<ライブレポート>Galileo Galilei×BBHF、貴重なセッションや洋楽カバーも披露した対バンイベント【Tsunagari Daisuki Club】

2024年3月27日 / 18:00

 Galileo Galileiの尾崎雄貴が主催する対バンイベント【Tsunagari Daisuki Club】。2015年に行われた第1回ではTHE NOVEMBERS、恋する円盤、POP ETCという面々との「つながり」がステージで表現されたが、2回目となる今回はなんとGalileo GalileiとBBHFのスプリッツ・ツアーとなった。いうまでもなく、どちらのバンドも雄貴が作り、活動を続けてきたバンド。Galileo Galileiが活動休止をしたのと時期を同じくしてBBHFが始動したこともあり、おそらく多くの人はBBHFをGalileo Galileiの「続き」として認識していただろうし、実際にそういった側面も少なからずあったように思うが、一昨年にGalileo Galilei が活動を再開してからは、その様相も変わってきた。そんななかで行われた今回のツアー。ファイナルとなった3月21日、東京・EX THEATER ROPPONGIのステージは、ファンにとっても、そしておそらくは中にいるメンバー自身にとっても実に新鮮な体験だった。

 力のこもったプロレス風の前口上が鳴り響くなか、ステージに現れた先攻・BBHFのメンバー。尾崎雄貴は両手でガッツポーズをしながら意気揚々と登場だ。そして、ヘヴィなギターリフとともに1曲目「ウクライナ」からライブは幕を開けた。ガツンガツンと音の塊を投げつけてくるような力強い演奏は、2曲目「やめちゃる」でもEX THEATERを揺らす。生命力に溢れたガレージロック調の音に、サポートメンバーとして入っている大久保淳也のサックスが美しく色を足していく。

 「BBHFです。僕が生み出したバンドGalileo Galileiを、今日この手で殺めにやってきました」――やけに不穏当な言葉で自己紹介をする雄貴。確かに、ここまで2曲を聴いただけでも、気合が入っているのは分かる。そして、その雄貴がハンドマイクで歌う「メガフォン」へ。DAIKIのオルタナなギターが炸裂し、さらにステージ上のテンションは高まっていく。中盤、「死神」「僕らの生活」を披露すると、あらためて「BBHFです」と挨拶する雄貴。「本当はもう少し前でMCするつもりだったんですけど、殺気立ちすぎてここまできてしまいました」と笑いを誘うと、「あまりない機会ですけど、思い出を一緒に共有して、素敵な1日にできたらいいなと思います」という言葉とともに、アコギを背負って「花のように」を歌い始めた。伸びやかな彼の歌声と美しいメロディが、ゆったりと大きなグルーヴに乗せて空間に広がる。

 ここからライブは終盤に向けてどんどんスケールを広げていく。全員で呼吸を合わせるようにリズムを取りながら披露された「真夜中のダンス」、雄貴の歌がバンド全体を引っ張るように深遠な世界を描き出した「涙の階段」……ひとつひとつの音を丁寧に重ねながらどんどん高みに昇っていくようなBBHFのパフォーマンス。ゴスペルコーラスから晴れやかに始まった「疲れてく」では雄貴が手拍子を求め、ステージとフロアが一体となっていった。そして最後の曲にいく前に、先日シングル「戦場のマリア」をリリースしたことに触れ、「曲がいっぱいあって、そろそろまとまった形で年内にリリースしようということになっています」とアルバムのリリースを予告。さらに久しぶりのツアー開催も宣言すると、オーディエンスからは大きな拍手が巻き起こった。「BBHFはやんちゃしたいお年頃に差し掛かってて。みんなでやんちゃしようよということで、これからもよろしくお願いします」と雄貴。

 そして、最後に「Work」(DAIKIのエモーショナルなギタープレイが素晴らしかった)を披露するとBBHFのライブは終了。雄貴は「やんちゃ」という言葉を使っていたが、Galileo Galileiが再び動き出したことは間違いなくBBHFにも影響を与えているはずで、それがどんなふうにアウトプットされていくのか、その片鱗はこの日のライブでも見えたように思う。これからがますます楽しみになるライブだった。

 そしてインターバルを経て、今回のホストであるGalileo Galileiの出番が始まる。ステージに雄貴、和樹、岩井郁人、岡崎真輝、そしてサポートメンバーとしてこちらも引き続きの登場になる大久保が揃い、オープニングを飾った「リジー」のイントロが鳴った瞬間に湧き起こった歓声が、彼らに対するオーディエンスの期待の表れだ。

 3曲目「バナナフィッシュの浜辺と黒い虹」を終え、「なんかさっき、1個前のバンドがかなり殺気立ってたようでした」と他ならぬ自身のMCを引き合いに出して「でも音楽で争ってはいけないと思うので、今日で仲良くなりたいなと思います」とジョークを口にする雄貴。彼と和樹で「必死に作った」というイベントのロゴマークを紹介しつつ、ツアーを振り返って「スーパーハードで、もうやりたくないなって思ったんですけど」とさらに笑いを誘う。でも続けて「そう思ってたんですけど、またこういう場を作れたらいいなって今は思ってます」と口にするあたり、この初の試みは彼ら自身にとっても何か発見や喜びがあったのだろう。

 その感覚は、その後Galileo Galileiのライブが進行していくなかでますます強まっていく。「ノーキャスト」の弾むようなリズムと岩井の歌うようなギターはこのバンドが紡ぎ上げてきた物語を教えてくれるようだったし、「ピーターへ愛を込めて」のアッパーなノリはバンドをやるプリミティブな喜びを体現しているように見えた。ここまでは最新アルバムからの楽曲が中心だったが、その後は「ここから懐かしい曲を……」という雄貴による宣言とともに休止前のアルバムからの楽曲が披露されていく。「フラニーの沼で」「処女と黄金の旅」、そして「SIREN」。確かにどれも懐かしいが、だからといってノスタルジックなわけではない。むしろステージから溢れ出すサウンドはどの曲もフレッシュで、生々しさすら感じさせる。とりわけ「SIREN」のスリリングでダイナミックな演奏は圧巻だった。そして最後は「星を落とす」。フラッシュライトが瞬くなか、すべてを出し切るような大迫力の演奏に呆気にとられている間に、ライブ本編は終わりを迎えたのだった。

 その後、アンコールでは両バンドのメンバーが全員集合してセッション。BBHFの楽曲をGalileo GalileiがBBHFと一緒にカバーする、という建て付けで演奏された「黄金」、そして最後はBBHFのライブでは定番の洋楽カバーとして、The Beatles「Hey Jude」が披露された。最後のコーラスはもちろんオーディエンスも巻き込んでの大合唱。感動的なフィナーレだった。そのアンコールのMCで雄貴はステージに集まったメンバーを見渡し、「仲間たちがみんな一緒にステージに立っているのが感慨深い」とコメント。「僕はバンドで音楽をやりたい人間。バンドをすることでメンバーの人となりがわかって、友達とはまた違う、バンドメンバーならではの空気感を作っていくことが音楽をやるなかでも大事なプロセスで。音楽をやってなかったらクロスしなかったであろう人たちと楽しくやっていけてるというのが、すごいことだなと思います。なので……みんな、ありがとね」と照れくさそうに感謝を告げている彼の姿を見ると、彼が作り上げてきたこの共同体の尊さが一層伝わってきた。交わっているようで別々の道を進んでいるようにも見える二つのバンド。不思議といえば不思議なその2組がつながり、ひとつの夜を作り上げたこのツアーは、尾崎雄貴というミュージシャンにとっても得難い経験となったのかもしれない。

Text:小川智宏
Photo:Masanori Naruse

◎公演情報
【Tsunagari Daisuki Club】
2024年3月21日(木)
東京・EX THEATER ROPPONGI


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