【映画コラム】初恋の切なさを描いた『秒速5センチメートル』と『ストロベリームーン 余命半年の恋』

2025年10月17日 / 08:00

『ストロベリームーン 余命半年の恋』(10月17日公開)

(C)2025「ストロベリームーン」製作委員会

 病弱な体のため、学校にも通えず毎日独りで家の中で過ごしてきた桜井萌(當真あみ)。彼女のひそかな夢は、自分の誕生日に好きな人と一緒に見ると永遠に結ばれるという、6月の満月 「ストロベリームーン」を見ることだった。

 15歳の冬、医師から余命が残りわずかであることを宣告された萌は、夢をかなえるために「運命の相手」を見つけようと心に決め、高校に通うことを決意する。

 入学式の日、萌は出会ったばかりの同級生・佐藤日向(齋藤潤)に突然告白し、人生初の「お付き合い」をスタートさせる。

 互いの距離を少しずつ縮めていく萌と日向は、萌の誕生日である6月4日に「ストロベリームーン」を見に行く。だが、その日を境に萌は学校から姿を消し、日向は萌と連絡が取れなくなってしまう。

 芥川なおの同名純愛小説を映画化。脚本・岡田惠和、監督・酒井麻衣。大人の日向を杉野遥亮、萌の両親役をユースケ・サンタマリアと田中麗奈が演じる。

 いわゆる“難病物”の一種だが、思ったほど暗くはない。というか、メルヘンの色が濃いのであまり生々しさが感じられないのだ。萌の行動も自分勝手なものに見えなくもないのだが、まあメルヘンだからいいかとなる。

 テレビドラマ「ちはやふる-めぐり-」でも共演した當真と齋藤がここでもみずみずしい個性を発揮しているのが救いだ。

(田中雄二)

  • 1
  • 2
 

Willfriends

page top