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マーベルヒーローの中でもとりわけ個性的なデッドプールの活躍を描くシリーズ第2作『デッドプール2』が公開された。
前作で、人体改造により人並み外れた治癒能力と不死身の体を手にしたデッドプール。彼は、演じるライアン・レイノルズが「コミックの世界の中でもとてもユニークな存在。他のスーパーヒーローが言えないことを言えたり、やれないことができるという特権を持っている。ダーティーなところもあるし、道徳的にも曖昧。自分をジョークのネタにもする。だからこそ観客の共感を呼ぶのだと思う」と語る異色のヒーローだ。
そのデッドプールが、今回は未来からやって来たマシーン人間のケーブル(ジョシュ・ブローリン)との戦いの中から、ある少年を救い、友情や絆を大切にする“良いヒーロー”へと大変身? チーム“Xフォース”を結成する様子が描かれる。
今回もレイノルズが脚本に参加し、前作同様、過激なアクション、X-MENとのコラボ、下品な下ネタ、コアな映画ネタなどを満載させた。ただし、今回はデッドプールのヒーローとしての成長物語の要素が強いので、時間ネタを絡めた“ちょっといい話”にもしている。また、前作はラブストーリー、今回は友情が話の根底にあるので、グロさや下品さが緩和されるところもある。
レイノルズは「地球や宇宙を救うというのは、デッドプールにはふさわしくない。それは他のヒーローがやってくれるので、彼らに任せる。デッドプールは、そのキャラクター自体がスペクタクル。爆発する街や、星を救うという種類のものではないので、予算も他のヒーロー物に比べれば少なくて済む。ひたすら“赤いクソ野郎”の活躍を見るための映画なのさ」と分析する。
この言葉を聞くと、本シリーズは一見、ノリの良さが身上のようにも見えるが、実はきちんと計算して作られていることがよく分かる。それは、例えば映画を象徴するテーマ曲的なものとして、前作はワム!の「ケアレス・ウィスパー」(ささやきに乗った不注意な行動)を、本作は、a-haの「テイク・オン・ミー」(私を受け入れて)を使っていることからも推察できる。(田中雄二)