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お正月は、家族や友人たちと映画館で“お正月映画”を楽しむ。ウィズコロナとなり、今年はそんな時間が戻ってきそうな気配。しかも、映画史に革命を起こした大ヒット作の13年ぶりとなる続編など、スクリーンで見ておかないと後悔しそうな大作や話題作がそろっている。いざ映画館へ!
★日本映画編
邦画に目を移すと、11月11日から公開を続ける新海誠監督の『すずめの戸締まり』と、原作者の井上雄彦が自ら監督を務めた『THE FIRST SLAM DUNK』のアニメ2作品が、いまだに堅調だ。昨年のお正月興行も、ふたを開けて見れば『呪術廻戦0』一択で、相変わらずアニメは強い。
加えて、アニメ界の名匠・原恵一による『かがみの孤城』もスタートした。辻村深月の本屋大賞受賞作が原作で、学校でイジメに遭う女子中学生が鏡の世界に吸い込まれ、同じ境遇の6人と一緒に謎解きに挑む。ファンタジーと日常の融合に定評のある原監督らしい感動作だ。
とはいえ、実写も負けてはいない。最注目は、フジテレビ系で03年~06年に人気を博した医療ヒューマンドラマの映画化『Dr.コトー診療所』。コトー先生と志木那島に起きた重大事を、日本が抱えるへき地医療や過疎高齢化の問題を絡めて描いている。
二宮和也主演の『ラーゲリより愛を込めて』は、第2次大戦終了後も不当に強制収容所に抑留され続けた“シベリア抑留”の実話に基づく感動作。
『月の満ち欠け』は、佐藤正午の直木賞受賞作が原作。生まれ変わりを題材にした感涙必至のラブストーリーだ。
『ブラックナイトパレード』は、お正月映画というよりクリスマス映画だが、コメディーのヒットメイカー・福田雄一が監督し、吉沢亮、橋本環奈ら豪華若手スターが競演している。
また、公開規模は大きくはないが、個人的にイチ押しなのが、『ケイコ 目を澄ませて』と『夜、鳥たちが啼く』の2本。
前者は、『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介の次に世界へ羽ばたくであろう、若き才能の筆頭・三宅唱監督作。耳の聞こえないプロボクサーを岸井ゆきのが演じて、等身大の魅力を放つ。
後者は、多様でレベルの高い作品を連発する“天才職人監督”城定秀夫作品。佐藤泰志の小説を基に、売れない小説家とシングルマザーのいびつな同居生活を描く。
日本映画は近年、スマッシュヒットが減り、二極化が著しくなってきている。“ヒット格差”を解消するためにも、アニメや話題作だけでなく、こうした良作にもしっかり足を運んでほしい。