<ライブレポート>Mrs. GREEN APPLE 巨大なバベルの塔と圧倒的な演奏に震撼 【DOME TOUR 2025 "BABEL no TOH"】東京3日目

2026年1月10日 / 12:00

 Mrs. GREEN APPLEの自身最大規模となる初の5大ドームツアー【Mrs. GREEN APPLE DOME TOUR 2025 “BABEL no TOH”】が12月20日、東京ドームで幕を閉じた。ミセスの歴史にもJAM’Sの記憶にも深く刻まれる本ツアーの東京公演3日目(12月19日)の模様をお伝えする。

 2023年の【DOME LIVE 2023 “Atlantis”】以来、実に2年ぶりのこの“ストーリーライン”シリーズは、聖書に登場するバベルの塔を中心に展開する。かつて世界には言語は1つしかなかったのだが、天まで届く塔を作り誇示しようと考えた人間たちを見て怒った神が「言葉が通じないようにすれば、このようなことは起こらない」と人間たちを混乱させ、塔の建設をやめた人間たちは世界各地へ散らばっていった。その“未完成”のバベルの塔が示すもの――それは傲慢が導く破滅。本公演でも、ひとりの先導者の栄華と墜落、または「あのときあの言葉が言えていたら、望んでいた未来を歩めていたんじゃないか」という後悔が描かれていた(ここからは、ひとつの考察として読んでもらえたら)。

 開演前からキャストと呼ばれるバビロンの市民(調香師や画家など)がフロアを歩き回り、会場に足を踏み入れたもの全員がバビロニア民へと化した。「Presented by Mrs. GREEN APPLE」の文字がスクリーンに大きく映り、3名がステージに登場。「おかえりなさい、バビロン! ご機嫌いかがかな?」と大森元貴(Vo. / Gt.)が私たちを温かく迎え入れてくれた。「Love me, Love you」の〈恋をする〉を全市民と合唱するさまは、まさに国歌斉唱。「CHEERS」でお決まりの乾杯をし、「アンラブレス」「Feeling」で鳴るベルやパーカッション、チャイムに弦楽器など、楽器セッションが非常に高揚的で気分も上がった。大森を囲むキャストたちの動きも伸びやかで、〈ランラララララララン〉に合わせて、会場中の呼吸がピッタリと重なるのを感じた。

 ここでギターを手にした大森が「もっともっと!」と煽り、「パブリック」へ。少しずつ誰かへの憧れと嫉妬が見えてくる。久々の演奏となる「おもちゃの兵隊」が流れると、5万人のバビロンの興奮は最高潮へ。気づけばメンバーたちの後ろにバベルの塔が立っていた。藤澤涼架(Key.)が「みんな会いたかったよ~! こんなにたくさん集まってくれていますが、誰一人置いていかないからね!」、若井滉斗(Gt.)が「これから盛り上がる準備はできていますか? 誰一人気を抜かず、僕たちにパワーを届けてください」と、巨大なステージに立っていながら住民たちと同じ目線でいることを発信。大森が「皆さん、明日もそれぞれ生活があると思いますが、声を枯らしましょう。悔いが残らないように楽しんでいきましょう!」と、一緒に塔を建てるプロジェクトへの参加を促す。

 「WanteD! WanteD!」「ライラック」とモンスターヒット曲が流れるのだが、ずっと考えていた今回のストーリー構成に頷きを与えてくれる言葉が出てきた。「敗北感」だ。年間No.1を軒並み獲得したミセスは、まさに2025年の王者。そんな彼ら(特にバンドの中核を担う大森)を突き動かすのは敗北感だという。そして、この日、大森が演じていた先導者にも埋まらない悔しさ、敗北感が根底にあるのでは。バベルの塔と楽曲の関連を探していたが、そう思えた瞬間、一気にストーリーが自分の中で合致していった。

 ここまで“迎えられる” 立場でいたが、「Soranji」からは先導者のストーリーを“観る” 側に。真っ赤なジャケットを脱いでベストとシャツ姿になった大森のまわりを、純白ドレスを着たキャストが舞う。どこか無垢さを感じさせ、この世に生を受けた、ちいさな生命の根源に戻ったように見えた。フルートの音色と吹き抜ける風、「フロリジナル」のストリングスのメロディに揺られて、少年の彼が草原を駆け抜ける。年を重ねるにつれ、内面が霞んでいってしまっているのだろうか。「君を知らない」「Soup」で取り戻せない温もりを懇願して、序章の幕を下ろした。

 ここで不気味な仮面をかぶった集団がステージに登場。そして、フィールド中央に現れた、天に向かって差す光の剣は、誰も入らせない、心を遮断する塀のようだ。襟を立てた重厚ローブを着た魔王、はたまた冷徹な王か独裁者かのように、睨みつける大森が現れると、どよめきが走った。悲痛な叫びから始まった「絶世生物」のストリングスが心の痛みをヒリヒリと表していた。

 会場が真っ暗になり、天候が荒れ始める。そして、高さ20m、重さ100トンにもなる巨大なバベルの塔が会場アリーナ中央に出現。予想外の登場とその大きさに圧倒された。「Ke-Mo Sah-Bee」「ア・プリオリ」「Loneliness」まで、圧倒的な衝撃と重圧感のある演奏、大森の苦痛の叫びを浴び続けた。バビロンと幸せを分かち合っていた序盤から一転、感情の共有というよりは、言葉にならない圧を一方的に受けるだけ。バベルの塔の訓示を知っているだけに、目の前にあるものが崩れていく様子を傍観するのはつらかった。下を向いてとぼとぼ歩き、壁に物を投げつけるバビロンの民もいて、こんな場所では寂れた感情しか抱けないし生まれない。

 独裁者は、本当は誰かに止めてほしいという気持ちもありながら、後戻りできないところまで来てしまったようだ。落雷した後、藤澤が奏でる「ダーリン」の調べが大森の凍りついた心を溶かしていく。必死になって守った王冠を下ろした魔王は愛するバビロンの民と合唱して少しずつ信頼を勝ち得ていく。言えなかった言葉を音に乗せた「コロンブス」で〈君を知りたい〉気持ちを昇華。一方通行だった気持ちの矢印が交差しはじめる瞬間だった。

 ここまでノンストップでショーを届けてきたミセス。「隣の人が立っていても、座りたかったら座ってもいいんだからね。俺はずっと立っているけどね(笑)。高いところから失礼します」と大森は冗談と気遣いを交えて、バビロンの民に寄り添う。「初めての5大ドームツアー、すごく楽しかったです。2年ぶりに(ストーリーラインを)開催できたことに感謝しています。ありがとうございます!」と大森の感謝の言葉に大きな拍手が返ってきた。

 ミセスは年明けにフェーズ3を開幕。3年に及ぶ大躍進のフェーズ2を藤澤は「たくさんの思い出があるけど、(一番は)やっぱりライブかな。ここからみんなの表情がすごく見えて、『大切に聞いてくれてるんだな』とか『こうやって出会ってくれたのかな』なんて感じる瞬間や気持ちをたくさん受け取っています。こうやってみんなが会いに来てくれることは当たり前じゃないとも思っています。遊びに来てくれて、本当に本当にありがとうございます!」と声の限りに伝えた。

 若井も「たくさんの方がそれぞれの環境やタイミングで僕たちに出会ってくれて。それはかけがえのないことです。今年デビュー10周年で、いろんなことを振り返るタイミングがありました。こうしてツアーをまわれるのもライブができるのも、皆さんが僕たちの音楽を好きでいてくれて、ライブに来てくれるからです。そんな一人ひとりの思いが集まってできることなんだと思います。本当にありがとうございます!」と感謝を述べた。

 大森は「このバベルの塔は建たなかったんだろうな……でも、我々の生活もそんなことの繰り返しだと思うんです。大事に一生懸命やっていることがうまくいかなかったり、邪魔されちゃったり。自分に負けそうになったり、情けなくなったりする。一喜一憂しながら毎日を過ごしていると思います。もちろん僕にだって、自分を惨めに思う夜があります」と前置きし、3人が音楽を奏でる指針を教えてくれた。「Mrs. GREEN APPLEが大切にしていること、僕が曲を書く上で大切にしていること。それは『人はきっとネガティブな生き物だから、それをどうにかポジティブに、せっかくなら楽しいほうがいい』。そんなことを思って曲を書いています。」

 続いて「110億回ストリーミングで聞かれたとか、年間1位になるとか、そういうことではなくて、皆さんの生活の中で僕らの音楽に出会ってくれたそんな一瞬がとってもすごいことだし、とっても嬉しいことです。この積み重ねがどこにつながっていくかわからないけれども、目の前にいる、いつも愛をくれるみんなに僕も何かを返せたらと思ってます。大森があんなこと言ってたなとか、ほんの些細なことでもいいから、今日のこの【BABEL no TOH】がどこかにつながってくれたら僕はとても嬉しいです」と、記録や数字よりも小さな奇跡の塊に意味を見出している様子。

 最後には「東京ドームはだだっ広くて届かないかもと思っていたけど、意外と見えるもんだぜ。心の距離が近いからでしょうね。どうせならあがこう。どうせなら楽しもう! あなたの情けないところも弱いところも、とりあえず一旦、俺が愛してやる!」とクールすぎる捨て台詞でラストスパートへ。

 全方位からギュッと抱きしめる「ANTENNA」は、ライブのスタートを切った「Love me, Love you」と同じくらい、心の隙間をポジティブな要素で満たしていく浸透力があった。〈生まれたんなら何か残したい〉〈最期の瞬間にはアナタと出会えて良かったわって言いたいマイライフ〉そんな言葉で溢れているのだが、大森は最初から今日の答えを提示していたのだと思う。続く「GOOD DAY」は、前述の大森の言葉をそっくりそのまま音に乗せた楽曲。毎朝、呪文のように口ずさみ、親指を立ててしまえば、心も晴れマークになるはず。「Magic」で「これでいいんだ」と再確認し、大合唱の中で物語は幕を閉じた。

 このあとに待っている「天国」は、受け取るものがあまりにも多すぎた。藤澤のピアノとバイオリンのイントロから始まり、“あっち側”と“こっち側”を結ぶ最後の道を通って、大森は一歩ずつこちら側へ歩みを進める。この瞬間は、ステージに立つ者以外は、誰も動くことも、言葉を発することもできなかった。目に見えないけれど、観る者を惹き込む何かが確かにそこにはあった。

 出演者が一人ずつ光の先へ進んでいき、最期は藤澤、若井、大森もその中へ消えていく。次のストーリーラインの舞台は「ELYSIUM」(エリュシオン)。つまり、生前の行いが認められる者が辿り着く死後の楽園だ。だが、人を憎み、自分をも憎む者は、果たしてそこに行けるのだろうか。フェーズ3もそうだが、この「ELYSIUM」のライブがどんなものになるのか。そして、それを見られる日がいつ来るのか。今から楽しみでならない。

Text by Mariko Ikitake
Photos by 田中聖太郎写真事務所(1~20枚目)、Jordan Munns(21~23枚目)

◎セットリスト
【Mrs. GREEN APPLE DOME TOUR 2025 “BABEL no TOH”】
1. Love me, Love you
2. CHEERS
3. アンラブレス
4. Feeling
5. パブリック
6. おもちゃの兵隊
7. WanteD! WanteD!
8. ライラック
9. Soranji
10. フロリジナル
11. ゼンマイ
12. 君を知らない
13. Soup
14. 絶世生物
15. Ke-Mo Sah-Bee
16. ア・プリオリ
17. Loneliness
18. ダーリン
19. コロンブス
20. ANTENNA
21. GOOD DAY
22. Magic
23. 天国


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