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シンガー・ソングライターの高橋あず美が、自身初のビルボードライブ公演【高橋あず美 premium night at Billboard Live TOKYO】を2025年3月31日に開催。一夜限りの貴重なステージで圧巻の歌声を披露し、集まった観客を魅了した。このレポートでは、2ndステージの模様をお届けする。
高橋あず美は、ゲーム『ペルソナ3 リロード』のサウンドトラックに収録された「It’s Going Down Now」(Lotus Juice / 高橋あず美 名義でリリース)が世界でヒットしている話題のミュージシャン。ASKA、DREAMS COME TRUE、YUKI、AIなど、そうそうたるアーティストたちのバックコーラスとしても活躍している他、アメリカでのストリートライブをきっかけに、アポロシアターでの【アマチュアナイト2019】で年間チャンピオンに輝くという日本人シンガー初の快挙も達成するなど、グローバルな活躍を続けている。ビルボードライブ東京には、2024年12月18日開催されたギタリスト/プロデューサーのakkinのバースデーライブに出演して以来の登場で、単独公演は初めてとなる。
開演時間を少し過ぎた頃、バンドメンバーの柴田敏孝(Pf.)、Yuma Hara(Gt.)、堀井慶一(Ba.)、髭白健(Dr.)、植松陽介(Cho. / Gt.)、Kayo(Cho.)が次々とステージへ。ピアノの静かな旋律からアコースティックギター、ベースの音が加わると、大きな拍手で主役が登場した。右手を上げながら、「山から下りて来たよ~! 高橋あず美です。楽しんでいってください!」と客席に向かい声をかけると、「お山のうた」からライブがスタートした。長野県の乗鞍高原出身で自然に囲まれて育ったという、本人のルーツも感じさせる曲だ。爽やかなサウンドに乗せてゆったりと伸びやかな歌声が、コーラスと重なり広がっていく。2番でバンドの演奏が躍動すると、客席から手拍子が起こる。「みなさんご一緒に!」と呼び掛ける高橋に応えて、「ララララ~」と会場中から声が上がる。続けてすぐに始まったのは「東京かくれんぼ」。疾走するダンサブルな演奏に体を揺さぶられる。ビルボードライブのステージによく似合うスタイリッシュな音像と歌が心地良い。「ながいよる」では、フリーキーな演奏とソウルフルな歌唱に引き寄せられた。バンドがピタッとブレイクして客席がざわめき出すと、高橋がグッとサムズアップして間を取ってから合図を送り再び演奏へ。息のあったバンドのグルーヴの中で歌う高橋はいきいきとして、曲の最後でロングトーンを聴かせると大きな拍手が送られた。
「すごくいっぱい来てくれてる! ありがとうございます。ビルボードライブといえば、私はずっと観ている側でした。学生の頃はバイト代でビルボードライブやブルーノートで素晴らしいアーティストを勉強しに観に行ってました。素晴らしい仲間たちに恵まれて、こうやってビルボードライブに立てることを感謝しています! 今日のライブはめちゃめちゃこってり、モリモリです。好きなように盛り上がってください。」
そんなMCから「いつかきっと」へ。アコギのストロークと力強いドラムのリズムと共に、呟くような前半から徐々にパワフルに、力の籠ったメッセージを歌う。誰もがじっとステージの高橋の姿を見つめながら、熱い歌声に聴き入っていた。「ココロノママニ」では、間奏のギターソロも相まってスケールの大きなサウンドスケープが広がっていく。高橋は遥か遠くまで届きそうなシャウトを清々しく解き放った。ピアノの音色が静寂の中で響くバラード「今だけ」で雰囲気は一変。身振り手振りしながら切なさを表現した高橋の、曲の世界に没頭する姿に魅了された客席から、歌い終わると盛大な拍手が送られた。
MCでは、ゲーム『ペルソナ3 リロード』のバトル曲やオープニング曲を担当しており、そのサウンドトラックに収録された「It’s Going Down Now」が、ビルボードジャパンが発表する海外で聴かれている日本の楽曲チャートで首位を獲得したことを報告。この日のライブは、そのことをきっかけにビルボードライブから声がかかり、実現したものであることを明かした。そこで、『ペルソナ3 リロード』から高橋の存在を知ったお客さんがいるのか呼び掛けると、ステージフロアから手が上がった。すると「今日はペルソナの曲はやらないんだよ~(笑)」と申し訳なさそうな高橋。「でも、うれしいから一節アカペラで歌ってもいいですか?」と、「It’s Going Down Now」の、〈Disturbing the peace / Look into my eyes〉から始まる疾走感溢れるサビメロをアカペラで歌い上げて、大喝采を受けた。
「とっておきのスペシャル・ゲスト」として、コーラスの植松陽介をセンターに呼び込み、2人が組んでいるユニット“あずみょうすけ”で新曲「あいまい」を披露。エモーショナルなギターから始まり、植松から高橋へとリレーするメロディがやがて綺麗なハーモニーとなる。ユーモアたっぷりで軽妙な掛け合いもあり、ほっこりと温かな気持ちになるコーナーだった。
再び1人で中央に立つと、バラード曲「愛しい君へ」を披露した。明瞭に言葉の1つ1つが聴き取れるボーカルは、バンドの演奏が激しさを増すとより迫力を増して迫ってくる。壮大にエンディングを迎えた曲の余韻の中、柴田が弾く流麗なピアノソロにしばし耳を奪われる。そのままピアノ伴奏のみで歌われたのは「絵空事」。阿吽の呼吸による歌とピアノで描かれる心象風景、その真摯な歌声に思わず涙した観客もいたようだった。
ライブは終盤へ。人生の大きな転機として、2018年にたまたま訪れたNYの地下鉄で行ったストリートライブでビヨンセの「Listen」を歌ったときのことを振り返る高橋。その経験から、もう一回何かに挑戦しようと奮い立ったことで、2019年にアポロシアターのアマチュアナイトで4回勝ち抜き、年間チャンピオンになることができたという。「でも、忘れられないのは1回目のステージで歌ったときの声援や最後のスタンディングオベーションでした。あの景色はアメリカでしか味わえない経験でした。それがきっかけで、素晴らしいアーティストの方々のサポートをさせてもらったり、ペルソナでの歌唱も、映画『キャッツ』も(日本語吹き替え版でグリザベラ役を演じた)全てがアメリカでの経験が繋げてくれたご縁でした。ふと足を運んだ先でチャンスを掴めたおかげで今があると思うと、続けてきて良かったなと思います。次は、アマチュアナイトで挑戦した歌を、気合を入れて歌います。」との紹介で、「And I Am Telling You I’m Not Going」へ。これが鳥肌もののすごい歌唱だった。全身を使った迫力のパフォーマンス、まさに心を震わせる魂の熱唱に思わず場内が静まり返る。最後にスポットライトを浴びてアカペラからシャウトして曲を締めくくった高橋に、会場中から大歓声と拍手が沸き起こった。
「この曲を歌うときに思うのは、本当に“継続は力なり”。好きなことを続けた先に、素敵な出会いや出来事が待っていると思うと続けたくなります。」最後に歌われたのは、人生で初めて書いたという「BELIEVE」。ミディアムのゆったりとしたタイトなサウンドが、地に足がついた感じのシンプルな言葉で紡がれた歌詞とリンクして、歌からあふれるエネルギーが観客を包み込んだ。
「(ステージから)はけないけど、アンコールやるよ!」との宣言通り、その場でアンコールを求める手拍子に応えると、メンバー紹介から「花が咲くとき」の歌詞をお客さんにレクチャー。しばらくして演奏が始まったものの、あまりにハッピーなムードに高橋とメンバーが笑い過ぎて(そういうことにしておきます by 高橋)やり直す事態に。再開すると、ステージバックのカーテンが開き広がった夜景を見ながら、「桜が綺麗!」と高橋。会場中が一体となる大合唱と手拍子で最高の盛り上がりとなって、最後は高橋とバンドメンバーにスタンディングオベーションが贈られる中、貴重な一夜限りのライブは大団円となった。
Text:岡本貴之
Photo:Masanori Naruse
◎セットリスト
【高橋あず美 premium night at Billboard Live TOKYO】
2025年3月31日(月)東京・ビルボードライブ東京
1. お山のうた
2. 東京かくれんぼ
3. ながいよる
4. いつかきっと
5. ココロノママニ
6. 今だけ
7. あいまい
8. 愛しい君へ
9. 絵空事
10. And I Am Telling You I’m Not Going
11. BELIEVE
En1. 花が咲くとき
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