【映画コラム】“空飛ぶ密室サスペンス”『フライト・ゲーム』

2014年9月6日 / 17:10

(c)2014 TF1 FILMS PRODUCTION S.A.S. – STUDIOCANAL S.A.

 大西洋上の旅客機内で起きた謎の連続殺人とハイジャックの模様を緊迫感たっぷりに描いたアクション大作『フライト・ゲーム』が6日から公開された。

 乗員乗客146人を乗せ、ニューヨークからロンドンに向かう旅客機。離陸直後、航空保安官のビル(リーアム・ニーソン)の業務用携帯電話に謎の人物から脅迫メールが届く。

 姿なき犯人は1億5千万ドルを要求し、金が振り込まれるまでは20分置きに機内の誰かを殺すと通知してきた。そして予告通りに連続殺人が発生。全ての乗員乗客が容疑者となる中、犯人を追うビルにもハイジャック犯の疑いが掛かる。

 本作のプロデューサー、ジョエル・シルバーは過去に、ビルジャック犯に立ち向かう孤立無援のヒーローを描いた『ダイ・ハード』(88)、テロリストにハイジャックされたジャンボジェット機内で奮戦する男たちの活躍を描いた『エグゼクティブ・デシジョン』(96)という大ヒット作を製作している。

 本作は、シルバーがその2作のテイストを踏襲しながら、“夢よもう一度”とばかりに製作した“空飛ぶ密室サスペンス”だという見方もできる。

 また、シルバーとニーソン、そしてスペイン出身のジャウマ・コレット=セラ監督にとっては『アンノウン』(11)に続くトリオでの仕事となった。

 犯人捜しのミステリー、追う者と追われる者が繰り広げるスリルとサスペンス、限られた空間を舞台にしたアクションを融合させ、2時間以内に凝縮したコレット=セラ監督の手腕が光る。

 携帯電話が事件の鍵を握るという現代的な味付けもなされているが、1970年代の『エアポート』シリーズが確立した、パニックの中で乗員乗客のさまざまな人間模様を描くという王道をきちんと受け継いでいるところも面白い。

 そして、心に傷を持つ主人公ビルの内面を巧みに表現するとともに、御年62歳にして体を張ったすさまじいアクションを披露したニーソンもお見事。

 本作はトリオの相乗効果が発揮された一大娯楽作と言っても過言ではない。(田中雄二)

 

●公開情報
『フライト・ゲーム』
9月6日(土)、新宿ピカデリー他全国ロードショー
配給:ギャガ


Willfriends

page top