<イベントレポート・前編>SIRUP、Furui Rihoが“ジェンダーギャップ”について議論「何事も自分ごとに考えられたらいいな」

2024年4月25日 / 18:00

 ジェンダーギャップについて考えるトーイベント【Billboard JAPAN Women in Music Sessions vol.1】が、3月26日に神奈川・ビルボードライブ横浜で開催された。以下、同イベントの1stステージの様子をお届けする。

 「“ジェンダーギャップ”はどうして問題なのか?」という疑問を軸に、ジェンダーギャップやバイアスが引き起こす問題について考えた1stステージ。モデレーターには、モデル活動を行いながら、社会問題について積極的に発信をしている長谷川ミラを迎えた。

PART1:ジェンダーギャップはなぜ解消すべきなのか?
 Furui Rihoは過去に自身のライブで、音楽ではなく女性としてのFurui Rihoを見に来る観客がいたことに疑問を抱いたと言い、「女性という理由でチャンスを奪われるのは悔しい」と話す。SIRUPも同じような性的搾取を感じる体験があり「音楽活動って自由な状況じゃないと正しく伝わらない」と発言。本日を通して、音楽業界に対してより良い環境作りに繋がればと二人は語っていた。

PART2:ジェンダーギャップはどこに存在する?
 まず話に上がったのが、音楽を楽しむためのクラブが違う目的の場所になっている、ということだ。「悲しい現実。女性にとって遊びに行くという選択肢が1つ減っている」(SIRUP)、「音楽を心から楽しみたいだけなのに。そういう場所が奪われているのではないか」(Furui)と発言。そして、音楽業界においては、フェスやライブ現場のスタッフに女性が少ないということが上がった。この課題に関して、SIRUPが海外フェスへ出演した際「海外ではディレクターの女性も多かった」と、国内との違いをあげ「力仕事は男性がやり、それ以外は女性がやるという単純な考え方でもいいのではないか」と提案。音楽プレイヤーについても「女性は出産や子育てなど、ライフステージが変わることで、分母も少なくなっているのではないか?」とFuruiは分析する。長谷川も「女性でアイドルをやっている人でも本当はバンドをやりたい人がいるはず。数少ない女性のバンドを応援し、ロールモデルを作ってあげることで社会が変わるのではないか」と自分たちができることを話していた。

 話題は「普段から気を付けていること」へ。SIRUPはR&Bのルーツを持ちながら、性別を特定しないような歌詞制作をしてきたという。Furuiはジェンダー格差を是正するためのSpotifyによるプロジェクト「EQUAL」を例に挙げて、「気付いていない、考えようとしない」ことが問題とし、考えるきっかけをリスナーに与えることを意識して活動しているという。

PART3:労働におけるジェンダーギャップ
 昨秋、ビルボードジャパンがレコード会社15社(有効回答数:8社)にアンケートを実施した結果(参考: https://www.billboard-japan.com/special/detail/4228)では「レコード会社で働く従業員の年代別ジェンダー比」において、20代では63%だった女性比率が、60代では19%まで減っており、年齢を重ねるにつれて女性の比率が小さくなっていることが分かった。これについてFuruiは「(自身の)周りの友達も結婚、出産、子育てがあるのでそこが大きいと思う。男性も育休がなかなか取れず、子育てしながら働くのは難しい」と話す。「20~30代の女性比率が大きいということは、一番経験値が増える時期の人間が多いということですよね」というSIRUPの発言に長谷川は「女性を守ることで利益があがるはずなのに、環境がちゃんと整備されていないのではないか」と答えていた。

 「レコード会社で働く従業員の雇用形態別ジェンダー比」で見ても、管理職や役員の比率は男性が大きい。「そもそもなぜ、管理職や役員といった“指導的地位”に女性が増えていかなければならないのでしょうか?」という問いに「上に立つ人が女性なら、若い女性の気持ちが分かると思うんですよね」(Furui)、「グラフで見た時に20~30代の方が女性の働き手が多いということは、雇用の時点では女性が必要と分かっている。なのに、管理職が少ないのは業界として、ビジネスとしておかしいですよね。会社として1番働いてきた人たちの気持ちが分からないという違和感、歪みが生まれている。もっと平等にしなくてはいけないと思いました」(SIRUP)と回答。つまり、意思決定層は変えていかなくてはいけないということを考えさせられた。

PART4:ジェンダーギャップ解消に向けて私たちができること
 「賃金格差もあり、ライブに行ける選択肢が男性に多い状態はおかしい。音楽っていうのが楽しい形になるべきではないかと思っていて。今損をしている人がいない状態、誰もが取り残されない社会になることが大事」と話したSIRUPに、「自分は活動の根底に『Love One Another』という信条があって。お互い愛し合う、相手を大切にすることが、そもそも社会のあらゆる問題において大事なのではないか」とFuruiも答える。「相手を想うことって自分に中にあるバイアスを知れるじゃないですか。そして『バイアスを自分にかけられたかも?』って考えることができる」(SIRUP)。「何事も自分ごとに考えられたらいいな。あとは自分が正しいと思っていることを押し付けるのは良くない。自分が間違っている、完璧じゃないと分かっているのであればお互い許し合えるのかなと」(Furui)。「コミュニケーションに柔軟性を持っておくことで、自分の知識をアップデートすることができますよね」(長谷川)とそれぞれ述べた。

 会場からの質問コーナーを経て、Furuiは「こういうイベントがあったからこそ、考える機会ができました。皆さんと一緒に考えられることができて幸せだったなと思います。これからも一緒にやっていけたらと思います」とコメント。SIRUPは「いつも“こういうことを活動していくぞ”って一歩踏み出す気持ちになるのが難しくて。色んな選択肢を選べなくて頑張っている人がいるんじゃなくて、特権を持っている人が踏み込んでいかないといけないフェーズだと思います。自分の持っているバイアスに気付けることで、自分の選択肢が増えて、楽しく生きていくことができる。こういう活動にみんなで取り組められたら」と語り、1stステージが終了した。


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