【芸能コラム】戦うヒーローの姿を通して、戦争の本質に迫る骨太なドラマ「仮面ライダービルド」

2018年2月18日 / 10:00

 「平成仮面ライダー」シリーズ第19弾として昨年9月に始まった「仮面ライダービルド」(テレビ朝日系 毎週日曜午前9時放送)。さまざまな謎をはらみつつスピーディーに展開する物語や、若手俳優たちの生き生きとした演技など、見どころの多い作品となっている。それらに加えて、中盤を迎えた今、見た目以上に骨太なドラマが繰り広げられているのも特徴だ。

「仮面ライダービルド」

 謎のアイテム“パンドラボックス”の力で出現した巨大な壁“スカイウォール”によって、東都、北都、西都の三つに分断された日本。三地区はそれぞれに政府を樹立し、政治的均衡を保っていた。東都に暮らす桐生戦兎(犬飼貴丈)は、過去の記憶を失いながらも、仮面ライダービルドに変身して未確認生命体“スマッシュ”と戦っていたが…。

 ヒーローものの定石を押さえた展開で幕を開けながらも、やがて仮面ライダーが単なる正義の味方ではないことが明らかになる。それは、「スマッシュから人々を守る」という戦兎の意志とは程遠い、「仮面ライダーは東都政府が軍事目的で開発した兵器」という事実だった。さらに、北都が東都に宣戦を布告。「戦争の道具になるつもりはない」という自らの意志に反して、戦兎は仲間の仮面ライダークローズこと万丈龍我(赤楚衛二)と共に、北都が送り込むスマッシュや新たな仮面ライダー“グリス”と戦うことになる。

 平和のために戦ってきた仮面ライダーが、自衛のためとはいえ、戦争に駆り出される構図は、子どもがメインターゲットの作品とは思えない痛烈さだ(もちろんそこには、戦兎なりの葛藤がある)。第20話(1月28日放送)では、「戦争を終わらせたい」と願う万丈が、軍隊を率いて北都へ進撃しようとする姿を描いて見せた。「自衛か侵略か」という問題にまで踏み込もうとする展開に正直、驚いた。

 
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