<ライブレポート>Nikoんが放つ陰影と衝動、DJ TOMMY /a flood of circleを迎えた自主企画イベント【新春謝罪会見】開催

2026年1月26日 / 18:00

 Nikoんが、2026年1月13日に東京・渋谷CLUB QUATTROで自主企画イベント【謝罪会見】を開催した。47都道府県を回るツアー【アウトストアで47】のラストパートに差し掛かった今、まさにライブバンドとして油の乗った状態で臨んだ一夜。この日はDJ TOMMY(BOY)による選曲、そして対バンにa flood of circleを迎えての濃密なイベントとなった。

 DJ TOMMYによる、アブストラクトでアバンギャルド、それでいてポップネスも感じさせるプレイにより会場は徐々に温まり、フロアには程よい緊張感と高揚感が漂い始める。そして19時過ぎ、まずはa flood of circleがステージに姿を現す──と思いきや、登場したのはボーカル&ギターの佐々木亮介ひとり。アンプから歪みを帯びたコードをジャカジャカと掻き鳴らしながら、〈君の水色のアイライナー/溶けて 空になってゆく〉と歌い始めた。最新アルバム『夜空に架かる虹』(2025年11月発売)のラストを飾る「全治」だ。

 まるで独白のような歌声とギターに引き寄せられるように、アオキテツ(Gt)、HISAYO(Ba)、渡邊一丘(Dr)がゆっくりとステージに合流。演奏を終えると佐々木は、「おはようございます、a flood of circleです」と挨拶。間髪入れずにギターを刻みながら、2013年リリースの5thアルバムから表題曲「I’M FREE」のヴァースを歌い始めた。そこにHISAYOが硬質な低音を重ね、アオキがギターのフィードバックノイズを被せていく。不協和音が入り混じった崩壊一歩手前のアンサンブルがしばらく続き、オーディエンスの緊張感がじわじわと高まったところで渡邊が満を持してのビートを繰り出すと、フロアは早くも最初のカタルシスを迎えた。

 続いて披露したのは、〈政治は線を引くために必要です 音楽は線を飛び越えるために必要です〉という印象的なフレーズを持つファンキーなメッセージソング「キメラファンク(FLY! BABY! FLY!)」。佐々木の社会に対する視点と、バンドのファンクネスが絶妙に噛み合い、会場の空気がじわじわと熱を帯びていく。また、儚いアルペジオとメロウな歌メロが交差する「月に吠える」では、佐々木の繊細なボーカルとアオキのギターが織りなす叙情が、フロアを静かに揺らした。

 中盤に投下したのは、ファンの間でも人気の高い「ゴールド・ディガーズ」。跳ねるようなロカビリー調のリズムに艶やかなメロディが乗り、場内の空気を艶やかに反転させる。そして、3rdミニアルバム『FUCK FOREVER』の冒頭を飾る「理由なき反抗(The Rebel Age)」では、佐々木がギターを抱えたままフロアを突き進み、PAブース前のカウンターに飛び乗って観客を煽る。オーディエンスとの距離を物理的にも精神的にもゼロに近づけるその姿は、彼らがずっと信じてきた“ライブハウスの現場”の神髄そのものだった。

 さらに、疾走する8ビートに合わせてHISAYOが長髪を振り乱しながらベースを振り回す「シーガル」、狂おしいメロディを佐々木がしゃがれた声で吐き出すように歌う「夜空に架かる虹」へと矢継ぎ早に展開、ライブは早くも終盤を迎えた。

 「エモーショナルな気持ちを扇動するような曲ばかり作って反省しています」「何かというと、『アニメのタイアップがないから売れてないんだ』みたいなことを申し上げまして……本当にそう思っております」などと、イベントのタイトル「謝罪会見」にかけ、佐々木がユーモアと自虐が入り混じった口調で語ると、フロアは爆笑と拍手に包まれた。

 さらに、「フェイク野郎なんで。謝罪も嘘っぽいと思うかもしれないけど、今から本当のウソをつきます──Nikoんは大成功するでしょう。a flood of circleの武道館は黒字になると思います」と高らかに宣言。会場を爆笑と大きな拍手でいっぱいにしつつ、「この世はまだ終わっていません。終わってるかもしれなくても終わってません。そのようなウソをつき続けてきたのですが……疲れました」と、冗談とも皮肉とも本音とも取れるような言葉を付け加えた途端、会場は一瞬にして張り詰めた空気に包まれた。

 その静けさの中で、ラストに選ばれたのは屈指の名曲「白状」。〈もう疲れたんだ 声の出ない夜/溢れ出すのはいつもの 消えてしまいたい〉という絶望の淵から、〈それでも信じてる これが生きる理由だ〉〈くたばるとこまで 行こうぜ〉と歌い上げるエンディングへ。絶望こそが希望へのスタートラインであることを、力強いバンドアンサンブルとボーカルによって示し4人はステージを後にした。

「おはようございます。a flood of circleと対バンするNikoんです。よろしくお願いします」

 そうオオスカ(Gt/Vo)が挨拶し、スタートしたNikoんのライブ。まずは昨年9月にリリースされた2ndアルバム『fragile Report』から「とぅ~ばっど」。レコーディングにも参加したサポートドラムの東克幸が繰り出すヘヴィかつファンキーなリズムの上を、マナミオーガキ(Ba/Vo)のグルーヴィなベースリフが滑走し、オオスカのメタリックなギターが複雑なシンコペーションとともに空間を刻んでいく。間髪入れず、ゴスペル風のコーラスに導かれながら「(^。^)// ハイ」へ。素朴で伸びやかなオーガキのボーカル、流麗なオオスカのアルペジオ、そして東による人力ドラムンベース──その鮮烈なコントラストが、序盤から観る者の心を掴んで離さない。

 1stアルバム『public melodies』からの「step by step」は、オオスカのリードボーカル曲。オーガキの高速ベースプレイとアクセントをズラしまくる東の幾何学的ドラミングが組んず解れつのリズムアンサンブルを織り成し、トレモロやショートディレイを効かせたオオスカのチョッピーなギターが緊張感を煽る。そんな不穏なアンサンブルと、どこか少年性を残した歌声──Nikoんの楽曲には、相反する要素が安易に共存することなく、剥き出しのままぶつかり合い、混ざり合いながらギリギリのアンサンブルを生み出す力がある。

 続く新曲「Tokey-Dokey」は、ローファイなサンプリングフレーズから怒涛のウォールオブサウンドへと雪崩れ込むナンバー。まるでマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの「(When You Wake) You’re Still In A Dream」を彷彿とさせるヘヴィなギターリフの上で、物悲しさと緊張感を孕んだオーガキの歌声が突き刺さる。楽曲に込められた陰影と衝動、そのすべてが塊となって鼓膜を震わせた。

 「みなさん、今年も【謝罪会見】を開いておりますNikoんです。お越しいただいてありがとうございます」と改めてオーガキが挨拶。そして、「佐々木さんに謝らせ過ぎたんじゃないか、どうしよう……とちょっと思っています」と付け加えると会場から笑いが起こる。そしてオオスカが、佐々木と7、8年前に初めて会ったときのエピソードを話し始めた。「a flood of circleが下北沢シェルターで毎年やっていた年越しイベントに、俺が前にこいつ(オーガキ)とやっていたバンドで呼んでもらって。『すげえめんどくさそうな人だな』と思ったんですけど、初めて話したら気さくすぎて逆にだるいみたいな」と、当時の印象をオオスカらしい言い回しで語り、会場はさらに和やかなムードに。

 そんな空気を一瞬で変えたのは「ghost」。1980年代ネオサイケ~ポストパンクの影響を感じさせる耽美なサウンドでオーディエンスを奈落の底へ突き落とす。続く「Vision-2」では、オーガキの点描画のようなベースフレーズの上を、オオスカのアンビエントかつサイケなギターが浮遊。官能的なボーカルも交わり、青白い炎のような静かな熱を放っていく。後半、ギターソロを合図にドラムとベースが一気にバーストし、この日最大のピークを描ききった。

 勢いそのままにオーガキのリード曲「bend」へ。どこかノスタルジックなメロディと、ポストロック的な構造美を湛えたアンサンブルが重なり合う。そしてここで、a flood of circleへのリスペクトとして「I’M FREE」のカバーを披露。歪みまくったベースとレイドバックしたビートの上で、オオスカのボーカルがラップとメロディの間を揺れながら進む。サビでは、〈ミュージックに価値はあるか? もともと価値なんかないもんだと言った佐々木亮介を信じる〉と歌詞を変えて歌い上げ、フロアからは歓喜の声が上がった。

 いよいよ終盤戦。「nai-わ」「public melodies」と、メランコリックな質感をたたえた2曲を連ね、会場を少しずつ現実に戻していく。そして最後はキラーチューン「さまpake」「グバマイ!!」でフィニッシュ。バンドとしての研ぎ澄まされた演奏力と、ふたりの音楽的関係性の深まりを確かに感じさせながら、この日のライブに幕を下ろした。

 a flood of circleが“言葉とロックの臨界点”を更新し続けるバンドであるなら、Nikoんは“構造と衝動のせめぎ合い”を現場で拡張し続ける存在だ。この夜の【謝罪会見】は、どちらかがどちらかを引き立てるのではなく、それぞれが積み重ねてきた時間と覚悟を真正面からぶつけ合うことで、互いの現在地をよりくっきりと浮かび上がらせた。47都道府県ツアーの終盤に差しかかるNikoんが、その只中で企画したこの一夜は、まさに“今”という熱を真空パックしたような濃密な空間だった。

 なお、本イベントの模様はNikoんの公式YouTubeにて公開中だ。さらに、Nikoんは3月21日に【fragile Report RELEASE TOUR】のファイナル公演を、東京・渋谷O-EASTでワンマンライブにて開催する。2ndアルバム『fragile Report』の購入者対象の無料ライブ(東京ファイナル公演)の申し込みは満員御礼のため終了している。

Text by 黒田隆憲
Photo by 雨宮透貴

◎Nikoん 公演情報
【Nikoん presents「新春 謝罪会見」】
2026年1月13日(火)東京・渋谷CLUB QUATTRO

【fragile Report RELEASE TOUR】
2026年2月22日(日)新潟・GOLDEN PIGS BLACK
2026年2月23日(月祝)宮城・仙台 enn 2nd
2026年2月28日(土)広島・ALMIGHTY
2026年3月01日(日)香川・高松 TOONICE
2026年3月07日(土)北海道・札幌 SPiCE
2026年3月11日(水)愛知・名古屋 CLUB UPSET
2026年3月13日(金)福岡・Queblick
2026年3月15日(日)鹿児島・SR HALL
2026年3月20日(金祝)大阪・心斎橋 ANIMA
2026年3月21日(土)東京・渋谷 Spotify O-EAST

◎a flood of circle 公演情報
【a flood of circle 20周年記念公演 LIVE AT 日本武道館】
2026年5月6日(水祝)東京・日本武道館


音楽ニュースMUSIC NEWS

ATEEZ、ニューアルバム全収録曲のプレビュー公開 「GOLDEN HOUR」シリーズの黄金の物語を紡ぐ

J-POP2026年1月26日

 ATEEZが、13thミニアルバム『GOLDEN HOUR : Part.4』のアルバムプレビュー映像を、YouTubeチャンネルに公開した。  公開されたプレビュー映像は、地下鉄という日常的な空間を舞台に幕を開け、視聴者を一気に物語の世 … 続きを読む

【ビルボード】STARGLOW『Star Wish』4.6万枚でシングル・セールス首位

J-POP2026年1月26日

 2026年1月28日公開(集計期間:2026年1月19日~1月25日)のBillboard JAPAN週間シングル・セールス・チャート“Top Singles Sales”で、STARGLOW『Star Wish』が初週46,580枚を売 … 続きを読む

【ビルボード】SixTONES『MILESixTONES -Best Tracks-』58.9万枚でアルバム・セールス堂々の首位

J-POP2026年1月26日

 2026年1月28日公開(集計期間:2026年1月19日~2026年1月25日)のBillboard JAPAN週間アルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”で、SixTONES『MILESixTONES -Best … 続きを読む

スカパラ、デビュー35周年から始まったフルオーケストラとの競演シリーズ、5月に兵庫・山形・東京の3都市にてツアー開催決定

J-POP2026年1月26日

 東京スカパラダイスオーケストラとフルオーケストラによる競演シリーズ【東京スカパラダイスオーケストラ billboard classics Symphonic Tour 2026】の開催が決定した。  本ツアーは、2024年に東京スカパラダ … 続きを読む

Chara+YUKI、一夜限りの『オールナイトニッポンGOLD』パーソナリティを担当

J-POP2026年1月26日

 CharaとYUKIによるコラボレーションユニット、Chara+YUKI(読み:チャラユキ)が、2月13日に放送される『オールナイトニッポンGOLD』のパーソナリティを担当する。  Chara+YUKIは、1999年に1stシングル『愛の … 続きを読む

Willfriends

page top