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物語は、こうした多彩なキャラクターたちが織り成すドラマに、人型兵器“モビルスーツ”の開発秘話など、さまざまなエピソードが絡み合いながら展開していく。その人々の営みが戦争に至るさまを重層的な群像劇として描き出したのが『THE ORIGIN』シリーズなのだ。
「機動戦士ガンダム」では1分足らずのナレーションで語られただけの背景を掘り下げ、ダイナミックな物語に仕上げたその力量は見事というほかない。およそ40年に及ぶ「ガンダム」シリーズの歴史の厚みに加え、『THE ORIGIN』シリーズの漫画原作および総監督を務めた安彦良和をはじめとするスタッフ、キャストの尽力あればこそだ。
『THE ORIGIN』シリーズは、第6話『誕生 赤い彗星』でひとまず完結するが、原作コミック『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の本筋は、この後にある。それはすなわち、「機動戦士ガンダム」のリメークだ。
今後の展開については今のところ何の情報も公表されていないが、各種インタビューに答える安彦総監督の言葉からは、続編に対する意欲が伝わってくる。シリーズを見守ってきたファンも、ここで終わることに物足りなさを感じているに違いない。幸い来年は「機動戦士ガンダム」放送開始からちょうど40周年。吉報を期待しつつ、ひとまずのフィナーレに拍手を送りたい。(井上健一)