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SixTONESが、1月24日から27日にかけてドームツアー【YOUNG OLD】を東京・東京ドームにて開催した。
2024年開催の【VVS】ツアーで、自身初の4大ドームツアーを成功させていたSixTONES。今回は昨年も回った4か所に、北海道・大和ハウス プレミストドーム(札幌ドーム)公演を加えた、初の5大ドームツアーを完走した。本稿では、ツアーの皮切りとして4日間にわたって開催された東京公演のうち、最終日の1月27日公演の模様を全曲レポートでお届けする。
まず、公演から3か月ほど経った今でも、公演を思い出して真っ先に思うのが「あんなド派手なステージ、実現できたんだ!?」ということ。今回のツアータイトル【YOUNG OLD】には、公演直前にリリースされたアルバム『GOLD』のタイトルを回収しつつ「老若男女(=YOUNG OLD)にとって、“GOLD”なライブにしたい」という思いが込められているという。“GOLD”が意味する視覚的な煌びやかさやインパクト、それに負けない6人の華やかさを――あえて言うなら、“くらわされた”約2時間半だった。
開演時間を迎え暗転すると、ステージの紗幕が落ち、目に飛び込んできたのは金色に彩られた大きな3階構造の櫓。“GOLD殿(ゴールデン)”と、これまたSixTONESらしい景気の良い名前が付けられたそれに目を奪われていると、途端にそこから火が噴き出る。あまりの急展開に動揺していると、いつの間にか3階部分に大蛇が現れ、そのとぐろに巻かれるように6人がいるではないか(この蛇はイス状になっていて、腰掛けられる構造になっていたようだ)。「Golden」の曲名の通り、セットといい黄色く上がる火花といい、ステージ上はとにかく煌びやか。間奏ではファイアボール、ラストサビでは6人を包み込むように黄金の火花が爆発音とともに上がり、「屋内ってこんなに燃やしていいんだ……?」という感想が湧き上がってくる。まだ1曲目なのに、もはやクライマックスなのかというくらいの特効量だ。
「PUNK STAR」で6人がファーコートを靡かせながらステージ1階に降りてくると、「Waves Crash」では振付に合わせ、視界のあちこちから炎が噴き上がっていく。アリーナクラスならまだしも、ドーム規模の会場で、特効の火薬の匂いがスタンド席まで漂ってきた経験はこの時が初めてだった。すると「DON-DON-DON」ではセンターステージに6人が集まり、そのままステージが下からスモークを出しながら上に迫り上がっていき、「Dance All Night」ではセンターステージから放射状に3本広がるような形だった花道が、曲中にそれぞれ半分に分かれ、なんとアリーナの観客の頭上を横切って、巨大な六角形に形を変えた。前回の【VVS】ツアーの際もSixTONESが乗りこなすド派手な特効は衝撃だったが、ここまで畳み掛けられる、そして予想もつかない演出の嵐には“度肝を抜かれる”ほかなかった。しかし、まだ5曲目なのである。
息つく間もなく続いたのは「こっから」。前回のライブ本編を締めくくったこの曲が、ライブ序盤の着火剤的な位置づけなのも本公演の景気の良さを感じさせる。森本慎太郎の「東京ドーム! 開幕じゃー!!」との咆哮がより会場のボルテージを上げていった。そこからはバンドメンバーのソロ回しを経て、松村北斗&森本のユニット曲「Don’t Know Why」へ。SixTONESの低音を一手に引き受け支える松村と、時に“キャラメルボイス”とまで形容される甘い歌声の森本、そのマリアージュがR&Bテイストの楽曲の大人っぽさをいっそう引き立てる。そしてこの雰囲気のまま、6人揃ってKroiが提供した「Underline」へ。背景には例の“GOLD殿”がそびえ立っているはずなのに、この曲のファンクな横ノリに身を任せれば景色はすっかりNYの夜。1番から2番の間奏でのジェシーのフェイクからは、彼らもこの豪華なステージを心から楽しんでいるさまがありありと伝わってきた。
「Strawberry Breakfast -CITY ver.-」「BORDERLESS」と爽やかに、時におふざけも挟みつつ続けると、花道が再び構造を変え、元の3つの道が放射状に伸びる形に。そこから一気に雰囲気を変えて「Cat Call」「MIDAS」をセクシーに披露。そして6人を大量のスモークが覆い隠すと……始まったのはアルバム『GOLD』でも一際異彩を放っていた、マキシマムザ亮君(マキシマム ザ ホルモン)からの提供曲「恋のバタリアン」だ。セットを彩る照明もピンクやレインボーと一気にファンシーに。コール&レスポンス部分では全力で盛り上がり、デスボイス部分ではステージを所狭しと駆け回る6人の姿に、会場もエキサイト。途中ヘッドバンギングのパートでは、ここはホルモンのライブ会場だっただろうか?と思ってしまうほど観客も自然にヘドバン。曲終わりには謎の爽快感に包まれていたのが印象的だった。
いよいよ前半を終え、ここからはもはや彼らのお家芸でもある超ボリュームのMCパートに。5人のボケにひたすら田中樹がツッコみ続ける一幕を経て、これまで読んできたマンガの話で大盛り上がりしたり、ジェシーが先ほど披露した「Cat Call」にかけて耳付きの帽子をかぶっていたが、広いドームの会場ではほとんどの観客から見えていなかったことが判明したり……と、怒涛の6人しゃべりがノンストップで繰り広げられた。ふたたびライブパートに戻ると、その楽しい雰囲気から一転、6人とも座って「Curtain Call」「ここに帰ってきて」をアコースティックセットで披露。アーバンでタイトな「ONE by ONE」からはふたたび立ち上がりダンスモードに。「キカナイ」では京本大我を5人で取り囲む印象的なフォーメーションや、背後のモニターが強く6人を照らし、逆光でシルエットだけが浮かび上がる演出がスタイリッシュで、曲終わりには自然と拍手が湧き上がっていた。
繊細なピアノソロから始まったのは、ジェシーと京本によるミドルテンポの王道バラード「You are the only one」。SixTONESの中でも特に圧倒的な歌唱力を誇るふたりのユニット曲で、ドームいっぱいの空気がふたりのハーモニーで震え、広がっていくさまが全身で感じ取れるようだった。そこからはまた、6人横並びで見せたゆるっとしたダンスがチャーミングな「SPICY」を挟むと、「THE BALLERS」「GONG」と疾走感たっぷりのライブに映える曲を重ね、髙地優吾&田中のユニット曲「PARTY ANIMAL」へ。キーといい声質といい、過去曲からも“オートチューン映え”が約束されたふたりのエレクトロ・チューンで、会場内には色とりどりのレーザーが縦横無尽に飛び回り、さながら会場はクラブのような様相に。
そのテンションも醒めきらぬまま、聴こえてきた「ABARERO」のイントロに6人の姿を探すと、なんと船首に蛇を模った木造船に乗ってアリーナ外周から迫ってきている。その和洋折衷にも程があるセットといい、普通のトロッコよりも随分高さのあるそれに平気で片手で捕まり、まさかの船の外まで体を大きく揺らして観客を煽る6人といい、驚きであっけに取られていると「Special Order」「Bang Bang Bangin’」とキラーチューンを畳み掛け、熱狂が会場を覆い尽くす。そして、アリーナを一周しメインステージに戻って披露された「SHOCK ME」のカオスさといったら! “GOLD殿”から飛び散る火花、盛大な爆発音、吹き上がる火柱……4つ打ちのビートに合わせて、とにかく視界が黄金に燃え続けているのだ。凄まじい炎の量は直視できないほど眩しく、屋外公演、なんなら花火大会でもここまでの勢いはなかなか見ないほど。この視覚/聴覚ともに出力マックスな流れがあったからこそ、そこから間髪入れずに続いたコリン・ブリテン(リンキン・パーク)提供の「WE ARE ONE」がまるで、花火の後の暗く、しかしどこまでも澄んで広がっていく夜空のようなスケールで響きわたったのだと思う。感情が昂ったのだろう、いつも繊細な歌を聴かせる京本がソロパートでがなりを効かせ、音程なんて気にしてられない!といわんばかりの歌唱を見せていたのにも驚かされた。最後は金吹雪が舞い散るなか、“GOLD殿”の中へ6人が吸い込まれていき、本編が終了した。
しかし、ここで満足する“Team SixTONES”ではない。巻き起こる「SixTONES!」コールに呼ばれて、興奮醒めやらぬままアンコールはパーティーチューン「Fiesta」からスタート。6人は各々和風モチーフのトロッコに乗り込み、アリーナを縦横無尽に駆け回る。この曲を提供した湘南乃風へのリスペクトも含めてか、メンバーも観客も一緒になって、ペンライトやタオルなど手に持ったものをサビでぐるぐる回してテンションを上げていく。また「Good Luck!」のライブ恒例日替わりラップパートは、田中の指名でこの日は「SixTONES6人」全員で駆け抜けた。
ジェシーが起点となったアカペラから続いた「音色」では、この曲の肝である6人だけでのアカペラ部分を、今日は集まった観客に託した。その想いに応えるように、〈出会えただけで 特別な毎日/あぁこうして 僕らは今 歌ってる/たまたまじゃなくここに着いた〉と歌う観客たちの歌声にもいっそう力がこもる。その響きに耳を傾け、真剣な表情で見つめ、時に頷く6人。最後は〈このまま一緒に 歩いて行こう〉と改めて約束を交わし、温かいムードで終わ……らせないのがSixTONESらしいところ。最後の一曲はゴリゴリのEDM曲「WHIP THAT」で踊りまくり、金テープの舞う“GOLD”な景色のまま幕を下ろした。
本稿でレポートした東京公演の後は4都市9公演をまわり、2月22日の大阪・京セラドーム大阪では最新シングル「バリア」の初披露もおこなわれていた本ツアー。今改めて振り返ってみて、一般的にもそのアーティストならではの大掛かりな演出が目玉であるドーム規模の公演としても、異様なまでのド派手さと特効量に動揺してしまう。「こんなのアリ!?」を実現してしまう6人の、ちょっとやんちゃな遊び心といい、演出にのまれない胆力といい――そして、不景気と言われて久しいこの日本で、まさにそんな時代の渦中に生を受けたSixTONESの6人がこんなにも自由にギラギラと輝くさまに、不思議な痛快さを感じたのはきっと私だけではないはず。彼らは揺るがない。だって〈止まるわけねえ/俺らが最強〉なのだから。
Text:Maiko Murata
◎公演情報
【SixTONES LIVE TOUR 2025「YOUNG OLD」】
2025年1月27日(月) 東京・東京ドーム
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