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ある若い夫婦の別れから再生までを、男性の視点(『コナーの涙』)と女性の視点(『エリナーの愛情』)から別々の作品として映し出した『ラブストーリーズ コナーの涙 | エリナーの愛情』が14日から同時公開された。
舞台はニューヨーク。主人公は、まだ幼かった子どもを失ったことで心がすれ違い、結婚生活を解消したコナー(ジェームズ・マカヴォイ)とエリナー(ジェシカ・チャステイン)。その時、コナーは、エリナーは、それぞれ何を見、何を思っていたのかという、二人の心の移り変わりを別々に見せながら、男と女が見ている世界や心情の違いを浮き彫りにしていく。
本作は、ネッド・ベンソン監督のデビュー作。まず、ミステリー映画などでよく用いられる、登場人物の視点の切り替えという手法で2本の恋愛映画を作るという斬新なアイデアが目を引く。観客に新たな映画体験を与えたいとするチャレンジ精神も旺盛だ。もっとも、男女の考え方や視点の差異こそが永遠のミステリーだと言えないこともないのだが…。
ベンソン監督は「二人の人物が、同じ出来事に対してどれぐらい違った体験をするものなのかという主観性に興味があった。また、僕たちは(映画を通して)同じ物語をどれぐらい違ったものとして体験できるのか、同じ瞬間をそれぞれがどんなふうに感じるのか、それがどれだけ違うのか、そうした主観性を探求してみたかった」と語っている。
本作は、単独で見るも良し、2本続けて見るも良し、あるいはどちらを先に見るかでも印象が変わる。つまり何通りもの見方や感じ方ができる映画なのだ。含蓄のあるせりふ、凝った映像などはフランスの恋愛映画を思わせるところもある。(田中雄二)