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ベンソン・ブーンが、初となる来日公演を2025年1月14日に東京・Zepp Haneda(Tokyo)にて開催。彼の卓越した歌声、エネルギッシュなパフォーマンスは、待ちわびた日本のファンを熱気と感動に包み込んだ。本稿では、彼の記念すべき初来日公演の模様をお届けする。
現在22歳にして、新世代ポップスターとして活躍するシンガーソングライターのベンソン・ブーン。彼を一躍スターダムに押し上げたのは、言わずもがな「Beautiful Things」の世界的スマッシュ・ヒットだ。2024年1月にリリースされた同曲は、米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で最高 2 位、グローバル・ソング・チャート“Global 200”で1位を記録。そして、2024年の年間Hot 100では3位を獲得した。TikTokなどのSNSプラットフォームでもバイラルヒットが起き、まさに2024年を代表する楽曲、アーティストであったと言っても過言ではないだろう。世界中から注目を受ける彼のパフォーマンスを目にしようと、公演には胸を躍らせた多くのファンが集った。
会場が暗転、オープニングSEが流れ始めると、ベンソン・ブーンがステージへと登場。トレードマークである口ひげに、光沢を帯びた水色のセットアップで現れた彼の姿は、まるで80年代のポップスターのようだ。昨年リリースされたフル・アルバム『Fireworks & Rollerblades』の1曲目「intro」の演奏が終わると、なんとステージ上からバク宙で飛び降りた。オーディエンスが歓喜と驚きの声を上げると、間髪入れずに「Be Someone」へ。ステージを駆け回りながら歌う彼と大歓迎のファンにより、会場のボルテージは急上昇。続いて、コーヒーケーキをテーマにしたアップテンポなラブソング「Coffee Cake」、R&B風のダイナミックなナンバー「Drunk In My Mind」が披露された。力強さと繊細さを併せ持ったボーカルに、序盤から圧倒されたのだった。
類まれなる歌声に加え、純粋でフレンドリーな人柄も彼の魅力の1つと言えるだろう。曲間のMCでは、1人の観客に向けて、「What’s your name?(名前は?)」「Where are you from?(どこから来たの?)」と投げかけ、ナチュラルなコミュニケーションをとっていた。“アーティストとファン”といった相対する関係性ではなく、同じ目線で、まるで友達であるかのように触れ合っているように感じた。そんな会話の後に歌唱された、ファンにとってのアンセム的楽曲「Cry」や、カントリーテイストの「Pretty Slowly」では、更に一体感を増したオーディエンスによるシンガロングが巻き起こった。会場全体が幸福感と笑顔でいっぱいだ。パフォーマンスや楽曲はもちろんだが、彼の温かさ溢れる親しみやすい人柄も、ファンを惹きつける大きなファクターだろう。また彼は、今回のファンとの会話の中で、「大好き」という日本語を覚えた。音楽シーンをときめくスターに、愛らしさを感じた瞬間だった。
彼がステージ中央のピアノを弾き始め、会場に静寂が訪れた。切ないピアノの旋律に始まる「Slow It Down」だ。雲の切れ間から差し込む光が徐々に広がっていくような展開を見せる同曲。曲のリズムに合わせて観衆の鼓動が高まっていくと同時に、彼のテンションも上がっていく。続いて歌い出したのは、自身が苦難に直面した時における“友達”の大切さをテーマにした「Friend」。温かさや希望を与えてくれる楽曲が続き、会場はエモーショナルな空間へと遷り変わっていく。アコースティック・ギターのフォーキーな音色が特徴的な「Hello Love」を経て、力強いドラミングとボーカルが光る「What Was」へ。演奏される楽曲それぞれがダイナミクスに富んでおり、1本の映画を見たかのような充実感をもたらしてくれる。そして、それら楽曲の中心にあるのは、彼の美しく豊かな歌声だ。悲しみや喜びなど、全ての感情が生の声を通して伝わってきた。
MCパートを経て、「大好き!」というファンからのラブコールを受けながら、キャリア初期の名曲「In The Stars」を奏で始める。同曲は、“大切な人との別れ”を歌った切ないスローバラード。切ないメロディーの中に溶け込んだ優しい歌声は、観衆を前向きな気持ちにさせてくれたに違いない。生きていくうえで誰しもが経験する悲しみや苦難。それらを乗り越えながらも前進していくことの大切さを、曲を通して確かに伝えてくれたのだった。そんな温もりに覆われた空間の中、同じくバラードの「To Love Someone」を歌い繋いでくれた。歌い上げると雰囲気は一変、コール&レスポンスが繰り広げられた。特に、クイーンのボーカリスト=フレディ・マーキュリーを彷彿とさせる掛け声が印象的で、それは彼自身がフレディから影響を受けていることが窺えるシーンであった。ストリーミング時代だからこそ起きる、タイムレスなインスピレーションだと言えるだろう。国や時代を問わず、あらゆる楽曲に触れていることによる影響が、ベンソン・ブーン自身の作品に自然と昇華されているように感じた。
ライブはいよいよ後半へと突入。コール&レスポンスで更に一体感が強まった後は、ピアノとシンセサイザーが壮大なメロディーを織りなす楽曲「Forever and a Day」だ。同曲の後半部分では大合唱が起き、“会えてよかった”というような幸福感が会場全体を満たしていた。そのままの流れで、彼にとって最初のシングル曲「Ghost Town」のピアノ・イントロが始まる。リリース後に米ビルボード“Hot 100”チャートインを果たし、ブレイクのきっかけともなった同曲。繊細かつ伸びやかなハイトーン・ボイス、やはり聴き惚れてしまう。次に、まだリリースされていない新曲が披露された。タイトルは「Young American Heart」。バンドによるパワフルな演奏に、健やかなボーカル。伝統的なロック・サウンドを現代的な感覚で踏襲したかのような、躍動感のあるロック・ナンバーだった。
本公演のラストを飾ったのは、やはり大ヒット曲の「Beautiful Things」だった。彼の名を世界中に轟かせるきっかけとなった同曲。ギター・イントロが聴こえると、すぐさま大歓声が響き渡り、サビに向かうに連れてシンガロングは盛り上がりを増していく。叫ぶように歌われる歌詞の「Please stay」で最高潮に達したオーディエンス。縦横無尽に動きながらノンストップで歌い続けたにもかかわらず、彼の声は全く疲れを感じさせずに、むしろギアチェンジをしたかのように聴こえる。会場が大合唱に沸くなか、存在感のあるパーフェクトな歌声は最後まで観客を魅了した。アウトロに入る前、本日何度も披露してくれたバク宙を行い、彼はステージを後にした。
全16曲、約1時間20分をノンストップで駆け抜けたベンソン・ブーン。彼が放つ圧倒的な歌唱力は、まさに“新世代ポップスター”という名に相応しかった。そして、観衆を大いに盛り上げたアクロバティックなステージ・パフォーマンス。作品のリスニングだけでは感じ取ることができなかったエネルギーがファンに伝わったとともに、最高のエンターテイナーであることも証明された。「Beautiful Things」が世界中で聴かれた2024年は彼にとって特別な1年になったと思うが、フォークやカントリー、R&Bなどの様々なジャンルを取り込みながら、ロックの精神で時代を切り拓いていくだろうスターに、2025年も目が離せない1年になりそうだ。次回の来日公演に期待を膨らませながら、これからも彼の歩む道を追い続けていきたい。
Text by Yutaro Takahashi
Photo by McLean Long
◎公演情報
【BENSON BOONE】
2025年1月14日(火)東京・Zepp Haneda(Tokyo)
<セットリスト>
1.Be Someone
2.Coffee Cake
3.Drunk In My Mind
4.Cry
5.Pretty Slowly
6.There She Goes
7.Slow It Down
8.Friend
9.Hello Love
10.What Was
11.In The Stars
12.To Love Someone
13.Forever and a Day
14.Ghost Town
15.Young American Heart
16.Beautiful Things
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