【映画コラム】古典劇の4度目の映画化だが…『アリー/ スター誕生』

2018年12月22日 / 18:19

 どちらも音楽が重要な役割を果たす映画だが、『ボヘミアン・ラプソディ』は、単なるクイーンの“記録映画”としてではなく、ライブエイドをドラマの頂点とするための、起承転結を踏まえた“劇映画”として、きちんと作られていた。だからクイーンの存在や彼らの曲をよく知らない観客が見ても満足できるのでないか。

 それに比べると本作は、一見ガガに合いそうに思われる古典劇を、安易に彼女用にアレンジしただけにも見える。だからガガの存在をよく知らない者にとっては感情移入しづらいところがある。

 レディー・ガガというアーティスト名は、クイーンの「レディオ・ガ・ガ」という曲に由来するという。彼女のボーカルを聞いたプロデューサーが、クイーンのリードボーカルのフレディ・マーキュリーに似ていると感じて名付けたのだそうだ。それを知ると、本作と『ボヘミアン・ラプソディ』が同時期に公開されたことが、何とも皮肉なことのようにも思えてくるのだ。(田中雄二)

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