ミュージカル『テニスの王子様』(以下、テニミュ)の最新公演、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs立海 前編の東京凱旋公演が9月19日〜29日に上演。青春学園中等部と立海大附属中学校による全国大会決勝戦の戦いを描く本公演は、これまでに東京、大阪、愛知、福岡、宮城と全国を回ってきた。青学(せいがく)黄金(ゴールデン)ペア・大石秀一郎役の江副貴紀、菊丸英二役の田口 司に、公演の見どころやゴールデンペアが培ってきた絆、そして“最後のダブルス”にかける熱い思いを聞いた。
−まずは東京凱旋公演に至るまで全国を回ってきた率直な感想からお願いします。
江副 最初は常に必死でしたが、だんだんといい意味でも肩の力が抜けてきました。試合中や2人の歌の中でも「ここをこうしてみよう」と、演出家さんと相談して熱くやっています。
田口 それで熱量が上がったりもしますし、最初と比べるとだいぶ変わっていると思います。せりふが少ないと表現が難しくて、ラリー中の声や「いくぞ!」という感じも表現してやってみようと話してきました。
−お2人は大石・菊丸として2018年7月の全国大会の氷帝公演から1年以上、150公演にも及ぶ舞台を踏んできました。後編を入れると200公演を越えますね。
江副 僕ら、そんなに組んでいるんですね。黄金(ゴールデン)ペアを組む前から2人でいることが多かったので、組んでから特別な“2人”になったという感覚はないんです。数を聞くとびっくりするけど、2人でいるのが当たり前なので。
田口 そんなにやりましたか。友達って最初の頃は一緒にいる時間がすごく多いけど、でもそれはもう一通り過ぎてしまって、一緒にいるのが当たり前すぎるというか。
−歴代さまざまな黄金(ゴールデン)ペアがいますが、お2人ならではのペアというと、絆やシンクロ率がアピールポイントになりますか。
江副 そこは負けないと思います。
田口 負けたくないです。それまでずっと一緒にやってきた貴紀と、大石・菊丸の役でやれると最初に決まった時はうれしかったので。
江副 前から一緒にいるから、曲中でも大石・菊丸の絆と僕らの絆が重なる部分も結構あります。やっていくにつれて増えていって、ダブルスを組むことになったコンテナのシーンを想像しながら、僕ら2人が初めて会った時のことも想像して。毎回、お互いに分かるんです。「こいつ、いま泣きそうだな」って。
田口 毎回泣きそうになっているんですよ。目が潤んでいるから、それをもらっちゃいそうになる時もたまにあって。お互い様です。
−残りの東京凱旋公演と10月には大運動会、12月から来年2月にかけては後編が上演されることが発表されました。3rdシーズンの終わりが明確に近づいてきましたが、どのようなお気持ちですか。
江副 いまを一生懸命やろうと、あまり考えないようにしていましたが、ふと考えるとすごく寂しいです。今回も最初のせりふですごく泣きそうになります。終わるっていう感覚がまだ信じられないです。終わってしまうことは分かっているんですけど、なかなか。
田口 先日の大阪公演の最後の方で、歌っている最中にそれがふっと頭をよぎって泣きそうになりました。まだ全然早いんですけど、でも終わりが近づいてくると寂しくなります。多分ここからもあっという間なんだろうな。東京凱旋をやって、大運動会をやって気付いたらもう後編が始まって。東京凱旋でも泣きそうです。
−1年黄金(ゴールデン)ペアを演じてきて、お互いの変わったところや成長ぶりを感じる部分はどこでしょう。
田口 頼れるようになりました。最初は正直、頼りがいがなくてこの大石大丈夫かなと思っていたんですけど、稽古して公演を踏むにつれて、だんだん副部長らしくなってきました。スイッチが入って大石になった瞬間に副部長になって、周りを支えるし心配する。だからついていこうと思える部分です。でもそれは大石秀一郎になった時の貴紀であって、普段の貴紀は普通に頼りないです(笑)。
江副 僕らはずっと友達だったので、最初は司と菊丸を重ねてしまう部分がすごくありました。でも四天宝寺公演から変わって、菊丸がすごくかわいく見えるようになりました。やっている時は菊丸にしか見えないです。怒っている菊丸、落ち着いている菊丸、かわいい菊丸、いろいろな表情を見せてくれるようになりました。大石として、楽しいです。
田口 いや、恥ずかしい(笑)。
−東京凱旋公演に向けての黄金(ゴールデン)ペアの見どころや見せ場を教えてください。
江副 やっぱりD1の試合です。「これが最後のダブルスだ」、「今までいろいろサンキュー」、「あっという間だったな英二」という最初のせりふから2人の空気が変わるんです。そして黄金(ゴールデン)ペアの曲前の、せりふがない熱いラリーだけのシーンがあって、そこで2人が全力で勝ちにいくというスイッチが入る。
田口 僕もそこが好きです。桃城や乾、海堂がリョーマの記憶を取り戻そうとしているシーンから場面が変わり、黄金(ゴールデン)とプラチナの試合に戻った時のラリーを一番見てほしい。そこはプラチナペアとたくさん考えてきたことが詰まったラリーなので。演じる自分たちとしても最後だし、大石・菊丸にとっても最後の試合です。
−あらためて東京凱旋公演への意気込みをお願いします。
江副 東京公演の初日から見てくださった方も全公演見てくださった方もいると思いますが、凱旋となるとまたひとつレベルも上がるし、試合中、曲中、ベンチ、いろいろなところが初日とは変わっているのでぜひ見てほしいです。僕としては試合も最後ですし、大石くんとして試合をするのも最後。今までの試合とは違う気合の入り方を見せられると思います。
田口 大石・菊丸として最後の試合というのが僕の中ではすごく大きいです。東京で初日を迎えた時といまでは演じ方もだいぶ変わってきています。残り少なくなってきた公演なので、悔いの残らないように全力で頑張っていきたいです。
(取材・文・写真/小林裕美)
ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs立海 前編の東京凱旋公演は、9月19日〜29日にTOKYO DOME CITY HALLで上演。大千秋楽は全国および香港・台湾の映画館にてライブビューイングが決定。
ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs立海 後編は、12月19日〜24日に日本青年館ホールほか、大阪、宮城、愛知、福岡、東京凱旋公演が決定。
公式サイト https://www.tennimu.com/