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松竹創業百三十周年「双仮名手本三升 裏表忠臣蔵」取材会が21日、東京都内で行われ、市川團十郎が登壇した。
2年間にわたる襲名披露興行を終えた十三代目市川團十郎。今回の公演では、寛延元年(1748年)に初演されて以来、およそ280年にわたり愛されてきた歌舞伎の三大名作の一つである「仮名手本忠臣蔵」に、現代ならではの視点を織り込み作り上げる。團十郎は大星由良之助、早野勘平、斧定九郎、高師直の四役を早替りにて勤める。
團十郎は、「私が子どもの頃の歌舞伎界は『忠臣蔵』はどんなときでもお客さんが入るという暗黙の了解でしたが、近年はお客さんが入らない月が出てくる。これは、なんでなのかを考えたとき、歌舞伎や役者の問題もありますが、お客さま方も『忠臣蔵』のあだ討ちや一貫して主君を思う気持ちを貫く日本人の魂みたいなものへの理解度が薄れてきているのではないかと思います。それを古典で丁寧に表現することも大事ですが、私ですら難しいと思うところがあるので、今の人には理解しづらいところがある。そうしたところをなんとかしたいという思いが強い。『仮名手本忠臣蔵』はすばらしいし、変えてはいけないけれども、こういう提案もありではないかという気持ちで挑みたいと思います」と本作への思いを語った。
タイトルに「裏表忠臣蔵」とついているが、表では通常上演されている「仮名手本忠臣蔵」、裏として創作場面をつけ、新たな形で描くことを考えているそうで、團十郎は、「スピンオフ的なものをこの作品に入れる」「一言で終わってしまう人間にもフォーカスする」と改めて説明。さらに、「歌舞伎とは別の感覚で話すと、ただのパワハラの問題(を描いている)。権力を持ったおじちゃんがパワハラをしているだけの話ですが、それを現代の方々にも分かりやすく『そりゃ、そうなるよね』としたい。日常生活の中で慢心している人間がことを起こして大きなことになっていくというストーリー性を重要視したい」と言及した。
本作がお正月公演になることから、来年の目標を聞かれると、「(尾上)菊之助さんの襲名にできる限りそばにいたいと思います。同級生ですし、友達で生まれたときからずっと一緒です。彼も(襲名披露という)大変な時期に入っていきますし、僕も(團十郎襲名のために)支えてもらった2年間があるので、しっかり恩返しをする男でありたい」と明かした。
舞台は、2025年1月3日〜26日に、都内・新橋演舞場で上演。
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