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ジェンダーギャップについて考えるトーイベント【Billboard JAPAN Women in Music Sessions vol.1】が、3月26日に神奈川・ビルボードライブ横浜で開催された。以下、同イベントの2ndステージの様子をお届けする。
2ndステージでは、1stステージにも登壇したSIRUPとFurui Rihoに加え、Billboard JAPANの編集長・高嶋直子が登壇した。モデレーターには辻愛沙子を迎え、「メディアが作り出す“ジェンダーバイアス”とは?」をテーマにトークが繰り広げられた。
PART1:メディアとジェンダーバイアス
まずは、ゲストの3人がそれぞれメディアを通じて気になるジェンダーバイアスについて話した。SIRUPがスポーツ選手の結婚に関する報道の際、インタビューで「奥様の手料理は食べましたか?」など、女性が男性を支えるというイメージが押し付けられていると語る。Furuiもバラエティー番組のMCが、男性がメインで女性がサポートという構図が見られると加えた。テレビ番組でコメンテーターを務めていた辻も、政治や経済などの報道番組でも男性が解説や専門家の役回りを担い、女性はサポートや質問する役を任されていることが多いと共感した。一方、高嶋は音楽チャートにおいて、チャートインしている男性アーティストの数は女性アーティストよりはるかに多いことを話し、話題は音楽シーンにおけるジェンダーバイアスに。
PART2:音楽シーンとジェンダーバイアス
男性がK-POPを聞くことやアイドルを応援することは恥ずかしいと思われる“有害な男性らしさ”、女性がロックシーンで感じる違和感など、次々と問題が提起された。Furui は「移り変わりの早い音楽シーンでは、女性アーティストが出産や子育てなどのライフステージを経て復帰することが難しいのでは」と話し、そのため女性アーティストがチャートに入りづらいのではないかと推測した。
続いて音楽フェスに出演しているアーティストのジェンダー比について。フェスに出演している男性アーティストが圧倒的に多いという事実に対して、SIRUPは女性のロックバンドが「何かプラスアルファがないと出づらい」とコメントし、ジェンダーバランスが整った音楽フェスをいつか見たいと語った。また、フェスの運営陣のジェンダー比率や、ビジネスコンベンションといった類似イベントにおける出展者のジェンダー比率も話題となった。
PART3:アーティストの社会的発信について
3番目のテーマはアーティストの社会的発信。テイラー・スウィフトなど欧米のスーパースターたちは社会問題に対して積極的に発信しているのに対して、日本のアーティストが社会的な発言をすることを忌避する風潮があると思われる。この現象についてSIRUPは「日本だと一番問題なのは、女性へのバッシングが猛烈にあり、特に女性蔑視みたいなものがある。自分は男性だから発信できているが、まずそこにバイアスがあると思います」と分析した。Furuiは、「一緒に今頑張っているスタッフがいて、応援してくれる人たちもいて、その方たちのことを考えると、リスクヘッジとして言いたいことを言わない」と話し、自分がSNSで意図的にニュースをシェアすると、「Rihoちゃん、アカウント乗っ取られてるよ」、「Rihoちゃんは絶対こういうことを言わないだろう」というコメントを受けとったといい、バイアスがあるのではないかと経験を語った。
PART4:これからのメディアとの向き合い方
では、このようなメディア環境とどのように向き合っていくべきか。議論が展開していく中、印象的なのは「音楽業界はずっと神格化することや虚像を抱かせることを、ビジネスの仕方として続けてきた」というSIRUPの言葉だった。そのため、「政治や社会は生活の地続き」で、それについて発信している人々は我々と同じような生活の中で色々を感じている生身な人間だということがついつい鈍感化してしまう。メディアに対して、報道の背景にある個々人の考えや思いをそれぞれ尊重していくことは重要になるだろう。
また、「女性のエンパワーメントを音楽に乗せる方法で、普段ジェンダーの縛りを感じたことはありますか」という来場者の質問に、SIRUPは「男が高い声で歌うのがキモイ」「真珠のネックレスをするな」といったバイアスを受けたと答え、「すべての表現はその人の選択だと思うので、そういうことはあってはならないし、表現の分野なので、ジェンダーで区切られるのは非常にもったいないと思います」と述べた。一方、Furuiは自分の作品に特に縛りを感じたことがないが、日常生活で「女性だから」といった表現に違和感を覚えたことがあると述べ、「女性アーティストであっても何を言おうがどんな強いことを言おうが、その人の個性だと思うので、そこを縛るのはどうなんだろうなと思います」とジェンダーバイアスで個性を否定してはならないと主張した。
あっという間に約1時間半が経ち、最後にSIRUPとFuruiからメッセージが送られた。
SIRUPは「こういう試みを女性だけでやるのではなくて、男性という現状社会的に特権を持っている側が参加していくのはすごく大事だと思います。これが続いていくように“次はあの人を呼んでほしいな”とかご意見をいただけたら、みんなで何かを育てられる気がします」と参加者に呼びかけた。
続いてFuruiは「日常生活に過ごす中でジェンダー問題をなんとなく流してしまったりとか、忙しいから考えられなかったりすると思いますけど、このイベントがふとした時に問題について考えるきっかけになれたらと思います。やっぱり根本にあるのが相手のことを大切にするとか、相手の気持ちを考えるとか、そういうところにあると思うので、日々意識してやっていけばジェンダーの問題も少なくなっていくんじゃないかなと思います」と話し、【Billboard JAPAN Women in Music Sessions vol.1】の幕を閉じた。
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