<ライブレポート>りりあ。、初の全国ツアー完走 ニューアルバム&春ツアー発表で再会を“約束”

2024年11月11日 / 18:00

 りりあ。が自身初となる全国ツアー【First OneMan LiveTour「約束」】の東京公演を11月6日、SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催した。今年4月に実施された【First OneMan Live「記録の記憶」】は即日ソールドアウトを記録したが、そんな大反響を受けて決定した今回の初ツアー。10月13日の名古屋BOTTOM LINE、11月2日の大阪HEP HALLと各地で熱演を繰り広げ、ついに東京でツアーファイナルを迎えた。

 定刻を過ぎ会場が暗転すると、オープニングSEに合わせてステージを覆う紗幕に大自然をイメージした映像が流れ始める。そんな紗幕の向こうにりりあ。とバンドメンバーが姿を現し所定の位置に着くと、紗幕が下りたと同時にライブは「騙されないからね。」からスタート。それまで着席していたオーディエンスも彼女の言葉に促されるように立ち上がり、その伸びやかなボーカルに対してクラップでエールを送る。ギター、ベース、キーボード、ドラムというシンプルな編成で奏でられるバンドサウンドを背に、りりあ。は逆光を背に気持ち良さそうに歌声を届けていく。曲間なく「素直になりたい子の話。」へとつなげると、「改めましてりりあ。です、よろしくお願いします。最後まで楽しんでいってください」との挨拶に観客が喜びの声を上げる。アコースティックギターを軸にした軽やかなサウンドと緩急に富んだアレンジに乗せて、りりあ。はときどき笑みを浮かべてみせる。

 ステージに向けて「りりあ。ーっ!」と大きな声援も飛び交うと、りりあ。はその声一つひとつに「はい!」と返事をしていく。また「すごく見やすくない? 音どう?」と観客に問いかけたり、客席に向けて手を振ったりする一幕もあり、幕間でもアットホームな空気を展開。その雰囲気を引き継ぎつつ「貴方の側に。」へ突入すると、オーディエンスのクラップとともにエモーショナルな空間が作り上げられていく。常に温かさが漂う会場を、りりあ。は続く「ねえ、ちゃんと聞いてる?」でさらにピースフルな空気で包み込む。この曲では抑え気味の照明も相まって、彼女の歌声にグッと引き込まれるファンも少なくなかったことだろう。

 バンドメンバーがいったんステージをあとにすると、りりあ。は「ここから静かな曲が続くので、ゆっくり聴いてください」と告げ、観客を着席させる。そしてアコギを抱えた彼女は、自身の原点でもある「浮気されたけどまだ好きって曲。」を切々と歌い始める。自由さや楽しさが強調されたバンドとのパートと異なり、ここでは彼女の真骨頂と言える繊細さや感傷的な側面がストレートに伝わることに。その後もギターを刻みながら切なくも美しい歌声を聴かせる「蛙化現象に悩んでる女の子の話。」、「何回歌っても自分の中で感情移入する実体験の曲。泣いちゃうときもあるので、泣いちゃったときは許してください」と告げてピアノのみをバックに感情をたっぷり込めて歌う「最後のバイバイ。」を立て続けに披露。心を揺さぶるようなパフォーマンスを前に、オーディエンスは静かに耳を傾け、彼女の作り上げる歌世界にじっくりと浸っていく。

 「ちょっとしんみりしちゃったけど、ここからあり得ないくらい楽しくなるんで」と再びバンドメンバーを迎えると、「みんな、(気持ちの)切り替え大丈夫ですか?」とフロアに呼びかける。オーディエンスから「イエーイ!」と大きな声が上がると、笑みを浮かべたりりあ。は「君の隣で。」で再度会場の熱量を高めていく。ダイナミックなバンドサウンドで大きなノリが作り上げられると、りりあ。はキュートなボーカルで柔らかさを加えていく。「恋って難しい。」ではノリのよい軽快なリズムに合わせて楽しげに歌うりりあ。に、客席からは盛大なクラップが送られる。転調後の2番の男性ボーカルパートもこの日はりりあ。が担当し、1番の女性パートとはまた違った表情をみせる。曲が進むにつれて彼女のアクションもどんどん大きくなり、リズムに合わせてジャンプする場面もあった。

 アップテンポなパートを終えると、再びスツールに座ったりりあ。は「あと数曲で終わります……早すぎて何も言葉出てこないわ(笑)。最後まで聴いてくれたらうれしいです」と伝えて、真っ赤な照明でステージが染まるなか感傷的な「私じゃなかったんだね。」を、緩急をつけた情熱的なボーカルで表現。そして、「次の曲で最後になります。毎回思うけど、本当に早いよね。最後も失恋ソングで締めます」のメッセージとともに「失恋ソング沢山聴いて 泣いてばかりの私はもう。」でドラマチックなエンディングを迎えた。ステージ去り際、進行を勘違いしてしまうハプニングもあったが、「これがりりあ。のライブだから、覚えておいて(笑)」と告げて、最後まで彼女らしいステージングで観る者を存分に楽しませてくれた。

 アンコールを求める声援とクラップが鳴り響く中、突然軽やかなリズムトラックが鳴り始める。すると、再びりりあ。がステージに姿を現し、最新曲「あんたなんて。」にてライブを再開。バックトラックを背にひとりで歌う彼女に向けて、客席から優しい空気とクラップが届けられる。その後、りりあ。とオーディエンスの本格的な交流タイムが始まる。「やっとみんなと喋れるよ」と口にすると、観客に向けて「どこから来たの?」と問いかけ、関東近郊のみならず北海道や、台湾といった海外からも足を運んでくれたファンに喜びを隠せない様子。また、抽選で選ばれた観客にサインと名前入りTシャツをプレゼントしたかと思えば、重大発表として来年1月15日に初のフルアルバム『軌跡』をリリースすること、同作を携えて3月から全国5都市をまわるライブツアー【りりあ。OneMan LiveTour2025「春歌の軌跡」】を開催することが伝えられ、会場は歓喜に包まれた。

 今夜もいよいよお別れの時間が近づいてきた。アコギを抱えたりりあ。は「最後にぴったりの曲」と言って、「じゃあね、またね。」を繊細な歌声で歌い紡ぐ。感傷的な雰囲気を残しながらも、りりあ。は最後の最後に最高の笑顔で再会を約束して、ステージをあとにした。

 春の初ワンマンライブから半年強を経て、ステージに立つ者として一段と逞しくなった姿を見せたりりあ。だが、2025年も1stフルアルバムや新たな全国ツアーによってさらに成長を遂げることだろう。

Text:西廣智一
Photo:飛鳥井里奈

◎セットリスト
【First OneMan LiveTour「約束」】
11月6日(水)東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
1. 騙されないからね。
2. 素直になりたい子の話。
3. 貴方の側に。
4. ねえ、ちゃんと聞いてる?
5. 浮気されたけどまだ好きって曲。
6. 蛙化現象に悩んでる女の子の話。
7. 最後のバイバイ。
8. 君の隣で。
9. 恋って難しい。
10. 私じゃなかったんだね。
11. 失恋ソング沢山聴いて 泣いてばかりの私はもう。
アンコール
12. あんたなんて。
13. じゃあね、またね。

◎リリース情報
アルバム『軌跡』
2025/1/15 RELEASE

◎ツアー情報
【OneMan LiveTour2025「春歌の軌跡」】
2025年3月20日(木・祝)北海道・札幌PLANT 
2025年3月27日(木)福岡・福岡INSA
2025年4月1日(火)東京・渋谷 CLUB QUATTRO
2025年4月4日(金)愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
2025年4月13日(日)大阪・心斎橋 BIGCAT


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