八神純子【コンサート2024「The Season of Songs and Strings ~芽吹き~」】オフィシャルインタビュー公開! 激動の音楽人生~岩城直也とのポップスオーケストラ公演について

2024年2月2日 / 12:00

 昨年デビュー45周年を迎えるほどのキャリアを積みながら、その音楽活動の自由度とエネルギーが増し続けている八神純子。3月17日(日)東京国際フォーラム ホールCにて【八神純子コンサート2024「The Season of Songs and Strings ~芽吹き~」Presented by WOWOWプラス】なる、岩城直也率いるNaoya Iwaki Pops Orchestraとの豪華コラボレーションコンサートを開催する。

 「みずいろの雨」「パープルタウン ~You Oughta Know By Now~」といった大ヒット曲はもちろん、音楽ルーツ洋楽メドレーなどここでしか体感できないポップスオーケストラをお届けする本公演についてはもちろん、今日に至るまでの激動の音楽人生についても語ってくれた貴重なオフィシャルインタビュー。全音楽ファンにご覧いただきたい。

<激動の音楽人生「誰かの為に無我夢中に音楽活動ができる喜び」>

--昨年デビュー45周年を迎えた八神さん。これだけ長く音楽活動を続けられていることには、どんな感慨を持たれていますか?

八神純子:私はデビューするまで1回もライブをしたことがなかったんです。そんな状態で【ヤマハポピュラーソングコンテスト】をきっかけにデビューして、わりとすぐに「みずいろの雨」という大ヒット曲に恵まれたので、一気に坂を上り詰めたんですけど、私自身の気持ちがその状況についていけていなかったんですよね。それで、自分の歌というものを高める意味でもアメリカに行ったりするんですけど、そこには日本の音楽業界から逃げたい気持ちもあったと思うんです。その結果、私はトータルで15年間ぐらい音楽活動をお休みしていた時期もあったので、アニバーサリーイヤーを迎えても「私なんかがずっと歌い続けてきたなんて言えない」と引け目を感じていて。

--なるほど。ただ、その15年に及ぶ休業期間の大半は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件など不安定な社会情勢が影響していたと伺っています。その間は音楽とまったく触れていなかったんですか?

八神純子:9.11のときに私が活動休止せざるを得なかったのは、私が精神的に弱って日本に帰って来れなくなってしまったんです。それでコンサートツアーをキャンセルしたんですけど、そうなると「八神純子はいつキャンセルするか分からない。怖いからコンサート組めないね」って思われてしまうんですよね。で、日本での音楽活動は休止状態になってしまったんですけど、それでも歌うことは好きだったんで、アメリカでバッキングボーカルのバイトをしたりしていました。楽しかったですね。ただ、同時に「やっぱりアメリカの壁は厚いな」と感じたりして。みんなスターを目指していて、みんなすごく上手いし、良い曲も書くし、その中で実際に星を掴める人たちというのは、才能はもちろんのこと、かなりの強運の持ち主じゃなきゃいけない。そういうことも学んだりしていました。

--その後、3.11東日本大震災が発生した2011年、日本での音楽活動を再開。当時はどんな心境だったのでしょう?

八神純子:当時「日本でコンサートやらない?」と提案して下さった方がいたので、そこからリスタートしようと思っていたんですけど、3.11東日本大震災が起きてしまった。結果、5月に予定していたコンサートが半年後に延期になってしまったんです。でも、私はすでにコンサートができる歌声に戻っていたので、半年間じっとお休みしているよりも「東北で歌いたいな」と。これが私にとって大きな転機になりました。長く休んでいたから、日本に帰ってきてもどこかに所属できるわけでもないし、ただそこで気付いたんですよね。「ということは、自由にやりたいこともやりたくないことも自分で決めていいんだ!」って。だから、自分の気持ちの赴くままに、誰かに止められることもなく東北で歌い続けることが出来たんですよ。自分の為じゃなく誰かの為に無我夢中に音楽活動ができる、それが徐々に何物にも代え難い喜びになっていって。

<自由な音楽活動「やったー! これで自由にアルバムつくれる!」>

--そこで、本当の意味での音楽活動の基盤が出来たんですかね?

八神純子:そう思います。私が歌う理由もハッキリ分かるようになって。私は歌を歌っていない時期というのはなんとなくブルーなんですけど、人前で歌うことによって自分の中にプラスのエネルギーが生まれていく。私の歌を聴いてくれた人たちが喜んでくれたり、しあわせそうな顔をしてくれると私も嬉しい。それによってどんどんポジティブになっていけるんですよ。だから私は歌うことが好きなんだなと、そこで気付いて。あと、私の声は人生の失敗や苦しみ、悲しみを重ねることでも良い声になっていくんです。すべての経験が無駄にならない。なので、長いこと日本での音楽活動を休止してしまったり、そのことに負い目を感じてしまったり、これまで上手くいかないこともツラいこともたくさんあったんですけど、今はそれすらも私の歌にとって重要なことだったんだなと感謝しています。

--そんな紆余曲折あった音楽人生が反映されたと思われる、2021年リリースの最新オリジナルアルバム『TERRA -here we will stay』。11分17秒の表題曲含め、あの作品をどんな想いや背景があって生まれたものだったんですか?

八神純子:疑う余地なく「この作品を書く為に今までがあったんだな」と思えるアルバムなんですけど、ゆえに今まで楽曲のイメージを狭くしてしまうと思ってつくってこなかったミュージックビデオも「これだけは映像がほしいな」と大作を制作したり、初めてシルエットだけのジャケット写真にしてみたり、今まででいちばん拘り抜いたんですよ。なので、リリースからもう2年半ぐらい経っているんですけど、古さをまったく感じさせない作品になっていますし、今もこのアルバムを知らない人に届け続けていくミッションの真っ只中だと思っているんです。海外の人たちにも絶対に聴いてもらいたいですし、その為に今後もいろいろアクションを起こしていこうかなと。ちなみに、今作と前回のアルバム『There you are』は自主制作なんですよ。前作はレコード会社が最初「制作する」と言って費用を出してくれたんですけど、途中でどうしてもアレンジをやり直したいと思って。「そんな予算ないでしょ。アレンジャーにも失礼」「でも、この作品にはこれじゃないでしょ」「じゃあ、ご自分やられたらどうですか?」みたいな感じで揉めたんですが、私はそこで「あ、自分でやるパターンもあるんだ!」とまた気付いてしまって(笑)。

--八神さん、基本的にめっちゃポジティブですよね(笑)。

八神純子:普通はそこで「レコード会社に見放された。もうおしまいだ!」と思ったりするんでしょうけど、私は3.11のときの経験もあったから「やったー! これで自由にアルバムつくれるじゃん!」と思って(笑)。そこから作品も自主制作でリリースするようになって、だから『TERRA -here we will stay』もあんなに長い曲を収録したり、自由度が高い作品にすることが出来たんです。

<「みずいろの雨」への想い~Naoya Iwaki Pops Orchestraとの出逢い>

--そんな今の八神さんにとって、初期の代表作にして大ヒット曲「みずいろの雨」「パープルタウン ~You Oughta Know By Now~」はどんな存在になっているんですか?

八神純子:ヒット曲はないよりあったほうが絶対に良い。なので、今は大事にしようという気持ちになっているんですけど、ヒット曲を大切に歌えないときは不幸でしたね。それと今の作品を比べたりしてしまって。でも、東北で「みずいろの雨」を歌ったときに、あんなに悲しい内容の曲なのにみんな笑顔になってくれたんですよ。そこで「あ、ヒット曲の力ってこういうことなんだな」と気付いたんです。歌詞の内容よりも、あの曲を聴いていたときの若さやエネルギー、夢みたいなものを思い出して元気になるんだなって。今、自分が書いてる曲とは違う存在ではあるんですけど、いろんな場面で「いてくれてよかったな」と思いながら歌わせてもらっています。

--3月17日(日)東京国際フォーラム ホールCにて開催される【八神純子コンサート2024「The Season of Songs and Strings ~芽吹き~」Presented by WOWOWプラス】でも披露されるんですよね。

八神純子:そうですね。このコンサートでご一緒する岩城直也くんとは、何年も前に【ビルボードクラシックス】でお会いして。打ち上げで彼がピアノを弾いていて「なんて才能のある子なんだ」と思ったんです。それからしばらくニューヨークに行っちゃったので、長らくお会いできていなかったんですけど、私と一緒にツアーをまわっているピアニスト・宮本貴奈さんから「岩城くんってご存知ですよね。今、ニューヨークから帰ってきていて、八神さんにやってもらいたいことがあるらしいですよ」と聞いて。それで連絡を取ってみたら、ポップスオーケストラをつくったと。その最初のコンサートを北九州市でやるから出てくれないかと提案してくれて「もちろん!」と答えたんです。で、そのときにやった「みずいろの雨」と「パープルタウン ~You Oughta Know By Now~」がもう本当に素晴らしかったんですよ! それらの曲をリアルタイムでは聴いていない若手の演奏家たちが岩城くんのアレンジで、私の聴きたかった弦とピアノで響かせてくれて。

--それがあっての今回の公演なんですね。

八神純子:それで、岩城くんは「ポップスオーケストラを育てていきたい」と。それを私も応援したくて。でも、私が彼らとの公演を主催するとなると「八神純子がどうしてこの人たち(Naoya Iwaki Pops Orchestra)をフィーチャーするんだろう?」というところからのスタートになるので、それを理解してもらうのに結構時間がかかったんですけど、やっと今回実現できることになり、WOWOWプラスさんも一緒に主催してくれることになって。彼らとポップスとクラシックのベストな融合というものをお届けできたらなと思っています。私、そもそも【ヤマハポピュラーソングコンテスト】に出場して、その流れで【世界歌謡祭】に出演したときにオーケストラで歌っているんですけど、あの喜びが忘れられないんですよ。だから、今回の岩城くんたちとのコンサートは本当に楽しみなんです。

<感動で席から立てなくなるコンサートを目指したい>

--そのコンサートでは、音楽ルーツ洋楽メドレーも披露されるんですよね。

八神純子:岩城くんと私の音楽ルーツは結構似ていて、ふたりとも映画音楽が好きなんです。ふたりで映画音楽の話を始めたら宇宙まで飛んで行ってしまうぐらい(笑)。「ちょっとだけいいですか?」って連絡してソレの話になっちゃったら、真夜中を徹して語り合っちゃうんですよね。電話切ったあとも「あ、そうだ。こういうのもあった。知ってる?」「知ってます! じゃあ、これは?」って音源を送り合ったり。その感じをそのままメドレーにしたいなと思っています!「これで感動しちゃって立てなくなっちゃったんだ!」みたいなお互いのルーツを岩城くんのピアノとNaoya Iwaki Pops Orchestraのみんなとお届けしたい。あと、今回のコンサートには、私の大好きなハープも登場するので、それをフィーチャーした曲もやりたいなと思っています。

--他では体感できないコンサートになりそうですね。

八神純子:そうですね。最近はクリックがあって、タイミングが決められているようなコンサートがほとんどだと思うんです。だから自由度が低い。でも、岩城くんとのコンサートはもちろんクリックはないし、お互いブロードウェイのミュージカルが好きだから、気持ちが高揚してテンポがちょっと速くなる瞬間も出てくると思うんですけど、そういうクリックがあったら絶対に出来ないことを自由度高くやっていきたいんですよね。なので、きっとここでしか体感できない音楽を堪能できるコンサートになると思います!

--では、最後に【八神純子コンサート2024「The Season of Songs and Strings ~芽吹き~」Presented by WOWOWプラス】へ来てほしい皆さんへメッセージをお願いします。

八神純子:私の活動をよくご存知の方は、私が新たなチャレンジをし続けていると分かってくれていると思うんですけど、これはまさにその新たなチャレンジであって。なぜ私がこのチャレンジをするのか。その答えは会場に来てくれたらきっと伝わると思います。あと、私は感動で席から立てなくなるようなコンサートをやってみたいと常に思っていて。それでじっとずっと聴き入ってくれていた皆さんが最後の最後に「ブラボー!」とスタンティングオベーションしたくなるようなコンサートをこの公演では目指したい。なので、良い音楽をじっくり聴きたい方はぜひともいらっしゃってください!

Interviewer:平賀哲雄

◎イベント情報
【八神純子コンサート2024「The Season of Songs and Strings ~芽吹き~」Presented by WOWOWプラス】
2024年3月17日(日)東京国際フォーラム ホールC
OPEN 16:15 / START 17:00
出演者:八神純子
ピアノ・指揮・編曲:岩城直也
演奏:Naoya Iwaki Pops Orchestra

チケット:全席指定 一般 8,800円(tax in)
※未就学児童はご入場になれません

<各プレイガイド先行>2024年2月2日(金)12:00~
ローソンチケット プレリクエスト先行
https://l-tike.com/search/?keyword=73037
チケットぴあ プレリザーブ先行
https://w.pia.jp/t/yagamijunko-t/
e+(イープラス) プレオーダー先行
https://eplus.jp/junkoyagami/

<一般発売日>2024年2月10日(土)12:00~

◎八神純子 オフィシャルサイト
https://junkoyagami.com/s/yj/


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