＜ライブレポート＞Awkmiuが主催ライブ【Gift Shop】で灯した音楽の光、ゲスト出演したAoooは貴重な初ライブに

　Awkmiuによる主催イベント【Awkmiu presents LIVE “Gift Shop”】が9月16日、東京・Shibuya eggmanにて開催された。

　Awkmiuは、シキ（Vo/Gt）、Aki（Key）、カヤケンコウ（Ba）、関根米哉（Dr）からなる4ピースバンド。バンド名は“Awkward（不器用な）”とフランス語の“mieux（より良い）”を掛け合わせた造語で、「不器用ながらもより良い音楽を届けたい」という想いが込められているという。キャリアもルーツも様々な4人が集まり、今年2月には心機一転、バンド名を変更。さらに7月からは自身初のアニメタイアップとして、TVアニメ『ライザのアトリエ ～常闇の女王と秘密の隠れ家～』のエンディング・テーマを担当し、同曲を表題としたEP『アロー』をリリース、こちらも自身初となるCD作品となった。

　そんなAwkmiuによる今回の主催イベント。演題の“Gift Shop”についてシキは、「音楽がいつもあなたへの贈り物」「ライブはそれをあなたに差し出すことができて、そこにはすごく好きな曲も、そうでない曲があってもいい。差し出す側と受け取る側があくまで同じ場所にいるんだということを大事にしたかったので、このタイトルにしました」と語った。自分たちの音楽を広く届けたいと願う4人にとって、ライブがいかに重要な場であるかが伝わってくる。

　この日は、対バン相手として、4人組バンドのAoooも出演。石野理子（Vo）、すりぃ（Gt）、やまもとひかる（Ba）、ツミキ（Dr）によって今年8月に始動されたばかりの新バンドで、今回のステージが初ライブ。果たしてどんな楽曲が、どんなパフォーマンスが披露されるか、そんな好奇心が会場内で熱気とともに渦巻くなか、ツミキが作詞作曲を務め、YouTubeのミュージック・ビデオは5,000万回再生を超えるバイラルヒットを記録したMAISONdes「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」のセルフカバーをオープナーとして披露すれば、フロアからは驚きの歓声が。

　「はじめまして！　Aoooと申します！」と石野。一人ずつ自己紹介するのだが、全員が自身の血液型も発表。これが実はバンド名の由来になっていることが明かされた（石野がA型で、ほか3人がO型）。その後もツミキの「shampoo」、すりぃの「あんずの花」と各メンバー名義の個性豊かな楽曲をパフォーマンス。かつて“名曲ルネッサンス”をコンセプトに掲げたアイドルネッサンスのメンバーとして活動し、グループ解散後は赤い公園のボーカルも務めた石野。堅実な経験の積み重ね、生粋のフロントマンとしてのポテンシャルも十二分に発揮される。一方、YOASOBIやももいろクローバーZのサポートも務めるやまもとも、そのスキルの高さにはすでに定評があるベーシストであり、躍動感あふれる楽曲の数々を堅実なグルーヴメイクでまとめていく。

　「カラオケで1曲目に何を歌うか」という他愛もない会話がきっかけでカバーに至った「星間飛行」から、リズムセクションの疾走感とソリッドなギターサウンドが交錯するAooo初のオリジナル曲「アパシー」を初お披露目。ラストは再びMAISONdesのセルフカバーで、こちらはすりぃが作詞作曲を手掛けた「アイワナムチュー」でステージを締めくくった。

　最新EP『アロー』収録曲「dice」からスタートしたAwkmiu。前身バンド時代に作られた楽曲も『アロー』には多数収録されるなか、新たにAwkmiuとして制作されたナンバーのひとつがこの「dice」であり、きらびやかな音色がまるでおもちゃ箱をひっくり返したように次々となだれ込んでくる。そんな華やかなオープニングを経て、続く「color」や「1089」ではシキの伸びやかな歌声が、その力強い詞のメッセージ性を伴ってまっすぐと届けられた。

　途中、「初ライブを目撃できてとても光栄です。ありがとうございました」とゲスト出演したAoooに感謝を述べつつ、ショーは怒涛のように勢いよく進んでいく。どこまでも高らかに＜「なんて素晴らしい世界だ」と／呟くのはあなただ＞と歌う「avalanche」は、対照的に不安や焦燥感を掻き立てる荒々しいサウンドを突き刺すように放ってくる。続く「Masquerade」もスリリングに展開していくナンバーで、Awkmiuの「相反するエッセンスを内包した楽曲たち」の世界観が、ライブならではのダイナミズムも相まって驚くほど生々しく描かれていくのだ。躍動する三拍子に乗せて壮大なアンサンブルを紡ぐ「そこから」。最後の一音のあとに会場を包んだ数秒間の静寂は、その圧倒的な世界観のスケールと説得力に引き込まれたオーディエンスの没入感を何よりも伝えていたように思う。

　「いろんなことを諦めたり、忘れたりしないといけないときがあると思うけど、この箱の中にはいつだって変わらない光があって、それをあなたに信じてもらえるようにライブをやっています」「このライブが、あなたの胸の中にあなたをいつまでも生かすような強い光を宿せるように願って」。音楽という“贈り物”に込めた想いをそんなふうに語り、最後はまっすぐと光へ向かっていくような「灯火」と「Mr.Crier」を立て続け、ひとまず本編の幕が引かれる。さらにアンコールでは、この日がちょうど最終話の放送日だった『ライザのアトリエ ～常闇の女王と秘密の隠れ家～』エンディング・テーマの「アロー」と、4人が“Awkmiu”として初めて発表した大切な一曲「どくどく」を演奏して正真正銘のエンディングへ。

　ライブ中、11月には初のツアーを開催することも発表。演題は“What’s in the box?”。この日、Awkmiuが贈り、オーディエンスが受け取ったギフト、中身を確かめるその日まで、今回のライブの余韻をしばらくは噛みしめるように残しておきたい。

Aooo photo：ひの
Awkmiu photo：Kato Shumpei

◎公演情報
【Awkmiu presents LIVE “Gift Shop”】
2023年9月16日（土）東京・Shibuya eggman

＜セットリスト＞
Aooo
01. トウキョウ・シャンディ・ランデヴ
02. shampoo
03. あんずの花
04. 星間飛行
05. アパシー
06. アイワナムチュー

Awkmiu
01. dice
02. color
03. 1089
04. avalanche
05. Masquerade
06. そこから
07. 灯火
08. Mr.Crier
En.
09. アロー
10. どくどく

◎公演情報
【Awkmiu presents LIVE TOUR “What’s in the box?”】
2023年11月12日（日）大阪・STAR BOX
2023年11月16日（木）東京・Shibuya eggman