【映画コラム】ジョン・ヒューズ作品が見たくなる『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』

2014年11月22日 / 17:30

(C)2014「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」製作委員会 (C)2013 中村航/小学館

 嵐の相葉雅紀が単独初主演を果たしたクリスマス恋愛映画『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』が22日から公開された。

 相葉が演じる漫画家志望の書店員、光は、気弱でお人よし、恋に鈍感というラブコメの典型的な人物。光の幼なじみの杏奈(榮倉奈々)は彼のことを思い続けているが、光は全く気付かないばかりか、偶然出会った杏奈の仕事仲間のソヨン(ハン・ヒョジュ)に心を奪われ、彼女こそが“運命の人”だと思い込んでしまう始末。果たして彼らの恋の結末は…。光が鈍感な分、杏奈のかわいらしさが目立つ作りになっている。

 犬童一心監督が「ジョン・ヒューズ作品のようなみずみずしい青春映画を撮りたくてこの作品を作った」と語るように、本作は、画家志望の高校生とボーイッシュな幼なじみとの恋のすれ違いを描いた、ヒューズ製作、脚本、ハワード・ドイッチ監督、メアリー・スチュアート・マスターソン主演の『恋しくて』(87)という映画を思い出させる。

 ヒューズは、1980年代に、監督作の『ブレックファスト・クラブ』(85)『フェリスはある朝突然に』(86)、製作・脚本作の『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』(86)など青春映画の傑作群を送り出し、トレンディードラマと呼ばれた当時の日本のテレビドラマにも大きな影響を与えた映画人。後には、マコーレー・カルキン主演の『ホーム・アローン』 シリーズなど、ファミリー物やコメディーの製作・脚本も数多く手掛けたが、2009年に59歳の若さで亡くなった。

 人物設定などではヒューズ作品を参考にしたと思われる本作だが、主人公の心の闇を代弁するデビクロをアニメーションで表現し、実写と合成したほか、東京スカイツリーのイルミネーションをバックに、山下達郎の「クリスマス・イブ」が流れるクライマックスを用意するなど、きっちりとクリスマス映画として仕立てている。本作を見た後、DVDなどでヒューズ作品を見てみるのも一興だ。(田中雄二)


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