70年代のB級アクションのにおいがするサバイバル劇『炎のデス・ポリス』【映画コラム】

2022年7月14日 / 07:00

『炎のデス・ポリス』(7月15日公開)

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 ある夜、砂漠地帯にある小さな警察署に、女性新人警官バレリー(アレクシス・ラウダー)を殴ったテディ(フランク・グリロ)が収監される。実は、詐欺師のテディはマフィアのボスに命を狙われており、避難するためにわざと逮捕されたのだ。

 ところが、マフィアに雇われた殺し屋のボブ(ジェラルド・バトラー)が泥酔したふりをして留置所に入り込む。バレリーの活躍でボブの計画は阻止されるが、さらなる刺客としてサイコパスのアンソニー(トビー・ハス)が現れ、署員を次々と殺害していく。

 孤立無援の上に負傷したバレリーと、裏社会に属す3人の男たちによる生き残りを懸けた闘いが繰り広げられる。

 ハードアクションを得意とするジョー・カーナハン監督が、砂漠地帯の小さな警察署という閉ざされた場所(ワンシチュエーション)を舞台に展開させるサバイバル劇。

 タフな女性警官が主人公というのが現代風ではあるが、全体の設定、バレリーがあえてリボルバー(回転式拳銃)を持っているところなどに西部劇を意識したと思われるところもある。

 ただ、オープニングに『ダーティ・ハリー2』(73)のテーマ曲を流したところをみると、意識したのは、クリント・イーストウッド演じるハリー・キャラハンなのかもしれないし、カーティス・メイフィールドの曲を使ったこともあり、70年代のB級アクション映画のにおいがぷんぷんしてくるところがあった。

 そして、カーナハン監督とは『コンティニュー』(21)でもコンビを組んだグリロが製作も兼任し、自分だけではなく、紅一点のラウダー、スターのバトラー、『L.A.コールドケース』(18)では定年間近の真面目な刑事役をやっていたハスにも、それぞれちゃんと見せ場を作っているところにも好感が持てた。

(田中雄二)


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