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そして、ポアロを演じることについては、「劇中のポアロは、監督のように周囲の人物に指示を出す。個別の取り調べで、事件を解決に導く状況を作っている。だから、監督をするのとポアロ役を兼任することは、同じ作業だと思えた」と分析する。
そんなブラナーについて、事件の最初の被害者となる美女リネットを演じたガル・ガドットは「ケネスとの仕事は驚異的なほど素晴らしい経験だった。彼はしっかりと準備を整えると同時に、演者がやりたいと思ったことは何でも試してみる自由を与えてくれた。彼の俳優としてのパフォーマンスからも、とても多くのことを学んだ」と、その仕事ぶりを称賛した。
長い間、監督業と俳優業を両立させてきたブラナーの映画作りの秘訣は、その広い観察眼にあったのだ。映画を見ながら、ポアロの背後に、演者に芝居をつけるブラナーの姿を重ね合わせてみるのも楽しい。
(構成/田中雄二)