【映画コラム】3月後半の映画から『プロジェクト・ヘイル・メアリー』『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』

2026年3月27日 / 08:00

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(3月20日公開)

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

  未知の原因によって太陽エネルギーが奪われ地球に滅亡の危機が迫る中、その謎を解明する“イチかバチか(ヘイル・メアリー)” のプロジェクトのために、中学の科学教師グレース(ライアン・ゴズリング)が、片道切符で宇宙の果てに送り込まれる。

 グレースは、孤独な旅の中で小さくて勇敢な、岩のような形をした異星人と出会い、ロッキーと名付ける。

 物語は孤独から始まる。深宇宙にたった一人でいるグレース。ここに至るまでの記憶は断片的だ。しかも彼は、スーパーヒーローでも宇宙飛行士でもない、ただの普通の男。ストイックなところは全くなく、勇敢でもないし、英雄でありたいという幻想も持っていない。

 そんな彼が徐々に記憶を取り戻しながら、決して諦めず、途方もない自己犠牲をいとわない人間へと変化していく様子を、回想シーンを交えながら描いていく。そうしたグレースの心の旅路をゴズリングが見事に表現している。

 監督のフィル・ロードとクリストファー・ミラーは、「宇宙冒険、ディザスタームービーとして始まるのに、3分の1を過ぎたところで、コミュニケーションの取り方を学ばなければならない2人の“人物”の親密なキャラクター研究になる。その転換こそがこの作品を特別なものにしている。そんな物語の途中で起こる孤立からパートナーシップへの変化にひかれた。これはSFではなく人間ドラマ。銀河の両端から来た2人の異なる個人が、科学、共感、思いやりを通じて協力し合い、宇宙を救う。究極のバデイムービー」と語る。

 その言葉通り、従来のサバイバルストーリーとの違いは、最終的に軸となるのが、孤独や忍耐ではなく協力であり、解決策は一人では見つけられないという気づきにある点だ。広大な宇宙の中にあってなお、つながりこそが最大の力になると訴えかける。クライマックスで流れるザ・ビートルズの「トゥ・オブ・アス」が、そんな本作のテーマにぴたりとはまって感動的だ。

 
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