西島秀俊「人間は互いに支え合い、助け合って生きている」入魂のヒューマンドラマで、スペシャルニーズの子どもたちと共演『時には懺悔を』【インタビュー】

2026年8月26日 / 12:00

 ある探偵が殺された事件の調査を依頼された一匹狼の探偵・佐竹(西島秀俊)とその助手・聡子(満島ひかり)は、9年前に起きた新生児誘拐事件にたどり着く。殺された探偵が調査していたのは、9年前に誘拐され、今は父親の明野(宮藤官九郎)と二人で暮らす、重い障がいのある少年・新(しんすけ)だった…。

 扱っているテーマの難しさから、「映像化不可能」と言われた打海文三のミステリー小説を、『下妻物語』(04)、『告白』(10)の中島哲也監督が構想18年で映画化した『時には懺悔を』が、8月28日から全国公開となる。豪華キャストとスペシャルニーズの出演者がタッグを組んだ本作は、ミステリーの体裁を取りながらも、「惜しみない愛」と「生きる希望」に溢れるヒューマンドラマとなった。その舞台裏を、主人公の佐竹を演じる西島秀俊が語ってくれた。

西島秀俊【ヘアメーク:亀田雅、スタイリスト:オクトシヒロ】(C)エンタメOVO

-心揺さぶられる作品でした。まずは、本作のオファーを受けたときのお気持ちからお聞かせください。

 脚本を読ませていただいたところ、とても素晴らしかったので、この作品からオファーが来るのであれば、どの役でもいいから、参加したいと強く思いました。

-中島哲也監督が構想18年を費やした入魂作ですが、本作に懸ける中島監督の思いを、どのようなところから感じましたか。

 まず脚本からも、中島監督がどれほど時間をかけて準備をしたのかが伝わってきました。また、スペシャルニーズの子どもたちが出演するということで、現場だけでなく、現場への移動中にも、万一の事態に対応できる医療体制が整えられていました。そういうことを実現するには、大変な時間と労力がかかったはずです。監督は当事者の皆さんと一緒に映画を撮ることにこだわられていました。そのための準備や現場でケアする体制を整える姿勢からも、この作品への並々ならぬ想いや覚悟を感じました。

-素晴らしいキャストの皆さんがそろった作品ですが、佐竹とバディを組む聡子役の満島ひかりさんとの共演はいかがでしたか。

 満島さんは表現をするために生まれてきたような方だと、ご一緒して感じました。どのシーンも、テストから本番まで、常にみずみずしい感情に溢れていました。本番で何度同じお芝居を繰り返しても、常にそのとき湧き上がってきたリアルな感情に見える。佐竹を演じながら、僕自身も心を動かされるような瞬間がありました。

-重い障がいのある少年・新を育てる明野役の宮藤官九郎さんのお芝居も素晴らしかったですが、共演の印象はいかがでしたか。

 宮藤さんは、最初の顔合わせのときからひげを伸ばし、体も絞っていた様子で、クランクインの前から役作りをされていた印象でした。宮藤さんが演じる明野は、一見、どうしようもない人物なのに純粋で、実は崇高なことをしていた。でも、本人はまったくそんなつもりはない。この作品が描こうとした、人間の多面的な部分を最も表していた人物ではないかと思います。

-佐竹と聡子が、明野と居酒屋で食事しながら初めて会話するシーンは、西島さんのおっしゃる通り、明野の人間味が伝わってきて印象的でした。

 僕も好きなシーンの一つです。世の中の淀みのようなものを見てきたことで、世の中に何も期待しなくなっていた大人たちが、自分のしてきたことを当たり前のことのように言う明野の言葉を聞いてこの人をサポートしたくなる。そういう「あるがままの明野」を、宮藤さんは演じられていたと思います。

-初顔合わせとなった中島監督の演出で、特に印象に残ったことがあれば教えてください。

 今回、「食べる」ということが、「生きる」ことを表すひとつとして、大事な要素になっていました。普通なら食事のシーンでは、せりふをスムーズに言うために食べる量を調整することもありますが、中島監督は「今回はそういうことはやめましょう」と言われました。実際の人間は食事のときもしっかり食べながらしゃべっているので、そういうものを目指しましょうと。居酒屋のシーンもですが、リハーサルから実際に食事をしながら、どのタイミングで何を飲み、何を食べるのか、丁寧に確認していきました。

-さらに、この作品に不可欠な存在が、新を演じるしんすけさんです。劇中でも素晴らしい存在感を放っていましたが、お会いした印象はいかがでしたか。

 しんすけくんは、周りに自然と人が集まってきて、場を明るくしてくれるような子どもです。撮影現場はもちろんのこと、普段から彼の周りには人が集まり、みんなが楽しそうにしているそうです。そういうお話も伺い、彼自身が新という役に近い存在で、「光」みたいなものを持っているようだと思いました。

-私たちの身近にも、自然と周りに人が集まってくる人がいますが、そういうことなんですね。

 そうだと思います。予告編にも映っていますが、彼の笑顔が本当に素晴らしくて。中島監督がどのように演出したのかは分かりませんが、映画の中のしんすけくんの存在感と演技は感動的でした。僕の理想とする演技は、あるがままでいること、そしてその場で感じたままに行動した結果が、物語に求められる演技や存在そのものになることです。しんすけくんをはじめスペシャルニーズの子どもたちの演技は、まさにそういうものでした。自分の理想とする演技を見て、感銘を受けました。

©2026 映画「時には懺悔を」製作委員会

 
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