井桁弘恵、幼少期のバレエの経験が今の「度胸」に 「バレエの魅力をもっと伝えたい」「SWAN -Ballet cross Reading-」【インタビュー】

2026年8月28日 / 08:00

 ドラマ「そこから先は地獄」(日本テレビ)で主演を務め、映画『教場 Requiem』など数々の映画やドラマに出演、「おしゃれクリップ」(日本テレビ)ではMCも務める井桁弘恵。9月4日から上演される「SWAN -Ballet cross Reading-」では、物語を紡ぐリーディングキャストとして出演する。本作は、有吉京子によるバレエ漫画「SWAN―白鳥―」(平凡社刊)を、バレエ×リーディングのコラボレーションで舞台化。バレエに魅せられた少女が才能を開花させていく姿を、井桁、村川絵梨、東啓介らリーディングキャストと、飯島望未、米沢唯、倉永美沙ら錚々(そうそう)たるバレエダンサーによるバレエシーンによって描き出す。幼少期にバレエを習っていた経験を持つ井桁に、バレエの魅力や本作の見どころなどを聞いた。

井桁弘恵

-出演のオファーを受けて、どんなことを思いましたか。

 お話をいただいて、原作を読ませていただいたのですが、本当に情熱にあふれた作品だと感じました。バレエはあまり身近ではなく、どこか別世界のことだと感じている方も多いかもしれませんが、この物語の中で描かれている登場人物たちの悩みや心が燃え上がるような気持ちは、誰もが共感できるものではないかと思います。私自身、10代ならではの、将来に向かってもがいている姿や、相手を気にしてしまう(主人公の)真澄の姿に懐かしさを覚えて、面白いなと思いながら読みましたし、バレエを好きな方も、あまり知らないという方にも届けたい、力強い作品だなと感じました。

-井桁さん自身も幼少期にバレエを習っていたそうですが、バレエの魅力はどんなところにあると感じていますか。

 私は3歳から12歳までの9年間習っていました。コンクールに出場するようなレベルではなく、(物語の中で)真澄が旭川で習っていたようなレベルでしたが、とにかく踊ることが好きでした。バレエの魅力は、ほかにはないオープンに体を開放して踊ることへの異次元感にあるのかなと思います。体一つで芸術を作り出してしまうのがバレエです。踊ることへの妥協がなく、徹底的に、極限のその先まで突き詰めていくすごさを感じます。それから、昔からある音楽を使って、同じ音楽、同じ作品を踊り継いでいくということにも歴史を感じます。私も小さい頃、『くるみ割り人形』を見て、「これを踊りたい!」と思いましたが、今、あの曲を聞いてもワクワクします。音楽を通して心が動き、さまざまな人が踊ることによって、それが増幅していく。例えば、どれだけ体が柔らかくても、どれだけ飛べても、それだけではなくて、技術だけではない魅力があるなと思います。

-井桁さんはどんなきっかけがあってバレエを習い始めたのですか。

 姉がやっていたので、それを見て私もやりたいと言いました。

-バレエを習ったことで、どんなことが身につきましたか。

 今のこの度胸は、バレエの経験があったからこそだと思います。私は、あまり人前に出るのが好きなタイプではなかったのですが、バレエを踊っていると自信満々にステージに上がれたんですよ。そのときに培った経験は、私にとって今でも大きなものになっています。それから、リズム感や姿勢もバレエで身についたと思います。指先まで意識したあの所作は、大人になってから習得するのは難しいなと思うので、子どもの頃に習っていて良かったなと思うところです。

-井桁さんは今回、主人公の聖真澄を演じます。出演が発表された際に、真澄について「一生懸命な子」とコメントを出されていましたが、稽古を重ねて、そのイメージに変化はありましたか。

 一生懸命なイメージに変わりはないです。それから、バレエ一筋で、それにしか目がない。100パーセント注ぎ込んでいるからこそ、悔しさも強く感じるし、すべての感情がバレエを軸にして動いているということは、実際に演じていても変わらずに感じています。それに、10代だからこそ、まだ大人になりきっていないところもあって。大人ならば見切りをつけてしまえるところもそうできない。それもまた、真澄らしいですし、私自身も振り返るとそういうときもあったなと思います。

-真澄と似ているなと思うところや共感できるところはありますか。

 私は何事も俯瞰(ふかん)をして見るタイプで、自分の感情に支配されるということがあまりないので、共通点というとバレエが好きだったという思いくらいかなと。ただ、真澄のように一生懸命にいちずにのめり込めるのは、すごく幸せなことだなと思います。

-真澄を演じるにあたって、どんなところに力を入れていますか。

 今回、リーディングだと聞いていたのですが、実際には、動きも多くて、リーディングという想像を超えてお芝居をしているところも大きいです。なので、真澄になれるように、落ち着いてしまいがちな自分を少しでも解放することを意識して、誰よりも魅力的に見えるようにしたいと考えています。真澄は、技術的には飛び抜けてうまいわけではないですが、彼女の持つ何かをセルゲイエフ先生に見出してもらう役柄なので、私自身もきらめくものを出せるように、魅力をプラスできるように演じたいです。

-動きが多いということですが、ダンスということでしょうか。

 キャストみんなで踊る場面もありますし、ダンサーの方とシンクロした動きもあります。テレビでのダンスとはまた違って、久しぶりにステージで踊れるというのは、とても楽しみです。当時を思い出しながら、楽しく踊っています。

-バレエはやはり敷居が高い印象がありますが、初めて本作でバレエに触れる方に、どんなところを注目して見れば良いか教えてください。

 バレエの敷居の高さは、歴史があるダンスであるということにあるのかなと思います。それから、言葉がない表現だからこそ、どういう場面なのか分かりにくいのかなと。ただ、今回は、リーディングで、ストーリーやその場面が分からないということがないですし、感情や言動も言葉で情報として伝えるので、舞台を見に来る感覚で見たら、ものすごいものが見られるのではないかと思っていて。私たちリーディングキャストもバレエダンサーたちの動きに見惚れてしまうことがあるんです。今回、本当に素晴らしいダンサーの方々が集まっていて、それぞれの演目の良いところをたくさん見せてくれます。美しいな、きれいだなと思いながら見ていれば、自然と物語も入ってくるという、いいとこ取りのぜいたくな舞台だと思うので、バレエを見たことがない方にもぜひご覧いただきたいです。

-バレエダンサーの方を間近で見ていて、またやりたいというお気持ちが生まれたのでは?

 めちゃくちゃあります。でも、大人になって1回だけレッスンに行ってみたことがあったのですが、足がつりそうになってしまって、これは無理だなと思いました(笑)。やはり大人になるまで続けていらっしゃるというのは、すごいことだと改めて感じました。

-では、改めて公演に向けた思いを聞かせてください。

 今回、自分が幼少期に習っていたバレエに、こうして関われることに、不思議なご縁を感じています。少しでもバレエを経験しているからこそ演じられることがあるのではないかって思います。バレエの魅力をもっともっと伝えたいという気持ちと、バレエとリーディングが合わさることによって、相乗効果でお互いの魅力が増していくさまをお見せしたいです。これまでにないコラボレーションだと思うので、大成功させて、続きが見たいと思ってもらえるような作品にしたいと思います。最後までめげずに頑張ります。

(取材・文/嶋田真己)

「SWAN -Ballet cross Reading-」は、9月4日(金)〜9日(水)に都内・新国立劇場 中劇場で上演。

SWAN Ballet cross Reading


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