンネーム)と、ふらっと立ち寄った通行人を合わせて、約700人が集まった。実は今回のメジャーデビューは、2021年10月31日にオリジナル曲「Greedy Greedy」でアーティスト・デビューを飾るとともにスタートしたクロミと一緒に“自分史上最高の自分”を目指す新プロジェクト『#世界クロミ化計画』の一環でもある。
ステージ背面の紫のキルティング模様の背景に、EPタイトル『KUROMI IN MY HEAD』が映し出されたLEDスクリーン。その前に現れると思われていたKUROMIが、さらに高い位置にある特大サイズのKABUKICHO TOWER VISIONにもリアルタイムで映し出されるとともに、ビルドアップに合わせて「かわいい」と歌いながら、会場を驚かせた。その迫力に思わず視線を奪われたが、もちろん、『KUROMI IN MY HEAD』の表示がなくなったステージ上には、黒い背景の前、確かにヘッドセットマイクを身に着けた3DルックのKUROMIがいた。
1曲目に披露された「KUROMI▽Profile」(※)(重盛さと美)は、タイトルの通り、KUROMIの自己紹介ソング。韻を踏みながら、楽しさが徐々に広がっていくナンバーだ。交錯する攻めたメロディと守りのメロディの変化に合わせるKUROMIの表情がひときわ新鮮に映った。〈誰かの理想? なんてなりたくない〉と強気の歌詞。ゆっくりと目を閉じては、次の拍で軽やかに走り出し、時にくるりと360度回転してみせる。全身全霊でKUROMIなりにステージを精一杯に使う姿が、なんだかとても可愛らしくもあり、私は私のままでいいと、そんな勇気をもらえた気さえする。「Dolce Vita」(Daoko、ケンモチヒデフミ)を通して見せたのは、ただ可愛いだけでもない、大人なKUROMIの歌声。棘の刺さったエレクトロポップが、黒いずきんとピンクのどくろがチャームポイントのKUROMIの唯一無二の存在の強さを表しているように思えた。
若者が集う歌舞伎町のど真ん中で、クラブミュージックのような雰囲気を持ち合わせたKUROMIのオリジナル曲が大音量で鳴り響く。その光景の実現にこそ、きっと意味がある。流行も何もかもを最先端で感じ取って、いずれ世界をKUROMI色に染めたいというKUROMIの願望から来ているのか。
「チューニングダンサー」(ボカロP・かいりきベア)も、KUROMIの個性を的確に捉えた1曲だ。重厚なサウンドに身を委ねるように、片足に重心を預けながら歌うKUROMI。その姿に、サビでの真っ赤な照明が重なり、熱気の上昇が感じられた。どんなに転んでも、強気でいる。そういうKUROMIの前向きな気持ちが現れた1曲だったと思う。
ハロウィーンソング「ハピハロ!!」(真部脩一)では、これまで真っ暗だった後方のスクリーンに、オレンジ色のかぼちゃが映し出されるとともに、ステージの天井からは星形のオブジェがいくつも吊り下げられ、ファンタジックなムードが広がった。KUROMIのダンスも光った最後、必死に片手で会場に向けて手を振っているように見えた。声を上げて観客をリードする、まだ未完成の輝きが今はただただ愛おしい。
「なんでアタイが歌を歌うのかって? そりゃあ、アタイがアタイのままいろんなパフォーマンスをする姿を見てアンタたちにも自信を持ってほしいからに決まっているじゃないか! アタイの歌がアンタたちの背中を押せたらいい。 お守りみたいになれたらいいな! だって、今ここにいるアンタたちはそのままでサイコーなんだから!」
日常に寄り添う温度が感じられた「OHIRUNE DAY DREAM」(lilbesh ramko)。目を閉じて〈ずっとこのまま遊べたら〉で勢いよく走り出すKUROMI。繰り返される日常。変わりゆく景色。けれど、そのなかでも唯一変わらない自分。そこに輝きは持っていたい。日常の中に光があるから前を向ける。煌めくシンセに乗せて、力強く何度も放たれた〈今も〉の言葉。その矛先が観客一人ひとりに向けられているように感じたのは、KUROMIの“届けたい”という想いが、それほどまでに真っ直ぐだったからだ。
約20分の短尺ライブで、披露された曲はEPに収録された5曲のみ。KUROMIに向けられた観客のまなざしは、初めて珍しい物を見たときの驚きに似ていたと思う。いつかこの夜の熱気の先に、KUROMIとKUROMIESが同じ景色を見つめる日がやってくるだろう。来年1月には、なんと東名阪でのZeppツアーも控えている。KUROMIというアーティストが、ひとり一人のハートを芯から震わせていく。その序章を味わえた。
Text by 小町碧音
Photo (c) 2025 SANRIO CO., LTD. 著作 株式会社サンリオ
◎セットリスト
【KUROMI 1st EP『KUROMI IN MY HEAD』リリース記念フリーライブ】
2025年10月22日(水)東京・KABUKICHO TOWER STAGE
1.KUROMI▽Profile(※)
2.Dolce Vita
3.チューニングダンサー
4.ハピハロ!!
5.OHIRUNE DAY DREAM
※▽=特殊記号のハート
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