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いずれにせよ、製作発表会見でRADWIMPSの野田洋次郎が、本作について「(前作の大ヒットを受けて今回は)分かりやすくマス(大衆)に向けた物語を描くと思っていたが、攻めていて新海節がさく裂している。賛否を巻き起こすんだろうな」と語ったように、大ヒット作の後をあえてこういう作風にした、新海監督の心意気が感じられる映画だったといえるだろう。本作には、爽やかなお盆休み映画という枠にとどまらない気迫があった。
最後に、劇中で最も印象に残ったあるキャラクターの言葉を紹介したい。「世界なんてどうせ、もともと狂っているんだからさ」。バブル崩壊後に生まれ、現在も将来にも閉塞感しか抱けない世代に属す筆者には、自分の思いを代弁してくれているかのような、深く胸に突き刺さる言葉だった。(江風葵)