【コラム】今のアニメ界の潮流を象徴する『GODZILLA 怪獣惑星』

2017年12月29日 / 13:14

 また、異星人の助けを借りて地球を取り戻すという流れは、往年の名作テレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」(74-75)などをほうふつとさせるし、宇宙移民という点で、「マクロスFRONTIER」(08)と比較するのも面白い。すると、宇宙移民の旅を続ける中でも「アイドル」や「歌」といった要素がクローズアップされているマクロスとは異なり、資源も乏しく、船内での娯楽要素も描かれない本作は、かなり悲壮感の漂う宇宙航行を描いていることが分かる。

 さらに、今年放送が開始されたテレビアニメに目を向けると、「少女終末旅行」「宝石の国」など、破滅後の世界を描く、いわゆる“ポスト・アポカリプス(終末)もの”が目に付く。どれも、本作と同じく、絶望的な状況の中でどう生き抜くのかを描いた作品ばかりだ。その点からも、本作は、今のアニメ界の潮流を象徴しているともいえるだろう。

 このように、本作を“ゴジラ”という枠組みではなく、これまでの数々のアニメ作品の流れの中で捉えると、その骨組みやストーリー展開は、むしろSFアニメ作品における王道の手法を用いているとも考えられる。衝撃的な展開の脚本に定評がある虚淵だけに、今後どう展開していくのかが楽しみではあるが、個人的には、どうか悲劇的な結末にはならないでほしいと願うばかりだ。

 最後に、今後の『GODZILLA』3部作の展開について、個人的な妄想を述べてみたい。「宇宙空間に逃れた人類とは別に、地下空間に逃れた人類が存在し、彼らが“メカゴジラ”を信奉する集団を構築していて…」。これでは、まるで昔々の映画『続・猿の惑星』(70)のようではないか、と思われる人もいるかもしれないが、あくまでも筆者の妄想の世界なので、お許し願いたい。3部作の第2章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』は、2018年5月公開予定だ。(森史織)

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