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僕の今までのイメージを覆す役柄ではあるのですが、僕の中で実はあまり不安はなかったんです。確かにこの役は、結構ディープなシーンが多いですが、自分の頭の中では、明確にイメージすることができたんです。不安というよりは、前向きな挑戦という気持ちの方が大きい作品でした。また、ずっと東京に帰らずに滋賀に約1カ月滞在したというのも大きかったと思います。滋賀で本当にこの作品に自分をささげることができたというか。東京に帰って、自宅で自由に過ごしたら、多分脳みそが戻ってしまったと思うんです。圭介が実際に生きている滋賀の地で作品と向き合えたことが、大きく影響したと思っています。
今回はキャラクターをあまり作らず、自分から出るものだけで演じていたので、主観性が強いお芝居をしているはずなのですが、完成したものを見た時に、自分とは別の人物のようになっていて、客観的に見られたという不思議な体験をしました。
これも僕の一部ではあるので、今までの僕と何もかもが違うという感覚ではないのですが、人間的な部分という意味では新しい僕と見ていただけるのではないかと思います。
そうですね。撮影した時は29歳でしたが、20代の最後に、これから30代として成長していく過程としてはすごくいいスタートダッシュが切れたと思います。これから先も、この感覚を忘れないようにして成長していきたいなと。自分の引き出しが一つ増えた、扉が一つ開いた感覚を忘れずにいたいです。
この仕事を始める前やデビューして間もない頃は、仕事への責任感も芽生えておらず、甘えを生きやすさのように感じてしまっていたのかもしれません。でも今は、たくさんの経験をさせていただいたおかげで、自分のやりたいことに集中しながら、責任感も持ち合わせることができるようになった。自分の意志で歩くことができている分、本当の意味での生きやすさを感じられています。
かなり複雑でディープな作品になっていると思います。共感するというよりも、具体と抽象が入り交じった美術館に入った時と同じような感覚になるかなと。その美術館に入って、何も思わなくてもいいと思うし、自分とは距離のある存在だと感じてもいいし、意外と心を動かされたという感情になってもいい。そんなふうに、見るタイミングによっても感じるものが全く変わってくる映画だと思うので、フラットな気持ちで見て、一緒に見た人と自分の感想を共有し合っていただけたらすごくうれしいです。
(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2024 映画「湖の女たち」製作委員会
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