<ライブレポート>sumika[camp session]、7年ぶりのビルボードライブ公演開催「僕たちのモットーは、長く続けていくこと」

2024年6月18日 / 20:00

 sumikaのアコースティック形態、sumika[camp session]がビルボードライブ・ツアー【sumika[camp session] Live Tour 2024】を開催した。本稿では、6月11日の東京公演1stステージの様子をレポートする。

 sumikaの結成当初からバンドスタイルと並行し、アコースティック編成でのライブも行ってきた彼ら。sumika[camp session]は“どちらも誠意を持って、100%の力を注いでいます”という意思を伝えるために名付けられた屋号だ。昨年3月には、初のミニアルバム『Sugar Salt Pepper Green』を発表、アコースティック・スタイルならではの温かさ、親しみやすさを感じさせる歌と演奏によって注目を集めた。約7年ぶりのビルボードライブ公演でも、彼らは会場全体を親密な雰囲気で包み込みながら、オーガニックで奥深い音楽を奏でてくれた。

 18時ちょうどに会場の照明が落とされ、客席のすぐそばを通って片岡健太(Vo. / Gt.)、荒井智之(Dr. / Cho.)、小川貴之(Pf. / Key. / Cho.)、サポートメンバーの谷川正憲(UNCHAIN / Gt. / Cho.)、須藤優(XIIX / Ba.)が登場した瞬間、華やかな歓声と大きな拍手が響き渡る。ステージに上がった片岡、荒井、小川が声を合わせて「sumika[camp session]です!」と自己紹介。荒井が心地よいリズムを奏で、「今は他人であるみなさんが、ライブが終わったあとには知らない誰かではなくなっている。そんな夜を作れたらいいなと思ってます!」(片岡)という言葉から1曲目の「知らない誰か」へ。カントリー音楽をポップに昇華したサウンド、〈そして知らない誰かを繋ぐのは/今宵も知らない誰かの知らぬ歌〉というフレーズが印象的なこの曲は、10年以上前からsumika[camp session]のライブで演奏されたきた楽曲。この日もオーディエンスとバンドの距離をしっかり近づけて、ライブの幕開けという大切な役割を果たしていた。続く「ユートピア」は、〈今恋をして 変にして/ただただそれだけで〉というラインから始まるミディアム・チューン。リラックスした佇まいの演奏と歌によって、会場全体の雰囲気が緩み、ゆったりとした楽しさが広がっていく。「何飲んでるの? 隅田川ブルーイング?」(片岡)「プライベートでライブを見に来たことあるけど、横から見る席もいいよね」(荒井)とまるで友達に話しかけるようなトークも心地いい。

 「今日はsumika[camp session]のオリジナル曲、sumikaの曲もリアレンジしてやるし、音源になっていない曲もやろうと思います」(片岡)とライブの内容を説明した後は、「うみべのまち」を披露。フォーキーな手触りのアコギやスライドギター、ノスタルジックなメロディライン、思い出のある街が変わっていく様子、それに伴う心情を描いた歌詞がゆっくりと広がり、楽曲の世界へと誘い込まれる。

 そして、ここからはsumikaの楽曲も披露された。ドラム、ベース、ギター、ピアノが絡み合うセッションから始まったのは、「Traveling」。有機的なバンドサウンドに乗って、片岡がハンドマイクでラップ的なテイストを交えた歌声を響かせる。思わず身体を揺らしたくなるグルーヴと“旅行から家に帰ってきたら、彼氏の浮気の証拠を見つけてしまった”という歌詞のコントラストも彼ららしい。

 「外は夏みたいな陽気。シュワシュワとはじけるような曲をやりたいと思います!」という片岡の紹介から始まったのは、爽やかなポップチューン「ソーダ」。疾走感に溢れたビートを中心に、メンバー全員が自由にフレーズを奏で、自由奔放な音楽空間へとつながっていく。片岡がハイトーンで奏でるフェイクも印象的だった。“音を楽しむと書いて音楽”というクリシェを思い浮かべてしまうほどに、ここにいるすべての人が音楽を全身で楽しんでいることが伝わってきた。

 「この距離感で伝えられる時間を噛みしめながら演奏したいと思います」(片岡)という言葉に導かれ、片岡、荒井、小川の3人だけで披露された「チョコレイト」。ピアノ、ボーカル、カホン(パーカッション)によるシンプルなアレンジによって、そばにいなくなってしまった“君”への思いを綴った歌詞とメロディをじっくり味わうことができる。これもまたsumika[camp session]ならではの醍醐味だろう。

 続いて披露されたのは、未発表曲「ダンシングドール」。ボサノバ、ジャズのテイストを感じさせるサウンドは、アコースティック楽器を主体にした編成にぴったり。ピアノ、ギター、ベース、ドラムをつなぐソロ回し、切なさと解放感を共存させたメロディも心に残った。さらに荒井が繰り出す独創的なリズムから、「IN THE FLIGHT」へ。レゲエやソウルなどが混ざったアレンジメントのなかで、小川がシンセや鍵盤ハーモニカを奏で、アウトロでは観客と“IN THE FLIGHT”のコール&レスポンスも。それは言うまでもなく、この日、この場所でしか体感できない音楽だったと思う。

 「次の曲はビルボードライブ史上、いちばんデカい音を出したい!」(片岡)というMCに導かれた「ふっかつのじゅもん」で高揚感を演出した後は、本編の最後の「Starting Over」。原曲よりもテンポを落とし、ひとつひとつの言葉をしっかりと伝えていく。〈喜びや悲しみや/苦しみも全部持って〉からはじまる大サビは、片岡が弾き語りで演奏し、力強い感動へと結びつけた。

 鳴り止まない拍手に応え、メンバーが再びステージに登場。ステージ奥のカーテンが開き、薄暮の美しい情景が広がるなか「浮世パスポート」を披露。“これからも楽しい宴を続けよう”というメッセージを込めた歌によって、心と身体がポジティブな方向へと引っ張られる。エンディングでは、片岡が「僕たちのモットーは、長く続けていくことです。おじいちゃんになっても続けていけるように、曲作りもライブもがんばっていきます!」と宣言し、ライブは幕を閉じた。ゆるりとリラックスした雰囲気と、豊かな広がりを感じさせる音楽性。sumika[camp session]の魅力をダイレクトに伝える、充実のステージだった。

Text:森朋之
Photo:後藤壮太郎

◎公演情報
【sumika[camp session] Live Tour 2024】
5月29日(水)、30日(木)大阪・ビルボードライブ大阪
6月5日(水)、6日(木)神奈川・ビルボードライブ横浜
6月11日(火)、12日(水)東京・ビルボードライブ東京
※全公演終了


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