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ザ・バンドのギタリスト/ソングライター/フロントマンとして愛されたロビー・ロバートソンが、現地時間2023年8月9日に長い闘病生活の末に亡くなった。享年80歳だった。病名は公表されていない。
ロバートソンの長年のマネージャーであるジャレッド・レヴィーンが声明でこの悲報を伝えた。「亡くなった時、ロビーは妻のジャネット、前妻のドミニク、彼女のパートナーのニコラス、子供のアレクサンドラ、セバスチャン、デルフィーン、デルフィーンのパートナーのケニーを含む家族に囲まれていました。また、彼には孫のアンジェリカ、ドノヴァン、ドミニク、ガブリエル、セラフィーナもいます。ロバートソンは最近、度々コラボレートしているマーティン・スコセッシとの14本目の映画音楽プロジェクト“キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン”を完成させました。献花の代わりに、遺族は新しいウッドランド・カルチャー・センターを支援するため、シックス・ネーションズ・オブ・ザ・グランド・リバーへの寄付をお願いしています」と声明に記載されている。
カナダ・オンタリオ州トロント生まれの彼は10歳でギターを弾き始め、わずか16歳でドラマーの故リヴォン・ヘルムと共に故ロニー・ホーキンスのバック・バンド、ザ・ホークスに加入した。ホークスは1965年と1966年に行われたボブ・ディランの伝説的な【ゴーイング・エレクトリック】ツアーで共演し、彼と“ベースメント・テープ”をレコーディングしたあとにグループ名をザ・バンドに変更した。ロバートソンが作曲した名曲「ザ・ウェイト」を収録したデビュー・アルバム『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』を1968年にリリースし、その1年後には【ウッドストック・フェスティバル】に出演した。
ロバートソンは、ザ・バンドが米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で最初にヒットさせた4曲、「ザ・ウェイト」(最高63位)、「クリプル・クリーク」(25位)、「ラグ・ママ・ラグ」(57位)、「タイム・トゥ・キル」(77位)のソングライティングを一人で手がけた。また、ジョーン・バエズの最大のヒット曲「オールド・ディキシー・ダウン」の唯一の作者でもある(1971年に3位を記録)。
バンドとして8年間活動したあと、ロバートソンは1976年にグループを解散させ、ザ・バンドの伝説的なフェアウェル・コンサート【ラスト・ワルツ】でクライマックスを迎えた。ディラン、エリック・クラプトン、故マディ・ウォーターズ、ヴァン・モリソン、ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェルらが米サンフランシスコのウィンターランドでの公演に参加し、マーティン・スコセッシ監督によるコンサート映画も制作された。『ラスト・ワルツ』のサウンドトラックは1978年にリリースされ、米ビルボード・アルバム・チャート “Billboard 200”で16位を記録した。
ロバートソンは映画の世界にも進出し、ゲイリー・ビジーとジョディ・フォスター主演の『カーニー』(1979年)の共同脚本、プロデュース、出演、作曲を手がけた。その後、スコセッシ監督の『レイジング・ブル』(1980年)、『キング・オブ・コメディ』(1983年)、『カラー・オブ・マネー』(1986年)の音楽を制作・プロデュースし、後者にはクラプトンと共作した「It’s In The Way That You Use It」が含まれている。また、ロバートソンは、『アメリカン・ビューティー』(1999年)、『エニイ・ギブン・サンデー』(1999年)、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年)、『ディパーテッド』(2006年)、『シャッター アイランド』(2009年)、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)、『沈黙-サイレンス-』(2016年)など、長年にわたって数々の象徴的な映画の音楽を担当、コンサルティング、プロデュース、または監修してきた。
ロバートソンは1987年に【グラミー賞】にノミネートされたセルフ・タイトル・アルバムでソロ・アルバム・デビューを果たした。ピーター・ガブリエルとU2をゲストに迎え、「クレイジー・リヴァーのどこかで」という名曲が収録されている。6作目にして最後のソロ・アルバム『シネマティック』は2019年にリリースされた。
1989年に【カナダ音楽の殿堂】入りしたザ・バンドは、1994年には米【ロックの殿堂】入りを果たし、2008年にレコーディング・アカデミーから<生涯功労賞>を受賞した。ロバートソンはこれまでに5度【グラミー賞】にノミネートされたものの、受賞することはなかった。母国カナダでは5つの【ジュノー賞】に輝き、その内3つは1989年に<年間最優秀アルバム賞>(自身の名を冠したソロ・デビュー・アルバム)、<男性ヴォーカリスト・オブ・ザ・イヤー>、<プロデューサー・オブ・ザ・イヤー>(ダニエル・ラノワとの共同受賞)の3部門で受賞している。
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