<ライブレポート>magora、満員の観客との一体感で創り上げた初のビルボードライブ公演

2025年5月14日 / 19:00

 magoraが、ワンマンライブ【magora Billboard Live Tour 2025 “yurameki”】を2025年4月23日にビルボードライブ横浜で開催。満員の観客と共に、貴重な一夜を共有して盛り上がった。このレポートでは1stステージの模様をお届けする。

 ビルボードライブには初出演となる、シンガーソングライター・magora。3人組の動画クリエイター「Kevin’s English Room」内で、日仏英の3ヶ国を操る「やまちゃん」としても知られており、ソロアーティストとしては2019年に活動を開始、2021年にYouTubeチャンネルにてカバー動画を公開、以降オリジナル曲もコンスタントに発表。2024年11月にはそれまでの活動の集大成とも言える1stアルバム『kotohogi』をリリース、初のワンマンツアーも大成功させている。着実にキャリアを重ねている今注目のアーティストということもあり、チケットはソールドアウト。あいにくの雨の中たくさんの人が足を運び、客席はギッシリと埋まっていた。

 開演時間になると、まずバンドメンバー(大樋祐大(Key) ウインナーボーイJAPAN(Gt)山本連(Ba) 澤村一平(Dr) 岡本啓佑(Per) Kaya(Cho))がステージへ。カウントからドラム、パーカッションがリズミカルに演奏を始めると、白い衣装に身を包んだmagoraが姿を現した。「Ladies and gentlemen, welcome to Billboard Live!」ステージに上がると両手を広げて、大喝采で迎える客席に一礼。ギターのカッティングが加わると、「kotohogi」 からライブがスタートした。眩い照明が客席とステージを行き来して、周囲を見渡しながら軽快に歌うmagora。その歌声は甘く、古のポップミュージックの味わいも感じさせるもの。〈お祝いしなくちゃね〉と繰り返すサビでミラーボールが回り、Billboard Live初出演を盛大に祝う華やかな幕開けとなった。曲はシームレスに「昂ぶって」へと続き、ステージを端から端まで使ったパフォーマンスを見せる。クールな序盤から徐々に熱量が上がって行く絶妙なバンドのアンサンブルに乗せたキャッチーなメロディが心地良い。パーカッションソロから「Dance Dance Dance」が始まり「こんばんはBillboard Live!」と声をかけるmagoraに応える会場の沸騰ぶりに、この日を待っていた期待感が伝わってくる。ベースソロから早口のフロウとバンドのフリーキーなプレイが重なりさらに興奮を煽る。

 「ようこそ、Billboard Liveへ! 飲んでますか? 食べてますか? 楽しんでますか? (最前例を見ながら)びっくりするぐらい近いよね。まあ、ようこそなんて言ってますけども、僕も初めてきたんですけど。今日のビルボードのために新しい曲を作ってきました。今の僕の気持ちを歌った歌です」

 歌い出した曲は、「カーテンコール」。スポットを浴びてアカペラで歌うと、すかさずクラップで一杯になった。ミディアムテンポから疾走して行く展開が爽快だ。〈響け この声よ響け〉〈走れどこまでも〉と、アーティストとしての想いが伝わってくる歌詞、アウトロのギターソロが熱く心を揺さぶる。その熱さをクールダウンするような「スロードライブ」では、夕暮れを思わせるライティングの中で歌い、コーラスとの美しいハーモニーを聴かせる。ギターが泣きのチョーキングで酔わせて、しっとりと余韻を残した。「爽やかな風に」で両手を上げてクラップを求め、マイクを向けてコーラスを促す。〈Singin’nanana……手叩いてこうぜ 今日はいい日になる〉と、まさにこの日に相応しい歌詞が一体感を生んだ。

 「あらためまして、ようこそBillboard Liveへ。夢のような舞台に立てて幸せです。いやもう、本当浮いてたんじゃないかなって思うぐらいドキドキワクワクしていました。このステージに立つと、より一層胸の高まりがあります。ここまで来れたのは、ひとえにひたすら幸運だったこと、そしてみなさんが僕の音楽を聴いて、いつも応援してくれているからだなと思っています。本当にありがとうございます。みなさんの幸せを願いながら、こんな雨の日にも、ちょっとでも晴れるように歌います」

 椅子に腰かけてピアノの旋律に乗せて語り掛けるように歌われた「Water-repellent」では、途中から加わったバンドのタイトな演奏も相まって、内面の強さが表現されていた。続く「ゆれる」でも、静かにゆったりとしたメロディを口ずさむmagoraに、客席はじっと耳を傾けていた。続いてギターのボリューム奏法からドライブ感溢れる新曲「Hitchhike」へ。キーボードのノスタルジックな音像と抑え気味なボーカルが情景を描くとミラーボールがまわり、客席は再びクラップで盛り上がった。MCでは、この曲が大学のときに卒業旅行で、東京から大阪までヒッチハイクをしたときの思い出を歌った曲であることがエピソードと共に明かされた。

 「Billboard Liveって立ってもいいらしいよ? というわけでここから最後まで、よかったみんな立って楽しんでください!」

 そう呼び掛けると、客席は総立ちに。「Busking Song」の弾む演奏とメロディに乗せて、〈Lalala……〉とコーラスの大合唱となった。ここでバンドのメンバーが紹介され、ベース、キーボード、ギター、ドラムとパーカッションの掛け合いの順にソロプレイで客席を沸かせた。ライブ序盤から、度々プレイヤーのソロを挟んだり紹介する場面があり、バンドサウンドへのこだわりを感じさせた。「新しい曲をやります!」と披露された「Ol’ men’s beat」オールドマンズ・ビートでは、躍動的でキメも多くさらにバンドのグルーヴが強調されて、magoraのソウルフルな歌唱に客席も盛り上がりっぱなし。親しみやすい曲調で、新曲にも関わらず多くの人が曲中のスキャットを一緒に歌っていた。「最後の曲です!」と告げると悲鳴にも似た声が客席から上がったものの、「愛し愛され」でリズミカルに活き活きと歌い上げるmagoraを会場全体がクラップで盛り立てた。

 Tシャツ姿で登場したアンコールでは、MCで活動への想いが語られた。「アンコールありがとうございます。今日が集大成なんだけど、それと同時に今日のこの1ページも、また次のライブの時には、自分たちの後ろに続いている道になって、それをみんなと一緒に進んでいけるっていうことが、何よりも幸せなことだなと思っています。ここまで来れたのはみなさんのおかげですし、父親、母親、支えてくれたみんなのおかげだなと思っています。最後にそんな思いがちょっと届けばなと。こんな雨の日でも、ちょっとでもみんなの日差しになれればなという歌をお届けしたいと思います」。アンコールで歌われたのは、ライブのタイトルにもなっている「yurameki」。ゆっくりとミラーボールが回り、ステージ中央からの力の籠った歌声が、客席の隅々まで広がって行きBillboard Liveをあたたかく包み込んだ。「ありがとうBillboard Live! ありがとうみんな!」。深々と一礼して感謝すると、大喝采の中でお客さんたちとハイタッチしながらステージを後にした。見事な歌とバンドの演奏のみならず、終始一貫サービス精神満点で楽しませて、Billboard Liveのステージと客席の近さ以上にファンとの距離の近さを感じさせた、お客さんと共に創り上げた最高に一体感のあるライブだった。

Text:岡本貴之
Photo:Chiaki Machida

【magora Billboard Live Tour 2025 “yurameki”】
2025年4月23日(水)神奈川・ビルボードライブ横浜
〈1st セットリスト〉
1. kotohogi
2. 昂ぶって
3. Dance Dance Dance
4. カーテンコール
5. スロードライブ
6. 爽やかな風に
7. Water-repellent
8. ゆれる
9. Hitchhike
10. Busking Song
11. Ol’ men’s beat
12. 愛し愛され
En. yurameki


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