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『ミッキー17』(3月28日公開)
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失敗だらけの人生を送るミッキー(ロバート・パティンソン)は、地球から逃げ、何度でも生まれ変われる“夢の仕事”で一発逆転を狙うことを考える。
だがその内容は、権力者たちの命令に従って危険な任務を遂行し、ひたすら死んでは生き返ることを繰り返すという過酷なものだった。ところがある日、手違いで自分のコピーが同時に現れたことから、事態は一変する。
『パラサイト 半地下の家族』(19)のポン・ジュノ監督がブラックユーモアたっぷりに描いたSFスリラー。
何度も死んでは生き返る主人公というのは、例えば、トム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)などでも見られるが、この映画の場合は、過去の記憶をインプットされたコピー人間として生き返るところがユニーク。そんなミッキーを見ていると、人間の生と死やアイデンティティーについて考えさせられる。
”一人十八役”のパティンソンはもちろん、独裁者夫妻役のマーク・ラファロとトニ・コレットが怪演を見せる。
地球外に移住したミッキーたちが遭遇する虫のような先住民が、宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』(84)のオームをほうふつとさせるところはご愛敬(あいきょう)。ただしこの映画、アイデアは面白いが、少々長くてくどいところが玉にきずだ。
(田中雄二)