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jo0jiによる初の全国ツアー【jo0ji 1st album tour 2025「あえかなる」】が、1月20日大阪・梅田CLUB QUATTROにてファイナルを迎えた。今回、1月17日に開催された東京・Zepp Shinjuku公演のオフィシャルレポートが到着した。
jo0jiはずっと、自分と地元の友達のことを歌にしてきたアーティストだ。人生で初めて作った“不屈に花”は友達を励ますために書いた曲で、そこからjo0jiの音楽活動はスタートしている。2023年9月に発表した1st EP『475』は「ヨナゴ」と読み、彼の地元である鳥取の風景や感情をパッケージした作品だった。
それから約2年。jo0jiは2026年が始まってすぐに、大きなニュースを発表した。jo0jiにとって初のアニメ主題歌が決定し、TVアニメ『呪術廻戦』「死滅回游 前編」エンディングテーマを担当することが報じられたのだ。『呪術廻戦』といえば、もはや説明不要の世界的大人気アニメ。世界中の人たちがjo0jiの音楽に触れる大きなきっかけになることは、間違いない。
そもそも音楽には、会ったことのない人も”友達”と感じさせてくれる不思議な力がある。実際jo0jiにとって音楽とは、幼い頃から自分の気持ちを理解し励ましてくれる”友達”のような存在だったと、これまでインタビューなどで語ってくれていた。これから、jo0jiの音楽を”友達”と感じる人が日本中に、世界中に、増えていくのだろう。【jo0ji 1st album tour 2025「あえかなる」】は、そう確信するには十分な内容だった。
jo0jiは初の全国ツアーを「不屈に花」からスタートさせた。波の音や鳥の鳴き声で彼の暮らす漁港の匂いを立ち上がらせたあと、夕暮れのような光に照らされる中、まずは歌とピアノだけで聴かせた。最後のサビの前には、独りでスポットライトを浴びながらアカペラで歌うという演出も。そしてラストは仲間=バンドメンバーがジョインし、音を連ねて巨大な熱量を放出させた。
「不屈に花」の流れは、この日のライブ全体のストーリーを予告するようでもあった。ひとつは、少人数で音楽をやっていたところから、たくさんの仲間と出会い、多くを引き連れてさらなる大航海へ出ようとしているjo0jiの歩みについて。もうひとつは、アンコールで語られたように、『呪術廻戦』エンディングテーマ「よあけのうた」の制作のためにキャラクター・虎杖悠仁の気持ちと自身の心情を重ねて孤独を感じる時期があったが、バンドメンバーやチームなど今の環境で心を委ねられる”お馴染み”たちのおかげで、暗闇が明けて目の前に光が射した心境変化について。今思えば、この日のライブにおける2つの大切なポイントが、早々に1曲目で凝縮して描かれていたように思う。
「鳥取から来ましたjo0jiです、よろしく!」という挨拶を挟んで、<もう、いつまで待たせるつもりなん? 耐えかねて尋ねる、ムーンライト>と月の光を頼りに暗闇から抜け出そうとする描写で始まる「ワークソング」と、初期の楽曲である「明見」、「言焉」を続けた。その後も「ランタン」、「駄叉」と、序盤ではまるでjo0jiの歩みを描くように、リリース順に近い流れで演奏されるセットリスト。
「駄叉」でjo0jiが紡ぐ魂のメロディとバンドによる壮大な音でZepp Shinjukuを包み込んだあと、空気を一変させたのは「BAE」。この曲は、jo0jiが楽曲制作で悩んだとき、心のブレを正すために書いたものだ。自分の中にある二面性をサウンドで表現し、自分の行動が不特定多数の人に影響を及ぼすことに戸惑ったり、みんなに好かれる楽曲を狙って自分を偽ったりすることはしないと、自分に言い聞かせるような曲。もし今後ソングライティングに悩むタームが訪れたとしても、jo0jiにとって原点に立ち返ることのできる一曲になるだろう。
バンドによるジャムセッションを挟んで、一度ステージ袖にはけたjo0jiがサングラスをかけて戻り、ハンドマイクで気怠そうに歌ったのは「escaper」。そして、懐かしいメロディが輝く「眼差し」。歌舞伎町という街で鳴らすのが似合う、jo0jiなりのジャズ歌謡「ゑ喪」もあった。ここ新宿といえば、1960年代に日本初のロックフェスが開催された地であり、数々のレジェンドたちが伝説を残してきた街。吉田拓郎、中島みゆき、RCサクセションなどのフォーク、ロック、ニューミュージックを愛聴するjo0jiが、ここで狂騒を巻き起こしてきたミュージシャンたちの熱気を受け継いで、蘇らせるような場面だった。
おばあちゃんが亡くなったときに書いた「cuz」のあとは、<everything all right>の合唱が、タイトル通り”温もり”を生んだ「Nukui」。「条司」が演奏されると、会場と一人ひとりの心の温度はさらに上昇した。「条司」のサビに合わせてオーディエンスが腕を空に向け、無邪気に左右へと揺らした時間は、マジカルなくらいにハッピーな空気が生まれていた。このあたりから歌に宿る、ひとりの生活者であるjo0jiから、ひとりの生活者である聴き手への祈りの成分が、さらに濃くなっていったように思う。漁港で生まれ育ち、大きな懐を持っているjo0jiは、命を見つめながら「まあなんとかなるさ」と一人ひとりの肩を優しく抱いてくれるよう。
オーディエンスと目を合わせながら、ときにチャーミングな笑いを交えるほど、まさに友達に語りかけるように歌った「謳う」は、もともと友人に子どもが生まれたときに書いた曲であるが、ここでは全世代にとってのおまじないのように響き渡った。そして終盤、「≒」が放った希望の光は、どこまでも明るく照らし、永遠に消えやしないと信じさせてくれるものだった。<約束なんか果たされなくとも もういいだろ 結んだことに大いに意味があんだ>という歌詞の通り、たとえ今日見た希望の光が永遠には続かなくとも、そう信じさせてくれる瞬間に意味があるのだろう。そして、最後は「雨酔い」。<僕等には まだ光がある 僅かだけど 確かにある>――そう歌いながら全員の合唱を先導するjo0jiは、これまでで最も強い光を放っていた。
特別な時間は、まだ終わらない。一度幕が閉じて、アンコールの声に呼ばれて再び開幕すると、赤いスポットライトに照らされたjo0jiが登場。そこから「よあけのうた」が初披露された。しかも、ここまで演奏してきたバンドメンバー、Dattam(Gt.)、KNOB(Ba.)、柿沼大地(Key.)、Dr・TK-808(Dr.)、關 街(Per.)に、「よあけのうた」に参加しているギタリスト・クマガイユウヤ、アレンジャー/キーボーディスト・Koki Furukawaが加わったスペシャル編成によるもの。サウンドもjo0jiが全身から発するエネルギーも凄まじい爆発力を帯びた状態になっていた。特に<まだ僕はここに居たい、君と居たい 失くせはしないものがある>というラインには雄叫びのような切実さが滲んでいたのだが、その理由の一片を、その後のMCで知ることになる。
「去年の1月くらいには1分半(アニメ尺)ができていて、そこからフルバージョンを作り始めたんですけど、なんだか上手くいかなくて。人の未来を壊してしまった虎杖について描いてくださいって言われて、でも人なんか殺したことないからさ(笑)。自分の重なるところを探したら……俺は今地元・鳥取に住みながら音楽をやっているんですけど、Zepp Shinjukuでワンマンなんかやっちゃうとさ、幼馴染とか友達が焦ったりするじゃん。変に空回っているやつとかがいて。人の人生を変える、壊すという意味では、自分も片足を突っ込んでるなと思って、そこで虎杖と自分を重ねながら作ったんですけど。そんなふうに思っていたら、なんだかポジティブになれなくて。一回『よあけのうた』は置いておいて、違う曲を作ろうと思って作った曲があって、それを作ったから、そのあと『よあけのうた』も光が射すように書けた」
そして、該当曲である「onajimi」を歌い上げた。これはアルバム『あえか』の最後に収録されている楽曲であり、リリース時のインタビューでは「自分を救うために書いたような曲」と語っていた。この日、jo0jiはアウトロに「≒」のフレーズを混ぜ込んだ。「≒」は『475』に収録されている初期の曲であり、「≒」と「onajimi」は、プロとしての音楽活動をスタートさせた2年のあいだにjo0ji中で起きた、人間関係の変化や別れに対する捉え方の違いを表した2曲である。
たとえ別れが訪れたとしても、人との関係性が”あえか”なものになってしまったとしても、互いを信じた時期の気持ちまでは壊さなくていい。突然、華やかな世界でプロとして音楽活動をするようになった自分は、「あえか」な存在だと自覚している――そういった思いをアルバムでは表現していたが、「よあけのうた」を世に放った今、jo0jiは<まだ僕はここに居たい、君と居たい>と諦観を捨てて高い熱量を抱きながら前を向いているように見えた。それがこの日jo0jiが放っていた、まだ見ぬ人を友達として音楽の中へと招き、自分以外の人たちも救う光の正体だった。
音楽を通じてjo0jiを”友達””お馴染み”と慕う人たちの輪が、地元・鳥取から世界中へ広がっていく――そんな未来のストーリーが浮かび上がってくる、【jo0ji 1st album tour 2025「あえかなる」】公演だった。
なお、5月には東名阪にて初のZeppツアー【jo0ji tour 2026「よあけまえ」】の開催が決定している。
Text by 矢島由佳子
Photo by Ayumu Kosugi
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