<ライブレポート>LUNA SEA、名盤と向き合うアリーナツアーが開幕――27年ぶりに蘇った【UN ENDING STYLE】

2023年10月16日 / 12:00

 神奈川・Kアリーナ横浜。LUNA SEAが2023年10月7日と8日の2日間にかけて、この開業したての会場からアリーナツアー【LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023】をスタートした。

 今回のツアーは、LUNA SEAを名実ともに日本のロックシーンのトップに押し上げた名盤『MOTHER』(1994年)と『STYLE』(1996年)のリリース時に開催したツアーを改めて再現するというコンセプトのもと、ツーデイズ公演が全国5箇所で開催される。全箇所共通で、初日が【MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE】、そして2日目が【UN ENDING STYLE】という内容となっている。本稿ではツアー2日目となった10月8日の模様をお届けする。

 前日の『MOTHER』を軸にした公演が非常に好評だったこともあり、この日の『STYLE』に対する期待感は当日になって自然と増していた。会場が暗転すると、悲鳴のような歓声が会場中に広がる。オープニングナンバーはアルバムの1曲目である「WITH LOVE」。LUNA SEAの楽曲としては異質な、温かいルーズ感のある音像はまるでSUGIZO(Gt/Vn)、INORAN(Gt)、J(Ba)、真矢(Dr)、RYUICHI(Vo)の5人によるセッションをそのまま見ているような心地よさだ。その余韻に浸る間もなく、激烈ロックチューン「G.」に突入する。疾走するハードなギターリフにグルーヴィなJのベースが絡み、会場の温度を派手に上昇させていく。

 「会いたかったぜ!Kアリーナ、飛ばしていくぞ!!」とRYUICHIが叫ぶと、切なくも美しい名シングル「END OF SORROW」で会場は一つに。オーディエンスがコーラスパートを大合唱した瞬間は鳥肌モノだった。そこから、自然と身体を揺らしたくなる「LUV U」で妖艶なセクシーさで空間を満たすと、イントロで歓声が巻き起こった鋭利な「SLAVE」へと繋げていく。

 「今夜も最高だな!昨日は【MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE】そして今夜は【UN ENDING STYLE】。まさに伝説というべきツアーをここからスタートします!」

 久しぶりの披露となった近未来的スピードチューン「1999」でヘッドバンギングを誘発すると、流れるように「RA-SE-N」に続く。タイトル通り、ギターのアルペジオやドラムのリズムが奏でる音が螺旋のように重なり、そこにRYUICHIが感情を爆発させるように歌を乗せる。会場の空気を瞬く間に壮大な世界観に染め上げていく様子は圧巻だった。そこに鐘の鳴り響き、「SELVES」が始まる。退廃的で静かな雰囲気が徐々に熱を帯びていく音像は、まるで聞き手を別の世界へと誘うかのように心を掴んでくる。この美しい大曲でライブの前半は締めくくられた。

 インターミッションを経て、真矢がダイナミックなドラムソロを披露し後半戦が幕を開ける。おなじみの真矢コールを交え、パワフルにオーディエンスの熱量を引き出していく。Jがそこに合流し、真矢のドラムをバックにライブ感満載のグルーヴィなベースソロに突入。「飛ばしていくぞ!」という煽りと共に他のメンバーもステージに登場すると、「Déjàvu」で盛大なシンガロングを響き渡せる。ステージ上のスクリーンにはリリース当時の映像も投影されていて、新旧のLUNA SEAが共演する形となった。

 「27年ぶりの【UN ENDING STYLE】ツアー、やっぱ最高だな!『MOTHER』と『STYLE』という2枚のアルバム、そしてこの2つのツアー。もう一度、地元神奈川からお前らと共にスタートすることができて本当に最高です!」とRYUICHIが呼びかけると、「DESIRE」で切なく疾走するサウンドで会場のボルテージをさらに上げていく。続く「TIME IS DEAD」は今回のツアーで久しぶりにセットリストに帰ってきた初期からの定番曲だ。ファンも“待ちわびていた”と言わんばかりに大音量のコール・アンド・レスポンスで応える。そこからさらに不動の名曲「ROSIER」とバンドは畳み掛けてくる。この曲が生み出す一体感はさすがの一言に尽きる。

 「約30年ぶりに蘇ったこのツアー。当時の俺らは“客?ファン?いや、メンバーだ”と言って、共にインディーズからムーブメントを起こしてきました。今夜初めてLUNA SEAのライブを見れたという人もいるかもしれない。俺たちもさ、もちろん過去の足跡、歴史に対する想いはたくさんあるけど、ここから先の未来は、今日ここにいる皆と共に刻んでいくから」というRYUICHIの言葉に会場は拍手と歓声で包まれる。そして、本編ラストの「HURT」へ。重厚で鬼気迫る迫力の楽曲に合わせ、背景にはマグマの映像が映し出され、会場が真っ赤に染まっていく。圧倒的な貫禄と存在感を最後に見せつけ、バンドはステージを去った。

 アンコールでメンバーが再登場すると、前日の『MOTHER』同様に11月にリリースされる『STYLE』のセルフカバーアルバムのアートワークが公開される。「約30年前に作った曲達なのに、すごく新しいんだよ。そりゃあライブハウスの店長さんには理解されないよね(笑)」とRYUICHIがユーモアを交えて語る。「本当にすっげぇアルバムができたし、このツアーもスタートしたし、もう一度俺たちにしか作れない世界を、俺達にしか見えない景色を作りにいこうぜ!」と宣言すると、煌びやかな旋律が染みる「IN SILENCE」が始まる。RYUICHIとSUGIZOが美しいハーモニーを響かせ、ミラーボールを交えた照明演出が楽曲に華を添える光景には見惚れるしかない。

 ここでメンバー全員が一言ずつオーディエンスにメッセージを伝える。真矢は「お前ら本当に最高だ!」と叫び、Jは「年末まで楽しめるね。盛り上がっていこうぜ!」と力強く呼びかける。バンド初期のスタイルを再現するようにINORANは「愛してる」とRYUICHIに耳打ちする。SUGIZOは「年末まで一緒にこの狂気のLUNA SEAを進化させていきましょう。最高に愛してるぜ!」と噛み締めるように伝える。そして、RYUICHIは「自分たちのやりたいこと、見たいものを掲げてきたけど、皆と共にまだまだやれそうだよね。年末まで飛ばしていこうぜ!」という言葉を届けた。そして、以降のブロックは写真撮影がOKだということが告げられる。前日も実施され話題になっていた、メンバーが目指す新たなムーブメントにも通ずる新しい試みだ。(撮影された写真は#LUNAPICでSNSに投稿されている)

 会場全体がカメラマンで溢れかえった状態になり、投下されたのは美の中に攻撃性も兼ね備えた初期の名曲「PRECIOUS…」。サビは当然のように大合唱が巻き起こる。そして、こちらも昔からLUNA SEAのライブを支えてきた、まさに大団円という言葉がふさわしい「WISH」で会場全体を多幸感で包み込み、バンドは再びステージを後に。

 ダブルアンコールでメンバーが再登場すると、「5人から想いを込めて」という紹介から披露されたのは『STYLE』の収録曲の中でも一際大きな存在感を放つ壮大なバラード「FOREVER & EVER」。全員が白い衣装に身を包み、過去の映像も交えながら明るい温もりが感動的に届けられる。曲調はバラードだが、感情を吐露するように全身から音を届けるメンバーの姿からは、まだまだ上を目指さんとするアグレッシブなハングリー精神が感じられた。

 過去の名作を通して未来を見据える姿勢を提示したLUNA SEA。これからリリースされるセルフカバー作、そして大晦日の大阪公演まで続く本ツアーを通して、メンバーの目指す新たな景色もより鮮明にファンに届くようになるだろう。圧巻のスタートを観ることができ、今回のツアーの先にある新たなLUNA SEAに対する期待感は増すばかりだ。

Text:Haruki Saito
Photos:田辺佳子、上溝恭香、清水義史

◎公演情報
【LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023】
2023年10月8日(日)神奈川・Kアリーナ横浜

<セットリスト>
1 WITH LOVE
2 G.
3.END OF SORROW
4 LUV U
5 SLAVE
6 1999
7 RA-SE-N
8 SELVES
Drum solo
Bass solo
9 Déjàvu
10 DESIRE
11 TIME IS DEAD
12 ROSIER
13 HURT
ENCORE
14 IN SILENCE
15 PRECIOUS…
16 WISH
W ENCORE
17 FOREVER & EVER


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